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夢小説設定
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テューバ山でルビーとバギーがザッギ海賊団と戦闘している頃、同じくしてビックトップ号では、ルビーがいないのをいいことに、奇襲を仕掛けてきたガーリィーに、モージとカバジが一方的に苦戦を強いられていた。
大きなペンギンの着ぐるみを着たガーリィーは、腹ばいで甲板を滑り、そのままカバジに突っ込む。
「“人鳥突進(ペンギンラッシュ)”―――!!」
「ぐあああ!!」
「カバジ―――!!」
勢いがついたガーリィーに激突され、欄干に強く体を打ち付けるカバジ。
先程からモージとカバジの攻撃も通用せず、2人は打撲だらけでボロボロの状態だ。
「ぐ…。着ぐるみのクセに何て動きだ」
欄干を支えに立ち上がるカバジ。モージはその隣に駆け寄り、ガーリィーを睨んだ。
「ただの着ぐるみと侮るなペン…。おれが使っているのは本物の動物の毛皮。成り着ることによって本領を発揮するペン。わかってくれるだろう、同志よ!!」
ガーリィーがビシィッと指さした方向にはモージが立っていた。
モージは周囲を見渡す。カバジ含め他の船員も、指されたモージを凝視していた。
モージはガーリィーに間違っていないか確認するように自身を指さして問う。
「……おれ?」
「しかし哀しいことに…。何てお粗末な…。着るならしっかり着てなりきることが大事ペン。ところでおまえが着ているのは何ていう動物ペン?」
はっ!!と、そこでようやくガーリィーの勘違いに気付くモージ。
「おれのは地毛だっつーの!!!」
自身の頭部を指さして怒鳴りつけた。
オレンジの町でルフィに言われた時もキレたことがある。
「……まがいものめが!!!」
ペーン!!
「裏切者め」と理不尽なビンタを食らうモージ。
「キレんなァ!!!」
「見せてやろう!! これが着るということ…!!」
ガーリィーは、今着ているペンギンの着ぐるみの背中にあるファスナーを、内側からゆっくりと引き下ろす。
「見せつけてやろう、サメの恐ろしさを…!!」
(((((サメ!!?)))))
クルー達はちょっとわくわくしてしまう。
まさに脱皮だ。
ガーリィーの新たな姿が登場する。
「シャ―――ック!!!」
現れたのは、確かにサメだ。サメの皮で作った着ぐるみなのだが。
サメの胴体から人間の手足が生えている状態だ。
(((((キモ――――ッ!!!)))))
一同が思ってたのと違った。
「“サメパンチ”!!」
「ぶへっ!!」
人間の腕がモージの顔を殴りつける。
「しかも素手!!」とカバジ。
「パンチするサメがいてたまるかァ!! なりきりはどうした!?」と床に転がってもつっこむモージ。
ただのお粗末な着ぐるみが攻撃しているようにしか見えない。技名もたった今思いついたかのようだ。
「ぐっ…!! がは…!!」
そこで突然、ガーリィーは膝をついて自身の喉を両手でつかみ、苦しみだした。
「な、何だ!?」
「突然どうした!?」
自分達は何もしていない。
ガーリィーは悶えながら訴えた。
「エラ呼吸が…できないサメ…ッ!!」
どんっと威張って言うことではない。
「魚類だもんな!!」
「そこまでなりきるのかよ!!」
この馬鹿には負けたくない、と決意するモージとカバジ。
「「うらあああ!!!」」
ボコッ!!
