06:死んで守った
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パッローネ達の船と人質を乗せたバギーの船は、バギーとルビーが上陸した位置からウーヴァ島の反対側から上陸を試みようとしたが、パッローネは途中、海から繋がっている島の湖への通り道を見つけた。
現在、湖の中央に2隻の海賊船を停船させている。
あれから数時間が経過し、夕日はいつの間にか沈み、船に明かりが灯された。
バギーの海賊船には、未だにガムでくっついて身動きが取れないバギーのクルー達がいる。
無駄な抵抗もしたくてもできず、ただ信じてバギーとルビーの助けを待つことしかできない。
その中を、鬱陶しくもウロウロとしているのが、未だに鍵の到着がないことに苛立ちを隠せないパッローネだ。
バギー達の捜索を任されていたクルー達が、数時間おきにケガを負っては乗ってきた小舟で退却している。
皆、島の罠に引っかかってしまったらしい。
夕陽が沈んだことによってさらに渋る態度をとられてしまう始末だ。
「遅い…。奴らはまだか…。鍵は…。まさか、罠に引っかかって死んじまったなんてことはねーだろうな? 宝箱はここにあるっつーのに。おれはいつになったらあの美酒を口に含むことができるんだ!? あ゛ぁああああ!! イガイガする!!」
「船長、「イライラ」です。喉でも痛みますか?」
「おれの喉はすでにアルバヴィーノを欲してんだよ!!」
わざわざバギーの海賊船に移って冷静に訂正するサポーレに、パッローネは怒鳴り返す。
「船長、おそらく、ヴィンセントが大昔に島中に仕掛けた罠が作動しているのでしょう」
サポーレの言葉に、パッローネは奥歯を噛みしめ、眉間をつまんで記憶を引っ張り出す。
「…ヴィンセントは、当時の国同士の争いで戦争に出向いた兵士だった。真っ向勝負より、仕掛けて罠にはめる方が得意だったらしい…。戦争が終わったあとは、国の方針に歯向かって、追手に追われながら、命懸けで最高の酒をつくりだそうとしていた…! その頃に手に入ったヴィンセントの酒は、全部、試作品…、いや、失敗作だったはずだ!」
ヴィンセントが目指したのは、最高傑作の酒・“アルバヴィーノ”だ。
誰も口にしたことがない、伝説の美酒。
手が届かないほど、パッローネの口の中は溢れ出しそうなほどの唾液で満たされる。
「宝の地図、沈没船、開かずの宝箱、数々の島の罠…。けっして盛られた話じゃなかった。目の当たりにするほど、真実味が増すじゃねえか。その味をじっくり味わいたいからわざと何も口にせずにいるってのに、いつになったら奴らから鍵を奪ってくるんだ!? それとも一人ずつ殺して誘い出してやろうか!?」
頬をぷくっと膨らませて激昂を露わにするパッローネに、バギーとパッローネのクルー達の顔面は蒼白になる。
怒りに任せて何をするかはわからない。
せめて命だけは、と祈る。
同じくマストに張りつけられたままのアルビダは、苛立ちを見せ始めたパッローネを見据えながら考える。
(…バギーとルビーがこのまま来なけりゃ、アタシらは用済み…。もし奴が何かしでかすようなら…、その前に、うまく言いくるめて船を乗り換えないとね…)
アルビダは脳内で最終手段を導き出した。
バギー一味を裏切る行動だが、命が惜しいのはアルビダも同じである。
もとより、バギーとは麦わらのルフィを追うことで同盟を組んだ仲ではあるが、一員ではない。
その気になれば、いつでもこちらから見限ることはできるのだ。
「………………」
話を持ちだすために口を開こうとしたアルビダだったが、バギーと一緒にいるルビーの存在を思い出して喉から出かけた言葉を止める。
(……まだ…気が早いね。ギリギリまで待ってみるべきか…)
普段はヘラヘラしている見習いだが、何か底知れぬ力を隠し持っているように思えた。
たかが直感だが、ここで白旗を上げるのは気が早いと考え直す。
「!」
微かな異変に気付いた。
近くで、リッチーと一緒にガムの網にかかったモージと、すぐ傍の甲板に張りつけられたカバジが、こそこそと声を潜めて何か企んでいる様子だ。
会話に耳を傾けながら、無意識に、パッローネがそちらに気付いていないかどうか確認する。
こちらまでハラハラしてしまう。
何かアクションを起こす前に気付かれなければいいのだが。
ここで素知らぬふりをして大人しくしているべきか、アルビダは再び考えた。
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