11.「強くなりたい」
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act.11-①:嫌いではないけど-sideたまお
本家の血筋にして、麻倉始まって以来の厄介者。私が幹久様に聞いていた話ではそうだった。葉様の従姉弟で霊の見えない一般人、和泉田 ハル様。本家を追い出されたというから、私が仕える義理も様付けする事もないのだけど。
幹久様に連れ戻されたハル様は、気を失っているようで意識はなかった。初めましての挨拶も碌(ろく)にせず、放り込まれたのは冷たい地下の一室にある石牢の中。噂には聞いていたけど、本当にこんな牢屋が有るなんて思わなくて、でもだからと言って私には何もする事は出来ない。
別に…助けたい、訳じゃない。ただ少し、少しだけでもいいから話してみたかっただけ。
葉様がおっしゃるように面白い方なら、一般人でも良い人かも知れない…なんて。
麻倉には本来一般人が居てはいけない。いくら葉明様の命で、幹久様が連れ戻されたからって、シャーマンになるとは限らない。でも…でも、本当にシャーマンになってくれるのなら。どうか葉様の御力になりますように。そう…密かに願ってしまったのは、自分だけの秘密。
「さて。僕はまた出るけど、君は此処に残って葉を助けてあげなさい。…ハルも、気がついたらお義父さんに一度会わせて…いいね?」
「は、はい!あ、あの…ハル様は…素直に応じてくださるでしょうか?」
「いや、一筋縄ではいかないだろう。でも、それはお義父さんだって承知の上だ」
「そう、ですよね…。でも!あ、あの!その時は…私も、精一杯お手伝いします!」
「嗚呼、そうしてやってくれ」
「は、はい!」
大きさの割に以外と軽かったハル様の鞄を空いた部屋に置いてから自室へ。洋服から和装に着替えて、襷(たすき)掛けをしたら準備万端。夕食作りに取りかかる為、お台所へ足を向ける。予め下味を漬け込んでいたので、あとは焼いて盛り付けるだけ。余った時間で浴槽を洗い、座卓を拭いて。時間をなるべく無駄にしないように、有効活用するのが奉公の鉄則。
時間を確認すれば、葉様の到着時間より早かったので、少しでも葉様に喜んで貰えるようにと、エプロンを外しながらお台所を離れて葉様のお部屋へ向かう。
何も疚(やま)しい事じゃない、単なる掃き掃除をするだけ。
でも、何でだろう?未だ葉様は帰って居ないのに、私の心は酷く浮かれていた。
本家の血筋にして、麻倉始まって以来の厄介者。私が幹久様に聞いていた話ではそうだった。葉様の従姉弟で霊の見えない一般人、和泉田 ハル様。本家を追い出されたというから、私が仕える義理も様付けする事もないのだけど。
幹久様に連れ戻されたハル様は、気を失っているようで意識はなかった。初めましての挨拶も碌(ろく)にせず、放り込まれたのは冷たい地下の一室にある石牢の中。噂には聞いていたけど、本当にこんな牢屋が有るなんて思わなくて、でもだからと言って私には何もする事は出来ない。
別に…助けたい、訳じゃない。ただ少し、少しだけでもいいから話してみたかっただけ。
葉様がおっしゃるように面白い方なら、一般人でも良い人かも知れない…なんて。
麻倉には本来一般人が居てはいけない。いくら葉明様の命で、幹久様が連れ戻されたからって、シャーマンになるとは限らない。でも…でも、本当にシャーマンになってくれるのなら。どうか葉様の御力になりますように。そう…密かに願ってしまったのは、自分だけの秘密。
「さて。僕はまた出るけど、君は此処に残って葉を助けてあげなさい。…ハルも、気がついたらお義父さんに一度会わせて…いいね?」
「は、はい!あ、あの…ハル様は…素直に応じてくださるでしょうか?」
「いや、一筋縄ではいかないだろう。でも、それはお義父さんだって承知の上だ」
「そう、ですよね…。でも!あ、あの!その時は…私も、精一杯お手伝いします!」
「嗚呼、そうしてやってくれ」
「は、はい!」
大きさの割に以外と軽かったハル様の鞄を空いた部屋に置いてから自室へ。洋服から和装に着替えて、襷(たすき)掛けをしたら準備万端。夕食作りに取りかかる為、お台所へ足を向ける。予め下味を漬け込んでいたので、あとは焼いて盛り付けるだけ。余った時間で浴槽を洗い、座卓を拭いて。時間をなるべく無駄にしないように、有効活用するのが奉公の鉄則。
時間を確認すれば、葉様の到着時間より早かったので、少しでも葉様に喜んで貰えるようにと、エプロンを外しながらお台所を離れて葉様のお部屋へ向かう。
何も疚(やま)しい事じゃない、単なる掃き掃除をするだけ。
でも、何でだろう?未だ葉様は帰って居ないのに、私の心は酷く浮かれていた。