04:楽しく飲まれるはずだった
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「♪~」
鼻歌がこぼれる。
それもそのはず。
バギー探しや航海の長旅で疲れていたルビーは、久しぶりに陸の上でゆったりとしたひと時を過ごしていたからだ。
ぴちぴちと両脚の尾ひれを左右に動かし、脚を上げれば、湯気が立った。
ここはとある宿泊施設の露天風呂。
まるでローマのような白い石畳で造られてある。
温かいワインレッドの湯に浸かり、独特な香りに包まれ、とろけきった顔で極楽の中にいた。
「はァ~。かなりぃ~最高~」
「そのまま天国にいっちまいそうな顔だね」
大浴場から露天風呂に移動してきたアルビダが入ってきた。
長い黒髪を後ろで束ね、バスタオルで胸元を巻いて露天風呂に浸かる。
湯気とともに色気まで醸し出されている。
「あー、アル姉~。いやァ…、温泉なんて初めてでさァ~」
「温泉というより、ワイン風呂だけどね」
美容効果のあるワインで満たされているため、湯が赤いのだ。
浴場はワインだけでなく、ウィスキーや清酒などの酒風呂が多い。
それぞれ効能が違うため、女性客にも人気なのだ。
「このワイン、飲めるの?」
ルビーは両手のひらでワインを掬い取る。
「飲めてもやめときな」
「気持ちがいいし、広いし、半日中入浴できそー」
ゆったりと背泳ぎすると、アルビダが「こら」と注意する。
「泳ぐんじゃないよ。あまり長居したらまたぶっ倒れるよ。アタシは介抱しないからね」
アルビダの視線が、女湯と男湯の隔たりに移り、軽く睨みつける。
「それで、あんたらは何してんだい」
「「「「「!!!」」」」」
男湯から熱い視線を感じるかと思えば、バギー一味の男衆たちが隔たりから女湯を覗いていた。
カバジ、モージ、なぜかリッチーも混ざっている。
男達はあっさりバレてビクッと震えた。
「温泉だったら覗くでしょう!?」
「男として当然の行為!!」
「むしろ誇らしい!!」
「ガウッ」
「開き直ってんじゃないよ!!」
アルビダが投げ飛ばした金棒が、ゴンッ、男達の顔面に同時に当たり、隔たりから落ちた。
頭を打った音が聞こえる。
「おまえら何してんだ」
覗きに不参加のバギーは、グラスで酒を飲みながら優雅に露天風呂に浸かってくつろいでいた。
金棒を手元に戻したアルビダは、気を取り直して入浴を楽しむ。
「ま、覗きたくなるのも仕方ないことさ…。アタシが入浴中で黙っている男なんていないからね」
したり顔のアルビダにルビーは苦笑しか出てこなかった。
否定はできないほどの美女なのだから言っていることは正しい。
実際、男どころか、同じく入浴中の女達まで魅了している。
「ところで、ここの効能ってなんだっけ?」
「美肌と老化防止って書いてあったよ。アタシには関係ないことだけど」
女湯の声が聞こえていたバギーは、思い浮かんだ疑問をぽつりと呟いた。
「アルビダっていくつだっけ?」
ゴッ!!
「「「「「船長―――っ!!!」」」」」
女湯から弧を描いて飛んできた金棒がバギーの脳天に直撃した。金棒を頭にめり込ませたまま、バギーはワイン風呂に沈む。
「そのまま大好きな酒に溺れてな」
「アル姉…」
戦慄したルビーは、アルビダから離れて顔の下半分をワイン風呂に浸けた。
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