「ぐえええ」
容赦なく苦しむ、ガーリィーを殴りつけた。
「今だ!!」
「やっちまえ!!」
「き、貴様らっ、瀕死のサメに何するサメ!!」
鬼か、と罵られるが、知ったことかとモージとカバジはビチビチと跳ねることしかできないガーリィーを蹴りまくる。
このままではいかん、とガーリィーは蹴られながら突破口を見出そうとした。
「はっ!! そこにあるのは、おれの愛着・セイウチ!!」
そこで見つけたのは、甲板の隅に置かれたセイウチの着ぐるみである。
ルビーから逃げるために脱いだものだ。
泣く泣く手放してしまったが、他の着ぐるみより戦闘力も強く苦労して手に入れた思い出もあるため、この機を逃すわけにはいかない。
「“鮫滑走(シャークスケート)”!!」
甲板に思いっきり尾を打ち付け、その反動でモージとカバジから離れた。
「何ィ!?」とモージ。
「しまった、あっちには!!」とカバジ。
自分達が苦戦を強いられた着ぐるみが置きっぱなしになっているのだ。
再びセイウチに着替えられたら全滅してしまう。
止めようにもすでに遅かった。
「さっきはよくもやってくれたサメ…!!」
アゴが外れんばかりに開かれたサメの口から、細長い人影が飛び出し、素早い動きでぬるりとセイウチの背中に潜り込む。
「この船もろとも粉々に潰してやるウッチー!!」
着ぐるみを着ることによって、自身を本物のセイウチだと身体に強力な自己暗示をかけることにより、力を漲らせた。本来ないはずの筋肉も隆起する。
こうなればただの人間に負けるはずがない。なぜなら、自分は海で一番強い海獣なのだから。
思い込めば思い込むほどとめどなく力が溢れてくる。
「ウオオオオオオ」とガーリィーは力が漲り叫んだ。
「復活ウッ…」
瞬間、
「へァ―――ックショ―――イ!!!」
船が揺れるほどのくしゃみが発せられた。
その場にいた誰もが目を丸くする。
「これは、エックシ!! 貴様ら何を…ブエックシ!!」
あっという間にガーリィーが鼻水と涙にまみれていた。
何が起こっているのか、その場にいる人間も理解していない。
くしゃみをしながらのたうち回るガーリィーは、着ぐるみに付着した動物の毛に気づいた。
「こ、これは…、ネコの毛…!? ネコの毛だとォ―――!!!??」
真っ青になるガーリィーに、モージが「あ」と気付く。
セイウチの着ぐるみは、先程リッチーが入っていたのだ。
「まさかあいつ……」
モージは今のガーリィーのようになった人間を見たことがある。
「き、着替えなければ…っ」
リスクはあるが、もう一度サメかペンギンになるしかない。
しかし気付いた時にはバギー海賊団のクルー達が脱ぎ捨てられたペンギンの着ぐるみを回収しようとしていた。
「あ、あ、あ、待って…」
止まらないくしゃみと涙に苦しみながら、サメの着ぐるみ目掛けて中身が飛び出し、サメの口から入ろうとしていた。
ブリーフをはいた下半身が丸見えだ。
傍から見れば、人間がひとりサメの口に上半身を突っ込んで食われそうな場面である。
「リッチー!! 焼き魚だぞ―――!!」
モージの叫びに、ガーリィーが「え」となった時、カバジが口から火を吐いてサメごとガーリィーを燃やす。
「あちちちちち!!」
「ガウゥ~~~!!」
「げっ!!? ら、ライオン…もごが―――ッ!!!」
腹を空かしたリッチーが香ばしいサメの焼ける匂いに釣られ、甲板に飛び乗ってそのままガーリィーとサメに覆いかぶさった。
サメの口の中にリッチーの毛が入り、ガーリィーにとっては地獄である。
「やっぱりあいつ、ネコアレルギーだ!!」とモージ。
「動物の毛皮着てるくせにか!?」とカバジ。
「ブシュッ、ゲショッ、ゲヒョゲヒョッ!!」
ガーリィーは全身に蕁麻疹が出たところで、耐え切れずサメの着ぐるみからも離れた。
出てきたのは、涙と鼻水まみれの、針金みたいなひょろがりの男だ。
とても先ほどまで圧倒されていた相手とは思えない。
着ぐるみを着ることによって与えられる自己暗示の恐ろしさがわかる。
「あ…、あの…、お話…聞いてくれますガリ?」
「「ダメ!!」」
強面の男達に取り囲まれ、絶体絶命だ。
そこで、ガーリィーは先に船に侵入したルルアンの存在を思い出す。
「ひぃぃ!! ルルアン何してるガリ―――ッ!!」
戦闘中も、ルルアンの合図が全くなかった。
何かあったのか、その答えはすぐ判明する。
「この女のことかい?」
ちょうどタイミングを見計らったように現れるアルビダ。
床に転がしたのは、金棒で殴られコブまみれになったルルアンだ。しっかりとロープで縛られている。
「アチャー…」
「何があった!!?」
唯一の頼みの綱の有様に目玉が飛び出るガーリィー。
「アタシの部屋に、ノックもせずに入って来たから、お仕置きしてやったのさ」
少し前、宝箱に隠れて潜入に成功したルルアン。
出来るだけバギー海賊団のクルーを潰しておこうと通りがかりにアルビダの部屋に忍び込み、そこでたまたま着替え中だった半裸のアルビダに背後から襲いかかったものの、アルビダの背中にしがみつこうとした瞬間、得意の関節技をかける間もなく滑って床に倒れたのだ。
それから何度もアルビダにつかみかかろうとしたものの、アルビダのスベスベの肌をつかむことさえできなかった。
ガーリィーもそうだが、相性が悪すぎた。
ある程度遊ばれてから、金棒で撲られ、お縄となった。
「そ…、そんな…」
絶望の目の前が真っ暗になるが、顔を生温かい舌で舐められ、現実に引き戻された先にいたのは、リッチーだった。口の端からは、サメの着ぐるみから食いちぎった尻尾が見えていた。
「おかわり」と言っているようだ。
瞬間、ギャアアアアアアアアア、とガーリィーの悲鳴が夜空に響き渡った。
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