21:見つけた
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レンが、赤の大型バイクで高速道路を走行中、ふと、サイドミラーに目をやると、見慣れた車がついてきていることに気付いた。
車内から小田と論が手を振っているのが、フロントガラス越しに見える。
「あ、論の奴も終わったな…」
薄く笑みを浮かべると、レンは左手をあげ、小田達に手を振り返した。
都内某所洋平堂出版にレン達が帰ってきたのは、真夜中になってからだった。
机の上に、現像された多くの写真が無造作に置かれる。
「雨宮…、ヨコスカ基地の中、写真とってきた…」
論がゆっくりとした口調で言った。
「ボイスレコーダーも、バッチリだ」
レンはボイスレコーダーを見せながら言う。
「論君、レンちゃんスゴーイ!! ありがと――!」
はしゃぐように、雨宮はレンと論に抱きついた。
レン達の傍らで、小田は「ボクも褒めて」と言いたげに手を後ろに組み、期待の表情を浮かばせながら雨宮を見つめる。
しかし、雨宮は小田の存在を無視しながら言葉を継いだ。
「今回も施設、抜けてきてくれて、ありがとね! 基地は怖くなかった?“心臓”の鼓動が強いんでしょ?」
心配する雨宮に論が答える。
「すごく、怖かった…。けど…、ボク、湖で逃げてばかりだったから、麻生は……」
湖の出来事を思い出して泣き出しそうな顔になり、体半分が液状化した。
そんな姿を見て、雨宮は励ましの言葉をかける。
「泣かないの。論君はガンバった! レンちゃんも、大丈夫だった? 論君は液体化になれるから、難なく入れるけど……」
雨宮はレンに視線を移し、心配そうな顔を浮かべた。
レンは余裕だったと言わんばかりに口角を上げる。
「高圧電流の柵をよじ登って侵入したから、難なく入れた。中の連中も、あたしが侵入したことに気付いてもなかったみたいだし。楽勝楽勝」
それを聞いて、雨宮はホッと胸を撫で下ろした。
「ボ、ボク、現像してきました!! あとね、おみやげ、海軍カレー」
アピールしようと試みる小田が間に入る。
雨宮は冷たく、「あらそう」と一蹴した。
レンは「ガンバレ小田…」と苦笑する。
雨宮は最初にレンが撮影した写真を何枚か見比べた。数々の角度から撮影されたもので、建物や人間が見切れている。
「レンちゃんのは、いろんな角度から撮ったのね」
「レンズ通して普通に撮ると怪しいからな」
次に、論が撮影した写真に手を伸ばした。
「…論君のは…、ほとんどブレてるわね」
「手が、震えて……」
論が申し訳なさそうに言う。
「フッ。まあ、シロートですし?」
マウントをとる小田に対し、傍らにいるレンは「なに子供と張り合ってんだよ。大人気ねえなぁ…」と半目で呆れていた。
「いや! しかし何枚かは…、目を細めればぁあ゙あ!!」
小田は論の写真の中から、下着の見えそうな女性の写真を見つけ、目を細めて頑張っている。
そんな小田を無視し、雨宮はレンと論に一枚の写真を見せた。
「この“生きている岩”は見た?」
レンと論は同時に首を横に振る。
「ううん。でもね、それはこの島にある白い建ものにあると思う」
論はそう言いながら、自分が撮ってきた写真の一枚に指をさした。
その建物は、海の上に建っていた。
論は言葉を継ぐ。
「ここから“心ぞう”のこどうを強く感じたから……」
雨宮とレンは、論が指さした写真に注目する。
「人工島ね。これ…」
雨宮が悩むような表情で呟いた。
「ごめんね。ボク泳げないから…」
「十分よ! この、レコーダーもあるし!」
雨宮はボイスレコーダーのスイッチを入れた。
「【~~~】」「【~~~】」
英語で、軍人同志の会話が聞こえる。
「ずっと回しっ放しで、基地内をうろついてもらったからね」
「あたしの担当(外部)と違って、内部だからな…」
レンは雨宮から、ボイスレコーダーを受け取った。
「あたしは今から、このレコーダーを持って帰って内容確認してみる。重要なことがわかったら、連絡するから」
「ありがとう、よろしくね」
そう言って、雨宮は微笑む。
「ん?」
その時、写真を確認していた小田は、ある一枚の写真に目をとめた。
レンは後ろからそれを覗き込む。
小田が見つけた写真には、鼻のない軍人が写っていた。低すぎるというより、何があったのか潰れて鼻の原型がないのだ。
「なんか、この人…、は、鼻がないぞ? それに…こっち見てる気が……」
レンは思わず片眉を吊り上げた。
鼻のない軍人の目は、明らかにカメラ目線だ。
レンと小田がわずかな不安を感じ取ったとき、
「さて、小田ちゃん」
「わっ!」
いきなり、雨宮が笑顔で小田に黒の帽子を被せた。
「帰ってきたトコ悪いけど、また横須賀に行きましょ!」
「またぁ!?」
小田は情けない声を上げる。
「クレイから連絡があったの!“生きている岩”―――“アクロの心臓”のことで、話があるってね!ミス・レインの出動よ!」
雨宮は“生きている岩”の写真を見せながら言い放った。
レンも行きたかったが、ボイスレコーダーの内容がどうしても気になったので、そこで解散となる。
自分の判断が本当にあれでよかったのだろうか、と疑問を浮かべた時には、レンが雨宮の家に到着してからだった。
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