00.運命の三叉路
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act.00-①:旅のしおり
ボクはシャーマン、なりたくてなった訳じゃない。
どちらかと言えば、お願いされてなった立場だ。
《2人を外界ツアーにごあんなーい!》
…と、すっごい良い笑顔で開口一番言い切った。
だから、渋々シャーマンになった。
✤✤✤✤✤
《えー、断れば良かったのにー…》
呆れつつも話しを聞いてくれるのは、
ボクの持霊のトーラである。
その姿はアルビノ…真っ白な狼。
ボクには勿体ないくらい、
良いところの精霊である。
『相手が王様じゃなきゃ、断ってるってば』
《あー…それじゃあ仕方ない》
王様、シャーマンなら誰もが知る訳ではない。
確か十祭司とかいう人達が詳しいんだとか。
でも自分はちゃんと知っていて、なんなら
彼らと接点も多い。
《パーッとやって、ちゃーっと終わらせよう!》
お前は大阪のオバチャンか。
見た目黙っていれば神秘的なトーラ、しかし
このツッコミどころ満載なこの性格は、
きっと本来の持ち主である王様に似たのだろう。
《でもボクが自由に外界を歩けるのも、
ハルカが居るからだよ?》
嬉しそうに尻尾を振る姿を見ると、
王様に「やっぱり辞めます」なんて言えない。
《で、これからどっちに行くのが正解?》
少し歩くと三叉路に差し掛かった。
どの道も不穏な気配を漂わせている。
まだ夜でもないのに、不気味な暗さだ。
まるで雑木林か山の中に迷い込んだみたい。
『えーっと、ちょっと待ってねー?』
見送られる際に貰った分厚い本。
内容は主に地図。る●ぶみたいなものだ。
それは家の周辺や、これから訪れるであろう場所、
まだ見ぬ地名などが絵入りで記されていた。
これがないとマジで詰む。
『えー・・・・・・・・・』
《どうしたの?》
言い淀んだ理由は「目次」にある項目、
何とも物騒な単語が並んでいる。
しかも隅に載っていた、この三叉路の
行き着く先はどれも似たような場所だそうで。
『・・・道なりに進むかー』
取り敢えず爪先が向く真ん中から。
此処で早々に引き返して問い詰めても良いが
多分結果は変わらないだろう。
果たして何処まで此処で耐えられるのか、
誰が仕組んだツアーなのか考えたくもない。
正直こんな外界旅行なんて要らない。
ーーーーー
外界、読んでそのままの意味である。
外の世界の略称で、滅多に行く事が出来ない
未知なる場所でもある。
少なくとも、自分は一度も訪れた事がなく、
絵本の中の想像上のものであると
ずっと思っていた。
『(いつか行ってみたい)』
確かにそう思ってはいた。
ただ、それがまさか、こんな形で
叶う事になろうとは…
全く王様の気まぐれにも困ったものである。
『え・・・ここ、どこ?』
何時の間にか人ゴミの中に立っていた。
知らない言語が飛び交い、すれ違う人は皆
個々に独特の装いを身に着けている。
民族が異なるのだろうが、それが一同に会す
この場所がどういう存在なのかは分からない。
「おや?アジア系とは珍しい…」
良くこんな場所に辿り着いたな、と
頭上から声が降ってきた。
前髪センター分けの、長髪の男?である。
「まさか女性と間違われるなんてね」
『…あ、すみません!』
既に声変わりを終え、今は妻子持ちだという。
「オラクルベルは…持ってないね。
観光かな?」
『(おらくるべる?)』
「こういう奴さ」
腕にキラリと光る長方形の何か。
中央にガラスのような液晶画面が
嵌め込まれていて、何処かの文字が
表示されている。
「巫力700か…」
『え、すごい!
どうして分かったんですか?』
「パッチ伝統の業でね、
巫力を数値化出来る代物なんだ」
『へぇー…』
此処は素直に感心しておくべきだろう。
パッチがどうのっていう話、実は前に
おばばに聞いた事があって、その時
巫力を数値化出来る事も知っていた。
まさか見知らぬ土地でも、その業を
目にする事が出来るとは思わなかったし。
「君、シャーマンだよね?」
『はい、一応は。
ものすごく弱いですけど』
上には上が。そんな生活環境で育ってきた。
おばば然り、王様然り。
特訓すれば今以上に強くなる見込みも
あるらしいけど、緊急性がなかったので
何もやって来なかった次第だ。
「自己紹介がまだだったね。
僕はハオ、このパッチ村で十祭司をしている」
『(パッチ村…十祭司…?)』
「短い間になると思うけど、
よろしくハルカ」
『え・・・あ・・・はい』
はて、名前なんていつ名乗ったかな?
