15.オイラの特効薬
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act.15-②:僕の領域外-sideハオ
ハルの気配が辿れない。
そう嘆いたのは何もラキストだけではなかった。 現に僕も、そして鼻がいいと言うオーバーソウルを纏ったオパチョも目に涙を浮かべている。
「まさか、例の追っ手とやらに誘拐されたのでは…!?」
「いや、それは無いよ」
誘拐なんて可愛いものではない。あれは本気でハルを殺す目だった。以前出会した時にちらりとだが、そんな空気を肌で感じた。少なくとも奴らは。
ハルが何者かに追われている、そう確信したのは僕を担当するパッチが溢した愚痴のようなもの。
「最近妙な集団が一般人であろう女を探し回っている、それについてパッチの領域に踏入られて迷惑極まりない」
非常に不服そうに話していたのを風の噂で聞いた。否、僕の場合それは心を読んだものと同等ではあるが。
彼女が言っていた期限の二日にはまだ時間があった。出雲で別れてから、まだ一日も経っていない。本来ならその二日中、何らかの理由をつけて共に居る予定ではあったが、何故か忽然とその姿を消してしまったという。因みに最後に接触したのはザンチン、明日の朝食の事であれやこれやと献立について言い合っていた矢先の話だという。
「申し訳ありません、ハオ様…
その、目の前に居た奴が突然…」
何の前触れもなく、何の音もなく。本当にふっと消失したという。まるで、ハルという存在が初めから無かったかの様に。無論疑いはした。が、表情も心情も虚偽では無い事を知る。気配も、その痕跡すら追わせない。用意周到。それが彼女の意思によるものなのか、それとも別の存在が動いているのか、それすら定かではない。
それにしても、まさか。この僕の力を持ってしても分からない事があるなんて。
「いかが致しましょう?
また私が町まで下りて…」
「…いや、ハルの事だ。
そのうち、ひょっこり現れるさ」
「しかし、それでは…何か遭ってからでは…!」
「あいつは嗚呼見えて基本何でも出来る。一人で生きていくくらいの知識はあるさ。それに、急くばかりでは見えるものも見えなくなる。それこそ、時間の無駄さ」
いつか。それが何時かは知らない。けれど、いつか戻ってくるだろう。現に手渡した護符からも何の変化は感じられない。何か遭れば、何らかの反応が帰ってくるだろう。それこそ、呪詛返しみたいな…
「…っ、ハオさま!なんかくる!」
何が、そう音とする前にそれは鈍い音を立てて降って来た。…僕の、真後ろに。
流石の僕も急な出来事で驚いたさ、この時ばかりはね。次いで聞こえた期待を裏切らない声に安堵して、深い溜め息を吐き出した。そこまでは良かったんだ。
『…あんたは、何時のハオ?』
その瞬間、僕の中で何百年ぶりかの警鐘が木霊した。気がした。
ハルの気配が辿れない。
そう嘆いたのは何もラキストだけではなかった。 現に僕も、そして鼻がいいと言うオーバーソウルを纏ったオパチョも目に涙を浮かべている。
「まさか、例の追っ手とやらに誘拐されたのでは…!?」
「いや、それは無いよ」
誘拐なんて可愛いものではない。あれは本気でハルを殺す目だった。以前出会した時にちらりとだが、そんな空気を肌で感じた。少なくとも奴らは。
ハルが何者かに追われている、そう確信したのは僕を担当するパッチが溢した愚痴のようなもの。
「最近妙な集団が一般人であろう女を探し回っている、それについてパッチの領域に踏入られて迷惑極まりない」
非常に不服そうに話していたのを風の噂で聞いた。否、僕の場合それは心を読んだものと同等ではあるが。
彼女が言っていた期限の二日にはまだ時間があった。出雲で別れてから、まだ一日も経っていない。本来ならその二日中、何らかの理由をつけて共に居る予定ではあったが、何故か忽然とその姿を消してしまったという。因みに最後に接触したのはザンチン、明日の朝食の事であれやこれやと献立について言い合っていた矢先の話だという。
「申し訳ありません、ハオ様…
その、目の前に居た奴が突然…」
何の前触れもなく、何の音もなく。本当にふっと消失したという。まるで、ハルという存在が初めから無かったかの様に。無論疑いはした。が、表情も心情も虚偽では無い事を知る。気配も、その痕跡すら追わせない。用意周到。それが彼女の意思によるものなのか、それとも別の存在が動いているのか、それすら定かではない。
それにしても、まさか。この僕の力を持ってしても分からない事があるなんて。
「いかが致しましょう?
また私が町まで下りて…」
「…いや、ハルの事だ。
そのうち、ひょっこり現れるさ」
「しかし、それでは…何か遭ってからでは…!」
「あいつは嗚呼見えて基本何でも出来る。一人で生きていくくらいの知識はあるさ。それに、急くばかりでは見えるものも見えなくなる。それこそ、時間の無駄さ」
いつか。それが何時かは知らない。けれど、いつか戻ってくるだろう。現に手渡した護符からも何の変化は感じられない。何か遭れば、何らかの反応が帰ってくるだろう。それこそ、呪詛返しみたいな…
「…っ、ハオさま!なんかくる!」
何が、そう音とする前にそれは鈍い音を立てて降って来た。…僕の、真後ろに。
流石の僕も急な出来事で驚いたさ、この時ばかりはね。次いで聞こえた期待を裏切らない声に安堵して、深い溜め息を吐き出した。そこまでは良かったんだ。
『…あんたは、何時のハオ?』
その瞬間、僕の中で何百年ぶりかの警鐘が木霊した。気がした。