05:名前で呼んで!
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昼時を過ぎても、一向に宝らしいものは見つからない。
宝石の詰まった宝箱を想像していたが、そもそも『宝』の正体をルビーは知らないのだ。
海図の持ち主たちから聞き出せばよかったと少し後悔を覚えたが、ルビーは諦めずに海中を泳ぎ続けた。
「なかなか見つかんないなァ…。簡単に見つからないから宝ってのはわかってるけど…」
長時間の潜水はそれほど苦でもないが、時間が経つごとに、本当に宝があるのかどうか怪しくなってきた。
これで見つからなければ、バギーも、一緒に目を輝かせてくれたクルー達の落胆する顔が頭に浮かぶ。
「みんなががっかりするのは、最悪にイヤだな」
期待を与えてしまったからには、隅々まで探さなくては。
もっと潜ってみよう、と尾ひれを動かした瞬間、
「!?」
急に波の流れが変わった。
異変は海上でも起こっていた。
「嵐が来るぞ―――っ!!」
マストに立っていた見張りのクルーが北西を指差す。
いつの間にか、暗雲とともに嵐がすぐそこまで近づいていた。
船内は訪れる嵐に向けて忙しくなる。
「町の奴らが言ってたけど、ここの海域は嵐が発生しやすいスポットらしいよ!!」
アルビダは、被っている帽子が風に吹き飛ばされないように押さえつけながら言い放った。
「見習いはどうしたァ!?」
「まだ上がってきてません!!」
カバジが欄干から窺うが、ルビーの姿はどこにも見当たらない。
バギーは「何やってんだあいつ!!」と声を荒げた。
いくら潜っているとはいえ、波の影響で気付くものだと思っていた。
続いて、激しい雨風が船を襲った。
雷は光り、叩きつけるような雨に降られ、暴風で帆が破れそうになる。
指示を出しながら、バギーはルビーの帰還をクルー達に確認させるが、ルビーは未だに海面から出てこようとはしない。
海中で波に弄ばれているのか。
それでも待っている暇はない。
こちらにも余裕が一切ないのだ。
一方、海中では、船の影を追いかけるルビーがいた。
波に押されながらも見失わないように必死に尾ひれを動かす。
「嵐とか最悪!!」
嵐の海を泳いだことがないルビーにとっては避けたかった事態だ。
「早くしないと、置いてかれるってのに!!」
気持ちは焦るが、波は容赦なくルビーを押し返した。
「~っ!!」
海中でくるくると回転し、下へと追いやられてしまう。
その時だ。
「…!?」
視界の端に、何かが映った。
本来、海底にはないものが。
「あれは…―――」
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