12.大切な人の大事な人
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act.12-③:大切な人の大事な人-sideアンナ
「可哀想だけど、時間の問題ね」
葉明の命で春雨を取りに、東京へ舞い戻って来た時に溢した言葉は、誰かに向けられたものではなかった。けれど反応したのは、くっついて来た阿弥陀丸だった。
資料館から無断で預かっていた春雨は、今も此処ー炎の居間に立て掛けてあった。ったく…なんて無用心なのかしら。
「アンナ殿、それではハル殿は?!」
「十中八九、壊れるわね」
それでも、ハルの事だから逃げ切るかも知れないけれど。
麻倉が、葉明が、ハルをシャーマンにしたがっているのは知ってる。それが麻倉の存続の為なのか、他に何らかの意図が在るのかは分からないし、知りたくもない。あたしには関係ないと言いたいけど、葉はあたしのダンナだし、あたしはシャーマンキングの妻になる女。血縁者でなくとも、麻倉の者である事には変わりはない。
その点、ハルは葉明の孫であっても嫁いだ娘の子どもだからって分家扱いだし、麻倉の家に住むこともないけれど。それでも。
何か遭れば本家に戻されるし、麻倉の為に尽力しなければならない。まだ、そんな話を聞いた事はないけど。
「今まで呑気に生きてきた分、規則だの運命だの言われたら壊れるわよ」
本当に自由に。学校にも通わず、あちこち流れるまま。そんな度胸や勇気があたしにも在ったなら、今頃この場所から立ち去っていたのだろうか、時々ふとそんな想いを馳せる事がある。
「しかし、ハル殿には拙者の姿が見え…」
「それが、嘘だったら?」
「いや、しかし…!」
「ぜーんぶ、ハルのデタラメだったら?」
「……っ!」
「少なくとも、麻倉はそう見てるわ」
…可哀想、なんて思ってもない癖に。
これは必然だった、仕方なかったんだって言う度に嘘をつく自分に首を絞められる。本当にこれでいいのか、葉が悲しまないのか?
そう思うけれど、結局行き着く未来(こたえ)は変わらない。
「…アンナ殿も、そう思っているので御座るか?」
「いいえ?」
「え……?」
「…何よ」
「いや、その…」
「あたしは葉の妻だけど、麻倉の許嫁ではないもの。ハルを信じるわ」
「そう、で御座るな…」
「何よ、何か文句でもあるわけ?」
「な?!そ、そんな事は…!」
人間嫌いな葉が信じた一般人の肉親、最初は信じられなかったけど。あたしが信じるまで…と言われた訳ではないし、実際にそうだとは言えないだろうけど。葉に、繰り返し聞かされるハルとの生活に、妬けたなんてみっともなくて言えないじゃない。
それにあたしは…ハルの事が大好き葉が好きなんだもの。だから、信じてるわ。
「可哀想だけど、時間の問題ね」
葉明の命で春雨を取りに、東京へ舞い戻って来た時に溢した言葉は、誰かに向けられたものではなかった。けれど反応したのは、くっついて来た阿弥陀丸だった。
資料館から無断で預かっていた春雨は、今も此処ー炎の居間に立て掛けてあった。ったく…なんて無用心なのかしら。
「アンナ殿、それではハル殿は?!」
「十中八九、壊れるわね」
それでも、ハルの事だから逃げ切るかも知れないけれど。
麻倉が、葉明が、ハルをシャーマンにしたがっているのは知ってる。それが麻倉の存続の為なのか、他に何らかの意図が在るのかは分からないし、知りたくもない。あたしには関係ないと言いたいけど、葉はあたしのダンナだし、あたしはシャーマンキングの妻になる女。血縁者でなくとも、麻倉の者である事には変わりはない。
その点、ハルは葉明の孫であっても嫁いだ娘の子どもだからって分家扱いだし、麻倉の家に住むこともないけれど。それでも。
何か遭れば本家に戻されるし、麻倉の為に尽力しなければならない。まだ、そんな話を聞いた事はないけど。
「今まで呑気に生きてきた分、規則だの運命だの言われたら壊れるわよ」
本当に自由に。学校にも通わず、あちこち流れるまま。そんな度胸や勇気があたしにも在ったなら、今頃この場所から立ち去っていたのだろうか、時々ふとそんな想いを馳せる事がある。
「しかし、ハル殿には拙者の姿が見え…」
「それが、嘘だったら?」
「いや、しかし…!」
「ぜーんぶ、ハルのデタラメだったら?」
「……っ!」
「少なくとも、麻倉はそう見てるわ」
…可哀想、なんて思ってもない癖に。
これは必然だった、仕方なかったんだって言う度に嘘をつく自分に首を絞められる。本当にこれでいいのか、葉が悲しまないのか?
そう思うけれど、結局行き着く未来(こたえ)は変わらない。
「…アンナ殿も、そう思っているので御座るか?」
「いいえ?」
「え……?」
「…何よ」
「いや、その…」
「あたしは葉の妻だけど、麻倉の許嫁ではないもの。ハルを信じるわ」
「そう、で御座るな…」
「何よ、何か文句でもあるわけ?」
「な?!そ、そんな事は…!」
人間嫌いな葉が信じた一般人の肉親、最初は信じられなかったけど。あたしが信じるまで…と言われた訳ではないし、実際にそうだとは言えないだろうけど。葉に、繰り返し聞かされるハルとの生活に、妬けたなんてみっともなくて言えないじゃない。
それにあたしは…ハルの事が大好き葉が好きなんだもの。だから、信じてるわ。