16.15年越しの未来
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act.16-③:15年越しの未来
今は夜。
電灯が等間隔で、ポツリポツリと人気の無い道を照らす。動くとものは自分のみ。 車も、風の音すら聞こえない。
ふと、足を止めた。 今朝降っていた天(そら)が残した大きな水溜まりに、何かが映る。
一つの大きな光の筋。無言で見上げる先、夜空一杯に広がる光。
羅喉。
頭上を通過し、また別の地へ。何人のシャーマン達があの星を見て何を思い、何を決意し、誰に別れを告げて居るのだろう。
目の前の水溜まりに向けて足を差し出して、わざと濡れてみる。バシャリと小さく音を立てて、水溜まりの真ん中で立ち止まると、不意に背後に気配が一つ現れた。
迎えに来たよ
背中越しの自分に話し掛けるコイツは人に在らず。
行こう、”父さん”が待ってる
『あぁ、もうそんな季節か…
わざわざありがとうね、トーラ』
うん、どういたしまして
口調からして幼い子供の姿を思い浮かべる。彼の言う"父親"が、自分を待っているらしい。
ゆっくり振り返ると、1匹の純白の狼が自分を見上げ佇んでいた。きちんと座り、尻尾を振る姿は何とも愛らしい。
そんな所に居たら、濡れちゃうよ?
『そんな気分なんだ、今はね』
言葉を理解し話す目の前の狼に近付き、頭を撫でてやる。 さっきよりも尻尾の動きが激しい。されるが侭に少しの間じゃれあって、再会を懐かしむ様に抱きしめた。フワフワの毛皮に頬擦りして、冷えた身体を温める。 彼も拒む事無く受け入れて、顔を舐めてきた。
これが彼なりの愛情表現。
はい、どうぞ
背に乗る様に促され、何処か満足した僕は素直に身を預けた。フワリと浮かび上がる彼の背で、徐々に遠ざかる景色を眺める。
これで日常とはサヨナラだ。 これから赴く地は非日常世界。
やり残し、とかある?
『無いよ、大丈夫』
苦笑気味に答え、15年間慣れ親しんできた地に別れを告げた。
電灯が等間隔で、ポツリポツリと人気の無い道を照らす。動くとものは自分のみ。 車も、風の音すら聞こえない。
ふと、足を止めた。 今朝降っていた天(そら)が残した大きな水溜まりに、何かが映る。
一つの大きな光の筋。無言で見上げる先、夜空一杯に広がる光。
羅喉。
頭上を通過し、また別の地へ。何人のシャーマン達があの星を見て何を思い、何を決意し、誰に別れを告げて居るのだろう。
目の前の水溜まりに向けて足を差し出して、わざと濡れてみる。バシャリと小さく音を立てて、水溜まりの真ん中で立ち止まると、不意に背後に気配が一つ現れた。
迎えに来たよ
背中越しの自分に話し掛けるコイツは人に在らず。
行こう、”父さん”が待ってる
『あぁ、もうそんな季節か…
わざわざありがとうね、トーラ』
うん、どういたしまして
口調からして幼い子供の姿を思い浮かべる。彼の言う"父親"が、自分を待っているらしい。
ゆっくり振り返ると、1匹の純白の狼が自分を見上げ佇んでいた。きちんと座り、尻尾を振る姿は何とも愛らしい。
そんな所に居たら、濡れちゃうよ?
『そんな気分なんだ、今はね』
言葉を理解し話す目の前の狼に近付き、頭を撫でてやる。 さっきよりも尻尾の動きが激しい。されるが侭に少しの間じゃれあって、再会を懐かしむ様に抱きしめた。フワフワの毛皮に頬擦りして、冷えた身体を温める。 彼も拒む事無く受け入れて、顔を舐めてきた。
これが彼なりの愛情表現。
はい、どうぞ
背に乗る様に促され、何処か満足した僕は素直に身を預けた。フワリと浮かび上がる彼の背で、徐々に遠ざかる景色を眺める。
これで日常とはサヨナラだ。 これから赴く地は非日常世界。
やり残し、とかある?
『無いよ、大丈夫』
苦笑気味に答え、15年間慣れ親しんできた地に別れを告げた。
2008.04.13筆、改変