21:見つけた
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横須賀基地付近の森の中、レンは、潜入用の品を入れたリュックを背負ったまま木の上に身を隠し、双眼鏡で横須賀基地内を覗いていた。
その時、ジャケットのポケットにある携帯電話が震え、すぐに取り出して通話ボタンを押し、小声で電話の向こうの相手に話しかける。
「……今、到着した。…もうすぐ基地に潜入するとこ。こっちはカメラの位置、死角を大体把握してるから、たぶん問題ない。もちろん、騒ぎも起こさねえよ。心配しすぎ。論だってうまくやってんだ。…それじゃああとでな、雨宮」
通話を切り、木の上から飛び降りて静かに着地したあと、素早く監視カメラの死角に入り込み、助走をつけて高圧電流の流れる柵を軽やかなジャンプで乗り越えた。
柵に触れても、レンなら無傷だ。
「潜入成功」
基地内に潜入し、近くに停車していたジープの陰に隠れる。
それから、背中に背負ったリュックから、ボイスレコーダーとデジタルカメラを取り出した。
(あの建物内は、論が担当だったな…)
ここから離れた距離にある大きな白い建物を視認したあと、ボイスレコーダーのスイッチをONにする。
「……“心臓”の鼓動が…強いな…」
肌が疼く感覚に眉をひそめて呟き、辺りを警戒しながら今度は茂みに身を隠した。
そこでリュックから着替えを取り出し、その場で着替え始める。
長めの金髪のカツラを被って自身の茶髪を中に隠し、迷彩服に着替え、ダテ眼鏡をかけた。
(……外国人に…見えるのか…?)
ネットショッピングで購入したものばかりだ。
あまり信用できないが、怪訝な顔をしながら茂みから出て、怪しまれないようにゆっくりと歩く。
(論の奴、うまくやってるといいけど…。あまり基地内をウロつくわけにはいかない。ヤバくなったらさっさと退散)
自分に言い聞かせながら辺りを見回し、密かにカメラのシャッターを切った。
「【おい!】」
「!」
背後から兵士に声をかけられ、レンは咄嗟に後ろポケットにカメラを隠し、おそるおそる後ろに振り返る。
2人の兵士がこちらに近づいてきた。どちらも体格ががっしりした男達だ。
「【………新入りか?】」
「【はい。すみません、こちらに怪しい人物を見かけた気がして…】」
レンから見て左の兵士に声をかけられ、レンは平常心を保ちながら質問には間を置かず答える。
「【気のせいだろう。こちらはなにも見ていない。それに、そっちは行き止まりだよ。オレ達兵士でも入っちゃダメなんだってさ。聞いてない?】」
右の兵士が言って、レンは後ろに振り返った。
柵で閉ざされた場所があり、入口には見張りの兵士が5人も立っていた。
内部の構造がどうなっているのか一目ではわからないが、“アクロの心臓”は間違いなくあの先だろう。
(……あそこか……)
「【失礼しました! 自分の持ち場に戻ります】」
兵士達に向き直って背筋をそれらしく伸ばし、感謝の作り笑いを向ける。
兵士達がなにやらデレデレとしている間に、後ろポケットからカメラを取り出し、密かにシャッターを切った。
写真を撮り終えたレンは、茂みで着替えたあと、再び最初に潜入に使用した高圧電流の柵を乗り越えた。
その様子を、少し離れた建物の屋上から双眼鏡で眺める影がひとつ。
2年前からレンの行方を追っていた、アメリカ人の女だ。
「【……やっと見つけた。北条レン…。“心臓”を追ってるのね…】」
ニヤリとほくそ笑む。
「……もうちょい、様子見させてもらいましょか…」
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