ボクはシャーマン、なりたくてなった訳じゃない。
どちらかと言えば、お願いされてなった立場だ。
《2人を外界ツアーにごあんなーい!》
…と、すっごい良い笑顔で開口一番言い切った。
だから、渋々シャーマンになった。
✤✤✤✤✤
《えー、断れば良かったのにー…》
呆れつつも話しを聞いてくれるのは、
ボクの持霊のトーラである。
その姿はアルビノ…真っ白な狼。
ボクには勿体ないくらい、
良いところの精霊である。
『相手が王様じゃなきゃ、断ってるってば』
《あー…それじゃあ仕方ない》
王様、シャーマンなら誰もが知る訳ではない。
確か十祭司とかいう人達が詳しいんだとか。
でも自分はちゃんと知っていて、なんなら
彼らと接点も多い。
《パーッとやって、ちゃーっと終わらせよう!》
お前は大阪のオバチャンか。
見た目黙っていれば神秘的なトーラ、しかし
このツッコミどころ満載なこの性格は、
きっと本来の持ち主である王様に似たのだろう。
《でもボクが自由に外界を歩けるのも、
ハルカが居るからだよ?》
嬉しそうに尻尾を振る姿を見ると、
王様に「やっぱり辞めます」なんて言えない。
《で、これからどっちに行くのが正解?》
少し歩くと三叉路に差し掛かった。
どの道も不穏な気配を漂わせている。
まだ夜でもないのに、不気味な暗さだ。
まるで雑木林か山の中に迷い込んだみたい。
『えーっと、ちょっと待ってねー?』
見送られる際に貰った分厚い本。
内容は主に地図。る●ぶみたいなものだ。
それは家の周辺や、これから訪れるであろう場所、
まだ見ぬ地名などが絵入りで記されていた。
これがないとマジで詰む。
『えー・・・・・・・・・』
《どうしたの?》
言い淀んだ理由は「目次」にある項目、
何とも物騒な単語が並んでいる。
しかも隅に載っていた、この三叉路の
行き着く先はどれも似たような場所だそうで。
『・・・道なりに進むかー』
取り敢えず爪先が向く真ん中から。
此処で早々に引き返して問い詰めても良いが
多分結果は変わらないだろう。
果たして何処まで此処で耐えられるのか、
誰が仕組んだツアーなのか考えたくもない。
正直こんな外界旅行なんて要らない。
ーーーーー
外界、読んでそのままの意味である。
外の世界の略称で、滅多に行く事が出来ない
未知なる場所でもある。
少なくとも、自分は一度も訪れた事がなく、
絵本の中の想像上のものであると
ずっと思っていた。
『(いつか行ってみたい)』
確かにそう思ってはいた。
ただ、それがまさか、こんな形で
叶う事になろうとは…
全く王様の気まぐれにも困ったものである。
『え・・・ここ、どこ?』
何時の間にか人ゴミの中に立っていた。
知らない言語が飛び交い、すれ違う人は皆
個々に独特の装いを身に着けている。
民族が異なるのだろうが、それが一同に会す
この場所がどういう存在なのかは分からない。
「おや?アジア系とは珍しい…」
良くこんな場所に辿り着いたな、と
頭上から声が降ってきた。
前髪センター分けの、長髪の男?である。
「まさか女性と間違われるなんてね」
『…あ、すみません!』
既に声変わりを終え、今は妻子持ちだという。
「オラクルベルは…持ってないね。
観光かな?」
『(おらくるべる?)』
「こういう奴さ」
腕にキラリと光る長方形の何か。
中央にガラスのような液晶画面が
嵌め込まれていて、何処かの文字が
表示されている。
「巫力700か…」
『え、すごい!
どうして分かったんですか?』
「パッチ伝統の業でね、
巫力を数値化出来る代物なんだ」
『へぇー…』
此処は素直に感心しておくべきだろう。
パッチがどうのっていう話、実は前に
おばばに聞いた事があって、その時
巫力を数値化出来る事も知っていた。
まさか見知らぬ土地でも、その業を
目にする事が出来るとは思わなかったし。
「君、シャーマンだよね?」
『はい、一応は。
ものすごく弱いですけど』
上には上が。そんな生活環境で育ってきた。
おばば然り、王様然り。
特訓すれば今以上に強くなる見込みも
あるらしいけど、緊急性がなかったので
何もやって来なかった次第だ。
「自己紹介がまだだったね。
僕はハオ、このパッチ村で十祭司をしている」
『(パッチ村…十祭司…?)』
「短い間になると思うけど、
よろしくハルカ」
『え・・・あ・・・はい』
はて、名前なんていつ名乗ったかな?