04:楽しく飲まれるはずだった
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宿に駆け込んだルビーは、バギーの部屋のドアをノックした。
「せんちょー、せんちょー」
それでも反応がないので力任せにドアノブを壊して中に入ると、人に頼み事をしておきながら、図々しくもバギーは、テーブルに行儀悪く両脚を投げ出し、いびきをかいて椅子に座りながら眠っていた。
「ある意味器用な寝方」
怒りを通り越して呆れてしまう。
「せんちょ、一大事! 起きて起きて!」
肩を揺すってみるが、起きない。
鼻ちょうちんが寝息に合わせて膨らんだり萎んだりしている。
いつまでも起きないのでルビーは少し腹が立った。
「……起きろ赤っ鼻」
かなり小さな声で呟いたつもりだ。
「誰だ赤っ鼻って言ったやつァ―――っっ!!?」
覚醒には十分な効果だったようだ。
飛び起きたつもりが、バギーはバランスを崩して椅子ごと後ろに倒れた。
「おはようせんちょ!」
「あー、おはよう、見習い。ってまだ真っ暗真夜中じゃねえか!!」
最悪な起こし方をされてとても不機嫌だ。
「人に買い出し頼んどいて、呑気に寝てるせんちょが悪い」
「買い出し済んだら他の奴に任せろって言ったろーが。別におれ様の安眠を妨害しなくてもな。クソ、コブできた」
手鏡でコブの位置を確認する。
「言われた通り、食料・武器の調達完了!」
「あー、ごくろーさん」
「酒も買えるだけ買ったし!」
「おー」
「宝の地図とエターナルポースも手に入れたし!」
「へー」
「夜明けに出航しよう!」
「わかったわかった。けど、8時くらいに起こしてくれ。ゆっくり休みてェんだよ」
「りょーかい。じゃ、あたし部屋に戻るから。おやすみ~」
「はいはい、おやすみ」
部屋を出てドアを閉めるルビー。
数秒後、内からドアを蹴破ったバギーが慌ただしく追いかけて来た。
「宝の地図だとォオ!!?」
「おっそ!! あたしさっき言ったけど!? こっちは余裕な対応に思わず感心したよ!!」
「いいから見せろ!! 宝の地図ゥ!!」
眠気も完全に吹っ飛んだのか、興奮した様子で切り離した両手でルビーの両肩をつかんで乱暴に揺する。
「待って待って待って待ってェェ!」
一度手で制して落ち着かせ、懐から盗んだ海図を見せる。
受け取ったバギーは目を見開いて穴が空くかと思わせるほどまじまじと見た。
「どっかの海賊団の手下が絡んできて、ブッ飛ばして金目のモン持ってないか探ったら見つけた」
まだ宝の地図と決まったわけではないが、それらしいものを見て目を輝かせるバギーの反応を見て得意げになる。
「海に沈んでるってことか…?」
「たぶん。…でも、あたしがいるけど?」
自身を指さして確認するようにルビーが小首を傾げると、バギーは噴き出し、「ぎゃーっはっはっはっはっはっ!!」と盛大に笑った。
「ああそうだ!! てめェの出番だ見習い!! なんだおめェやりゃあできるじゃねーかこのヤロォ!!!」
背中を叩き、トドメに頭をつかんでぐりぐりと乱暴に撫でる。
「褒められて満更じゃないけど、せんちょ!! 首もげるからもうちょっと優しく!!」
他の宿の客たちは何事かと眠い目を擦っていた。
「他の連中を叩き起こせ!! ログが溜まると同時に出航するぞ!! 目的は、この海図の宝らしき在処だ!!」
「りょーかい!! せんちょ!!」
すぐにカバジやモージたちを起こしに行こうと走る。
「もう起きてる」とモージ。
「ガウ」とリッチー。
「内容も駄々漏れだ…」とカバジ。
「あんたら声がやかましいよ」とアルビダ。
それほど声が大きかったのか、こちらが起こす前に起きていたようで、ほとんどが寝間着姿で部屋から廊下に出てきていた。
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