09:大根役者
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ブゥゥ―――ン…
「ああ…、まただ…。この音じゃない…」
深夜、島に響き渡るその音を聞いた男は、ひとりベッドの上で、窓の向こうを見つめながらうわ言のように呟く。
「父ちゃん…」
ベッド脇に近づいて声をかけたのは、ラッパ型の帽子を被った8歳くらいの少年だった。
足の怪我のせいで自力で立つこともできず、日々口惜し気な父親の姿を直視するのは辛かった。
父親は、心配そうな息子に顔を向け、わずかに口角を上げる。
「トラン…、リコは……?」
「……父ちゃん…、リコのことはもう……」
トランと呼ばれた少年は、寂しげに答えた。
「…………そうか…」
男は悲しそうに眉をひそめたが、もう一度、「そうか…」と自分自身に言い聞かせるように呟いた。
トランは目を反らし、近くの窓から見える大通りを見下ろす。
こんな夜更けに、大人達が次々と決められた時間に家から出てくるのが見えた。
松明を手に、ある場所へと向かっていく大人達。
家に残された子ども達は泣きそうな顔で窓や家のドアからそれを見送っていた。
大人達の表情からは疲労が漏れている。
つい先日まで、父親もあの集団の中に混ざっていたのだ。足の怪我のせいであの中に混ざることはできなくなったが、トランとしてはどこかで安堵していた。
トランの手には、エターナルポースが握られている。
半年前にとある人物から預かったものだ。
『もし、赤目の海賊に会ったら相談に乗ってもらうといい』
その男は背を向け、笑いながら言葉を付け足した。
『きっと、「見習いだけど」って言うと思うけどさ』
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