00-1:青の中の赤
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生まれた時から、他の種族とは違う、特別な瞳を持っていた。
他の種族と見えている色は同じなはずなのに。
「いってきます」
昼食を終えて器を片付けたあと、叔母に声をかけ、家を飛び出す。
建ち並んだ、淡い水色の石造りの家々の間を走り抜け、岬へと向かった。
島の岬から眺める景色は、いつも同じ。
果てが見えない海の向こう。
あたしが知ってる世界の終点。
ずっと、あの向こうを眺めるままだと思っていた。
なのに、朝から胸騒ぎがする。
あからさまにそわそわして叔母に注意されるほどだ。
島周辺の波はいつも穏やかだ。
だけど、ごく稀に、風もないのに海面が大きく揺らめく日があり、静寂な海が小波どころか大波を立てる。
そんな日は何かが起こるのではないかと胸を熱くさせるのに、結局は空振りに終わることが多い。
諦めればいいのに、心の底では次の胸騒ぎを待っていた。
『期待したって何もないよ。アンタが待ってるものは来ない』
先日、叔母に言われた言葉だ。
そう言われても、自身の熱を冷ます事なんてできない。
今日は夜が明けるまでここにいようか、と考えた時だ。
空も海も青に包まれた景色に、ぽつりと小さな赤色が見えた。
「船だ…。こっちに向かってくる…」
遠くからでも、とても大きな船だとわかった。
赤い帆が張られ、掲げられたマストの旗は黒い生地の真ん中にドクロが描かれてある。
「赤い…。あんな船、見た事ない…!」
体内の熱が一気に急上昇する。
自身の人生を変える何かが起こる気がした。
目の前に選択肢がぶらさがる。
好奇心を優先して迎え入れるか、村で決めた通りに海の藻屑にするか。
.To be continued