09.いざ、尋常に
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背後に生まれた闇が自分の襟首を掴んだので、道連れにするつもりで、愚弟の手首を掴んだ。急な事態に対応出来なかった奴は、そのまま成す術もないまま共に黒に溶けた。
それが凡そ半日前。徐々に近付く夜明け前の静寂を保つ此処で一呼吸。嗚呼、自然の空気は美味しい。季節柄、花粉なんてものはないし、全くの鳥目でもない。人工的な灯りが無くとも意外と何とかなるものである。
『未来王も、やはり人の子か』
シャーマンキングに一番近い存在だから、自称未来王。どうしても叶えたい夢があるとかで、二度転生を繰り返し今に至る。
本人はその能力故に鬼の子と称しているけれど、そもそも本当に鬼の子だったのなら、最初からシャーマンキングになるという夢は断たれている筈だ。本人が願っても、御上がそれを許さない。そこまで甘くない業界なのだ、神様曰く。
そうそう。神様と王様は決してイコールじゃない。シャーマンキングと王様はイコールでも、全知全能の神とシャーマンキングはイコールではないのだ。よく同一視されるから此処で訂正しておこう。
シャーマンキングになったからって、全部を統治出来るかは別問題なのだ。
全知全能の神だというのなら、何で神様が500年に1度新たに誕生するんだって話だ。似たような神種がポコポコと此処彼処に居たら、何れコミューンはパンクしてしまう。だから全知全能の神は、指折り数えるくらいが丁度いいのだ、実際は。
では、何故シャーマンキングと全知全能の神が同一視されてしまったのか。それは大昔シャーマンキングとなった者が神様へと相成ったから。この進化とも例えられる話はコミューン内でも事件というか、有り得ない話なので今は詳しく語らないが。取り敢えず、まぁ単純な話、王は神になる前の絶対条件とイメージしてもらえればいい。
その考えを踏まえて、改めて横たわる愚弟を見る。何でも知っていると豪語する癖に、その知識が自分には及ばない。それを伝えても、回りくどく示しても、こいつは納得しなかった。自分の中に蠢く巨大な鬼の力とやらに憔悴しているらしいから、まぁ当然と言えば当然か。
「ハル様、少しよろしいでしょうか?」
『はーい、何ざんしょ?』
「その、大変申し上げ難いのですが…」
言い淀んだ理由は直ぐに分かった。外に繋がる戸の前で、善と良がうでを組んで仁王立ちしていたから。ここを通りたければ俺たちを倒してみろ、的な口上を述べた後で取り出したギターとスタンドマイク。
纏うモノは視えはしないが、葉っぱやら小石やら枝やらが宙に浮かんでいるところを見るに、SFを申し込まれているのだろう。
「あんたが勝てば、此処から無事に帰してやる」
「但し、あんたが負ければ洗いざらい吐いてもらうぜ!」
何を、と聞くのは野暮だろう。取り敢えず彼らを刺客その1と2に仮定して、その3以降が現れる可能性もなくはない。何せ此処はシャーマンの間では有名な、ハオ一派の本拠地なのだから。
『あ、それ追加で』
「あ?」
あたしにシャーマンによる攻撃は効かない。もし効果があるとすれば、それはOSされた小石や葉っぱによるものだろう。それで傷を負うかも知れない。けれどタダでやられる自分でもない。
『もし、あたしが勝ったら…』
勝負は公平でなんぼ、不公平なんてナンセンス!
それが凡そ半日前。徐々に近付く夜明け前の静寂を保つ此処で一呼吸。嗚呼、自然の空気は美味しい。季節柄、花粉なんてものはないし、全くの鳥目でもない。人工的な灯りが無くとも意外と何とかなるものである。
『未来王も、やはり人の子か』
シャーマンキングに一番近い存在だから、自称未来王。どうしても叶えたい夢があるとかで、二度転生を繰り返し今に至る。
本人はその能力故に鬼の子と称しているけれど、そもそも本当に鬼の子だったのなら、最初からシャーマンキングになるという夢は断たれている筈だ。本人が願っても、御上がそれを許さない。そこまで甘くない業界なのだ、神様曰く。
そうそう。神様と王様は決してイコールじゃない。シャーマンキングと王様はイコールでも、全知全能の神とシャーマンキングはイコールではないのだ。よく同一視されるから此処で訂正しておこう。
シャーマンキングになったからって、全部を統治出来るかは別問題なのだ。
全知全能の神だというのなら、何で神様が500年に1度新たに誕生するんだって話だ。似たような神種がポコポコと此処彼処に居たら、何れコミューンはパンクしてしまう。だから全知全能の神は、指折り数えるくらいが丁度いいのだ、実際は。
では、何故シャーマンキングと全知全能の神が同一視されてしまったのか。それは大昔シャーマンキングとなった者が神様へと相成ったから。この進化とも例えられる話はコミューン内でも事件というか、有り得ない話なので今は詳しく語らないが。取り敢えず、まぁ単純な話、王は神になる前の絶対条件とイメージしてもらえればいい。
その考えを踏まえて、改めて横たわる愚弟を見る。何でも知っていると豪語する癖に、その知識が自分には及ばない。それを伝えても、回りくどく示しても、こいつは納得しなかった。自分の中に蠢く巨大な鬼の力とやらに憔悴しているらしいから、まぁ当然と言えば当然か。
「ハル様、少しよろしいでしょうか?」
『はーい、何ざんしょ?』
「その、大変申し上げ難いのですが…」
言い淀んだ理由は直ぐに分かった。外に繋がる戸の前で、善と良がうでを組んで仁王立ちしていたから。ここを通りたければ俺たちを倒してみろ、的な口上を述べた後で取り出したギターとスタンドマイク。
纏うモノは視えはしないが、葉っぱやら小石やら枝やらが宙に浮かんでいるところを見るに、SFを申し込まれているのだろう。
「あんたが勝てば、此処から無事に帰してやる」
「但し、あんたが負ければ洗いざらい吐いてもらうぜ!」
何を、と聞くのは野暮だろう。取り敢えず彼らを刺客その1と2に仮定して、その3以降が現れる可能性もなくはない。何せ此処はシャーマンの間では有名な、ハオ一派の本拠地なのだから。
『あ、それ追加で』
「あ?」
あたしにシャーマンによる攻撃は効かない。もし効果があるとすれば、それはOSされた小石や葉っぱによるものだろう。それで傷を負うかも知れない。けれどタダでやられる自分でもない。
『もし、あたしが勝ったら…』
勝負は公平でなんぼ、不公平なんてナンセンス!