05.シャーマン
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act.04-③:様子見-sideハオ
やっぱり止めた、と自分で誘った約束を投げ出して1人外へ出た。ハルの言葉が引き金だが、実際もそうかと問われればそうでもない。
『見えない?』
シャーマン相手に嘘をついているようにも取れる、ハルの言葉の数々。事実S・O・Fの言葉さえ、僕の耳には掠りもしない。
「ラキスト、ハルを頼むよ」
「はっ!」
最初は同性同士、花組に頼むかどうか迷った。でも彼女達はハルをあからさまに避けているし、嫌な顔しかしないだろう。信頼はしている、仲間だからね。けれど最近話す、ハルの会話には触れて来ない。僕から何かを言う事も無い。
『2人して玄関先で何してんの?
あ、さては密会?』
「…殴るよ?」
『何でよ、あんたそれなりの格好したら
女でもイケるって』
「………スピリット・オブ・ファイア」
「ハオ様、ハル様には効かな…!?」
『あらラキスト、大丈夫?
うちの愚弟に苛められてなーい?』
「滅相も御座いません!いえ、そうではなくっ!」
『いやぁ、他の人含めシャーマンってほんとメンバー濃い(個性豊かだ)よね』
「ハル様、本音と建て前が逆転しております!」
暦の上では特に何の変哲も無い週末の午前。余程の用も無ければ近寄らない場所に訪れたのは、勿論このどうしようもないハルに会う為。偶に出すちょっかいに文句を言いつつも、付き合ってくれる。それが最近の日課だった。 いくらシャーマンの攻撃を無効としても、それだけが術じゃない。時には手も、足だって出る。年齢性別問わず、肉体攻撃を得意とする奴らも居る。 そんな奴らが各国からこの日本に集結するんだ、何も無いという方が可笑しい。ましてや一部の奴らには、彼女が僕の血縁者だと知る者も居る。
『あ、そうだった。ちょっとスッピー貸してね』
「だから、スピリット・オブ・ファイアは君の物じゃな」
『やったれスッピー!』
まるで物の貸し借りみたいに「貸して欲しい」なんて。シャーマンなら有り得ない話だし、それでシャーマンじゃないと言われても…
『終わった、サンクス』
「…何をした?」
『妖怪ハゲチラカシの撃退』
「一瞬で?」
『一瞬に見えたなら、そうなんでしょ』
「…ハル」
『いやぁ、相手がそんな強い奴じゃなくて
良かったわー!』
あからさまに眉を顰めた僕を見て、また「何でもない」というように彼女は笑う。 ハルは、初会からこうだった。僕が彼女の前に現れて、語りかけるや否や
「S・O・F連れ出した子でしょう?
やるねぇ!GJ!」
なんて親指を立てて楽しそうに笑うものだから、流石の僕も呆気に取られた。 「何で君が?」と不審に思うのは当たり前だし、寧ろその台詞が僕のハルに対する好奇心を駆り立てる、切欠になったと言っても過言じゃない。 それで見えないとか、詐欺だろう?
「実は何の問題なく見えていて、わざと見えない演技をしている」が、僕達の意見だが。
『やーねぇ、あたしのは知識だけよ!
シャーマンを知る為には、
シャーマン友達と一緒に居たが早いじゃん?』
「…僕以外に、シャーマンに知り合いなんて居たの?」
『あー…、うん。まぁ、でも基本的に"そっち"の知り合いは限られてくるんだけどね』
言い方が、癇に障る。今の僕が知らない知識を何らかの助けで熟知し、「分からない」と直接口には出さない自分に、素知らぬ顔で笑う。その行為が、僕を苛つかせる要因となっている事を、果たして彼女は気付いているだろうか。
「と、ところでハル様はどちらへお出掛けに?」
『嗚呼、えっとね…久々だし旅に出る前に町中ぶらっとしようかと思って』
「お一人で、ですか?」
『うん、何で?』
「……」
『何か問題でも?』
ラキストがこの町の現状を伝える。シャーマンの数は差程多くは無いが、近日中に予選が始まる為、シャーマン同士の接触が多くなる事。まぁ、それでもちっちぇえ奴らばかりなんだけどね。「シャーマンじゃない」と言い張る彼女の存在は、僕以外の連中でも時と場合によっては攻撃対象となるだろう。 それとも、敢えて突き放してみようか。
蘇生が出来ないとの理由から、ラキストに見張らせている彼女の行動は、基本的に全て僕に筒抜けなんだけど。それを敢えて放置してみたとしたら、ハルはどんな奇怪な行動を取るだろうか。 偶に自ら死の淵へ駆け出す言動も有るが、あれは全てを捨て生を諦めた目では無かった。自分はまだ生きる残る事を確信している、そんな眼差し。
「ハル」
『んー?』
「またね」
『…うん、またー』
それはシャーマンとしての「また」じゃない。互いに1つの生を維持したままの「また」だ。「死ぬなよ」と含みを持たせた、その真意は、果たして君に届いたのだろうか。
やっぱり止めた、と自分で誘った約束を投げ出して1人外へ出た。ハルの言葉が引き金だが、実際もそうかと問われればそうでもない。
『見えない?』
シャーマン相手に嘘をついているようにも取れる、ハルの言葉の数々。事実S・O・Fの言葉さえ、僕の耳には掠りもしない。
「ラキスト、ハルを頼むよ」
「はっ!」
最初は同性同士、花組に頼むかどうか迷った。でも彼女達はハルをあからさまに避けているし、嫌な顔しかしないだろう。信頼はしている、仲間だからね。けれど最近話す、ハルの会話には触れて来ない。僕から何かを言う事も無い。
『2人して玄関先で何してんの?
