04:楽しく飲まれるはずだった
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ここは『ヴィネ島』の町『ドランクリゾート』。
「酒場の町」、または「酔っ払いのたまり場」と呼ばれ、酒造が盛んな町で、町の7割が酒場や酒売りなど、酒に関わる店を経営している。
騒々しい町の向こうには、酒造に使われる、広大なブドウ畑や麦畑が広がっていた。
バギー海賊団にとって、“グランドライン”最初の島であり、ログが溜まるまでの3日間、一行は海賊船を町はずれに隠し、美味い酒を楽しみながら過ごしていた。
今日は入航して2日目である。
夕方、宿泊している宿の温泉でたっぷりとくつろいだあと、ルビーはバギーが泊まっている部屋を訪れた。
2日目にして、床には空き瓶や海図や本などが散らばっていた。
まるで自分の部屋のように扱っていて、バギー達が出て行ったあとで部屋を片付ける者がかわいそうになった。
テーブルに着いて何かをメモしているバギーは、気配に気づいて振り返った。
「おう、来たか見習い」
バギーの頭には、アルビダにやられたコブがある。
危うく、「せんちょの鼻が頭にも」と口から出かけたが、さすがに学習しているルビーは呑み込み、誤魔化すように咳払いしてから尋ねる。
「ご用は?」
浴場から出たあと、偶然タイミング良く男湯からバギーが、女湯からルビーが出て来たので、目が合うなり、「あとで部屋に来い」と声をかけられていたのだった。
出て来た相手がルビーじゃなくてもよかったのだろう。
そんな感じだった。
バギーは書き終えたメモを、切り離した右手でつかんでルビーに手渡した。
空いてる左手は、こちらも切り離され、金の入った小袋を手渡す。
自分から立ち上がって手渡す気はないようだ。
「買いだしだ。明日、ここを発つからな」
「ああ、お使いね。…多いなァ。肉、魚、野菜、果物、塩、油、ナイフに銃弾…」
そのうえ、字が汚くて読みにくく、ルビーは読みづらそうに目を細めた。
「次の島に到着するのはいつになるかわかんねーんだ。人数分の食糧・酒は余裕分必要だし、ナイフや銃弾も忘れんな。金も渡す分考えながら使え。買ったモンは一度こっち(宿)に持ってこい。他の奴らに運ばせる。この海じゃ、用意は周到に越したこたァねェ。これは酒のリストな。任せたぞ、見習い」
「まだあんの!?」
追加で手渡されるメモ。
こちらも大量に書かれていた。
こだわりもあるのか、売られている店の名前まで書かれてある。
「ったりめーだろ。ここをどんな町だと思ってんだ。おれァ楽しく酒を飲みながら航海してェんだよ。せっかく酒の盛んな町に来ておきながらハデ買いしない船長がどこにいる?」
また新しい酒瓶を開けて口をつける。
「せっかく買いだめしても、あっという間になくなりそう…」
小声を漏らすルビーは肩を落として呆れた。
「…りょーかい、せんちょ。酒は美味しそうだけど、ほどほどにしとかないと、長生きできないよ」
ぴたりと飲むのをやめるバギー。
気遣いが通じたのかと思えばそうではない。
「鼻息できないよ、だとォ!!? 鼻の穴くらいあるわァ!!!」
聞き間違えて烈火のごとく怒り、体をバラバラにさせた。
「行ってきまーす!!」
否定する前にナイフを投げられそうだったので、その前に部屋から出て行った。
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