06:死んで守った
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『ヴィンセント、お前の事を臆病者だと言った奴らを笑ってやれ! お前の仕掛けた罠に苦戦して退却を余儀なくされた敵はごまんといるんだからな!』
『お前が隊長だったらよかったのにな。ヴィンセントの作戦にはいつも生きながらえらせてもらってるよ』
『奥さんと子どもに会いたくないのか? おれはいつだって会いたくてたまらないよ。子どもも同じ年頃だと聞いたし、会わせてくれないかな?』
『死ぬ前に、酒の一杯くらいやりてぇな…。タル一杯な。へへっ』
『おれ達、平和な時代に生まれて出会いたかったなぁ。そしたら、毎晩、集まって……』
雨のように降りかかる思い出に浸りながら、ヴィンテージは薄明るい空を見上げる。
遠くで、戦争の終わりを告げるラッパが聞こえた。
『みんな、夜明けだ!』
ヴィンセントは明るく仲間達に声をかける。
しかし、誰も起き上がろうとしない。
『戦いは終わったんだぞ。みんな、故郷に帰れるんだ! もう、誰も戦わなくていい!』
ひとりずつ肩を叩きながら、先程よりも大きな声で呼びかける。
『奥さんが待ってるんだろ!? 子どもも! 2年も経ってるんだ。きっとお前よりでかくなってる! 家族に寂しい思いをさせなくて済む! さあ、帰ったら宴だ。みんなで…、夜明けを越えても…ッ…ッッ!!』
冷たくなった身体に触れるたびに、とめどなく涙が溢れてきた。
故郷が恋しくても耐えることが出来たのに、戦場で流したのは、この時が初めてだった。
『起きてくれよぉぉ…っ』
夜明けの空に、ヴィンセントの悲痛な声と、敗戦を告げるラッパの音色が重なった。
.To be continued