10:“リコ”
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ルビーはトランと共にテューバ山付近に迫っていた。
振り返ったが、周りの岩山が邪魔でビックトップ号の位置は把握できない。
テューバ山に近付くほど、敵の数は少なくなり、目の前にいた最後のひとりを気絶させたあと、ルビーはトランを肩から下ろした。
「さて、ここまで来たら、まずは残党がこれ以上出てこないように出入口を塞いで…、あー、外壁の他の穴もいったん塞がないと…。そのあとは泳いで海側から入り江の方に移動して…。あ、トラン、あとでそのナップサック返してね」
呟きながら手頃な大岩がないかと探していると、トランは「待って!!」とルビーの腰にしがみついて阻止する。
「塞がないで!! 他のみんなだってまだ中にいるんだ!! 捕まってる人達だって危ないかもしれないのに…」
「……………」
「先に、中にいる人質を解放してくれたら、おれが入り江までのルートも案内するから!!」
必死に懇願するトランに対し、ルビーは小さくため息をついてトランを厳しく見据える。
「……トラン…。その交渉、海賊相手に通じると思ってる?」
「……っ!!」
「あたしは…、バギーが死にそうな目に遭えば、他の奴らがどうなろうが構わないよ…。トラン、子どものアンタを見捨てることだって躊躇わずに出来る」
冷たい眼差しと言葉に、トランは唾を飲み込んだ。悪態をつきたかったが、身体が震えて身動きもできない。
不意にルビーの手が伸ばされ、ビクリとした。
ルビーの手は、小さなその頭に触れる。
「―――まあ、あたしは海賊と言ってもただの見習いだし。うちの船長は意外にしぶといから、あっちがピンチにならない限り、今のところは協力してあげる」
先程とはまるで別人みたいにその声色は優しかった。
緊張が緩み、トランは詰まりかけた息をゆっくりと吐き出す。
気持ちを切り替えたルビーは、大砲を脇に抱えて「それで」とトランに尋ねた。
「中のことはどれくらい詳しい?」
「そこまで詳しく覚えてるわけじゃないけど、入り江までのルートはわかるよ。子どもだけが通れるくらいの通り道もあるし、こっそり探索したんだ…」
こっそり、ということは、普段、中の探索は大人に禁止されているのだろう。
「母ちゃ………捕まってる人たちもどの辺にいるのか、大体わかってる…」
「…………はあ…」
「……どうしたの?」
気乗りしないルビーの様子に声をかけると、ルビーは「いや…」と嫌そうに顔をしかめ、出入口の穴を見据えた。
「洞窟みたいな場所って最悪に嫌いなの。狭いし」
シンプルな理由に、トランは意外そうに目を丸くする。
「だって怖くない? こう…、上下も左右も狭くなる感覚って…」
「か、考えたこともなかった…」
「耐久性は大丈夫なの?」
「けっこう強いよ。父ちゃんも大きいドリルで削ってたし…。大砲とかで撃たれたらさすがに崩れるかもしれないけど」
「それじゃあ、その背中のナップサック、落とさないようにね」
「……そういえば、これ何が入ってんの? スイカ?」
「バギー玉」
「?」
「砲弾…というか爆弾」
「何てもん持たせるんだよ!!!」
そんな会話をしながら、ルビーとトランは突き進む。
少し離れた茂みでは、その様子を見守る3つの小さな影があった。
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