35:The world is not that bad
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その頃、森尾は鎧のシャドウと苦闘を続けていたが、目に見えるほど追い詰めていた。
シャドウの鎧と武器である大ナタには亀裂が入り、動きも鈍くなっている。
「うらあああああ!!」
森尾目掛けて大ナタが振り下ろされたが、森尾がバールを振り上げる動作に伴い、イワツヅノオが振り上げた戦槌が、
バキン!!
ついに、大ナタを粉々に砕いた。
破片は凍りつき、地面に落ちるとさらにガラスみたいに細かく砕け散る。
「イワツヅノオ―――!!」
相手に隙は与えない。
イワツヅノオはそのまま、鎧のシャドウの頭上に戦槌を振り下ろした。
ドオン!!
鎧は粉々に砕け、中身は明らかにならないまま、戦槌に叩き潰されて消滅する。
「はぁ…、はぁ…。勝っ…た……っ」
勝利をつかみ、緊張が解けた森尾はその場に尻餅をついた。
戦闘の最中に転んで擦り傷を負い、互いの武器がぶつかった衝撃波とペルソナが受けた攻撃のせいで身体のあちこちが痛む。
気力も削られ、すぐに立ち上がることもできなかった。
「痛って!」
その時、ズキッ、と右手のひらに鋭い痛みが走った。
「ぐ…ッ! んだコレ…っ。使い過ぎか?」
赤い傷痕がズキズキと焼けるようだ。
「!」
異変に気付いて辺りを見回すと、橋の縁から海からのぼってきたシャドウ達がこちらに這い寄ってきた。
形が不明瞭なシャドウばかりだが、群れで来られたらたまったものではない。
「次から次へと…。一旦休ませろよ…っ」
バールを支えに歯を食いしばって立ち上がるが、まだ走ることはできない。
ここでザコにやられるわけにはいかなかった。
「カッコつけたってのに…っ、足立に…笑われちまうだろが…!!」
バールで払いのけるが、次々とやってくる。
「うわ!?」
足首をつかまれて転ばされた。
シャドウ同士が連なり、綱引きみたい森尾を橋の向こうの黒い海に引きずり込むつもりだ。
「く…!!」
右手の痛みのせいでバールがしっかり握れない。ハイエナ共が、と罵ろうとした時だ。
飛んできた何かが足下のシャドウに突き刺さり、ボッ、と発火して燃え上がった。
「!?」
火炎属性のペルソナを持つ落合だと思った。
だが、炎の中に見えた発火元は、ダーツの矢だ。
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