あ、さては密会?』
「…殴るよ?」
『何でよ、あんたそれなりの格好したら
女でもイケるって』
「………スピリット・オブ・ファイア」
「ハオ様、ハル様には効かな…!?」
『あらラキスト、大丈夫?
うちの愚弟に苛められてなーい?』
「滅相も御座いません!いえ、そうではなくっ!」
『いやぁ、他の人含めシャーマンってほんとメンバー濃い(個性豊かだ)よね』
「ハル様、本音と建て前が逆転しております!」
暦の上では特に何の変哲も無い週末の午前。余程の用も無ければ近寄らない場所に訪れたのは、勿論このどうしようもないハルに会う為。偶に出すちょっかいに文句を言いつつも、付き合ってくれる。それが最近の日課だった。 いくらシャーマンの攻撃を無効としても、それだけが術じゃない。時には手も、足だって出る。年齢性別問わず、肉体攻撃を得意とする奴らも居る。 そんな奴らが各国からこの日本に集結するんだ、何も無いという方が可笑しい。ましてや一部の奴らには、彼女が僕の血縁者だと知る者も居る。
『あ、そうだった。ちょっとスッピー貸してね』
「だから、スピリット・オブ・ファイアは君の物じゃな」
『やったれスッピー!』
まるで物の貸し借りみたいに「貸して欲しい」なんて。シャーマンなら有り得ない話だし、それでシャーマンじゃないと言われても…
『終わった、サンクス』
「…何をした?」
『妖怪ハゲチラカシの撃退』
「一瞬で?」
『一瞬に見えたなら、そうなんでしょ』
「…ハル」
『いやぁ、相手がそんな強い奴じゃなくて
良かったわー!』
あからさまに眉を顰めた僕を見て、また「何でもない」というように彼女は笑う。 ハルは、初会からこうだった。僕が彼女の前に現れて、語りかけるや否や
「S・O・F連れ出した子でしょう?
やるねぇ!GJ!」
なんて親指を立てて楽しそうに笑うものだから、流石の僕も呆気に取られた。 「何で君が?」と不審に思うのは当たり前だし、寧ろその台詞が僕のハルに対する好奇心を駆り立てる、切欠になったと言っても過言じゃない。 それで見えないとか、詐欺だろう?
「実は何の問題なく見えていて、わざと見えない演技をしている」が、僕達の意見だが。
『やーねぇ、あたしのは知識だけよ!
シャーマンを知る為には、
シャーマン友達と一緒に居たが早いじゃん?』
「…僕以外に、シャーマンに知り合いなんて居たの?」
『あー…、うん。まぁ、でも基本的に"そっち"の知り合いは限られてくるんだけどね』
言い方が、癇に障る。今の僕が知らない知識を何らかの助けで熟知し、「分からない」と直接口には出さない自分に、素知らぬ顔で笑う。その行為が、僕を苛つかせる要因となっている事を、果たして彼女は気付いているだろうか。
「と、ところでハル様はどちらへお出掛けに?」
『嗚呼、えっとね…久々だし旅に出る前に町中ぶらっとしようかと思って』
「お一人で、ですか?」
『うん、何で?』
「……」
『何か問題でも?』
ラキストがこの町の現状を伝える。シャーマンの数は差程多くは無いが、近日中に予選が始まる為、シャーマン同士の接触が多くなる事。まぁ、それでもちっちぇえ奴らばかりなんだけどね。「シャーマンじゃない」と言い張る彼女の存在は、僕以外の連中でも時と場合によっては攻撃対象となるだろう。 それとも、敢えて突き放してみようか。
蘇生が出来ないとの理由から、ラキストに見張らせている彼女の行動は、基本的に全て僕に筒抜けなんだけど。それを敢えて放置してみたとしたら、ハルはどんな奇怪な行動を取るだろうか。 偶に自ら死の淵へ駆け出す言動も有るが、あれは全てを捨て生を諦めた目では無かった。自分はまだ生きる残る事を確信している、そんな眼差し。
「ハル」
『んー?』
「またね」
『…うん、またー』
それはシャーマンとしての「また」じゃない。互いに1つの生を維持したままの「また」だ。「死ぬなよ」と含みを持たせた、その真意は、果たして君に届いたのだろうか。