08.何処までも深い
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最近従兄弟達が面白い。弟と称する葉はユルいけど可愛い。お嫁ちゃんに怒られながら頑張る姿。そして決める時は決める。そのギャップがカッコ可愛い。
対して奴は複数形。愚弟と愉快な仲間達。個性豊かな人達が居るから、見てて飽きない。
そんな2人の腕に光るのは、パッチ族が誇る技術の結晶―オラクルベル。SF運営に携わるパッチ族、うち十祭司に試されて漸く参加資格が与えられる目印みたいな物。シャーマン巫力を数値化するというハイテク技術を具現化した代物だが、
「昔はそんな物無かったがなぁ…」
と歴代の十祭司はこう申しておりまして…。いや、正確に言えばオラクルベルは在ったんだ。でも液晶画面とか当時は無かったから、大変だったんだよ…っていう副音声も兼ねているのを忘れてはならない。
彼が生きた時代のオラクルベルは今みたいな形状ではなく、どっちかと言えば審判を勤めた十祭司が常に肌身離さず持ち歩いていた気がする。
「それはもう、重いわ面倒だわ…」
伝統技術で編んだ頑丈な鞄を背負って回ったせいで慢性的な肩凝りが…とも申しております。
「時代は変わったんだなぁ…」
俺が生きてたのって、今から凡(およ)そ二千年前の話だし…
そうか、もうそんなになるのか。そりゃあ時代も変わるわ。オラクルベルがあんな持ち運び便利な形に変貌してたって、文句は言えまい。
「でもさ、あれ…十祭司の恰好はあんまり変わらないんだな」
パッチ族の仕立て屋が編んだ衣装。十祭司の胸部にある鉄板みたいな装飾品も含めた全てがオーダーメイド。家事や育児は主に女性が担当するという話だが、あれは基本的に男性の仕事なんだとか。男性は男性、女性は女性(成人未満の子供含む)でそれぞれ衣装を手造りする。昔はそうだったんだ。
…と思い出に浸る時点で、嗚呼コイツもオッサンになったんだなぁと。見た目無駄に美人なもんだから、在る意味こいつもギャップ勢の一員か。
『あ、ハゲが来た』
今日こそ…?!貴様ソノ姿、パッチかッ!
「おう、あんたの代より以前に十祭司をしていたもんだ。トゥエガという、宜しく頼む」
十祭司だト?!ならば下っ端とイウ事だな!其処ヲ退ケ!
「断る」
媒介である武器を向けたウルヴァの前に割って入ったトゥエガが、あたしを隠すように立ちはだかる。嗚呼イケメンに護られるなんて役得…なんて考えてる場合じゃない。っていうか、ウルヴァもシャーマンなんだからオトせるのでは?
「あーうん…気持ちは分かるが此処は俺に任せてくれるか?ほら、俺もシャーマンだからさ」
企んでいた思考を遮断される。曰わく「巻き添えは勘弁」とか「俺まで力を失うのは嫌だ」と目が訴えていたので、仕方ない。止めてあげようじゃないか。今回は、ね。
ところで。ウルヴァの未練は自身の死因にある。今でいう悪霊。死後コミューンにも行かず、人の世をブラブラ徘徊している様は「まるでボケた爺のようだ」と以前キィバが話していた。確かに、と頷いて今後どう対処すべきかを話し合って、行き着いた答えが
「な!?ちょっ、は、んんんっ?!」
何ダこれはッ!?
ウルヴァの足元から黒い帯状の手が伸びたかと思えば、そのまま体に巻き付いて奴を簀巻き状態に。驚きと怒りと恨めしさを断末魔に載せて、そのまま(実際には何の変化もないが)地面に吸い込まれるかのようにして、消えた。
「…あれは、何をしたんだ?」
『この前キィバに教えて貰ってたの、いざって時は遠慮なく使えって!』
「(…今のは、いざって時だったか?)」
『いやぁ、いざって時って実際いつなんだろうねぇ』
「(そうだよな、今はいざって時じゃないよな?俺居るし、戦えたし、負ける気しないし?!)」
『あ、因みに1週間くらいで帰って来るよ?今よりもっと強くなって』
「…まさか」
『あははー』
「(だよな!そうだよな!だと思ったんだよちくしょう!)嗚呼、もう!」
『うおっ!?』
腰に手を回され抱えられる。ただ横抱きでは無い事が残念でならない。片腕の負担は大丈夫か?あたし中卒以来、体重計に乗った事無いんだけど。
背後で風を起こす音がする。徐々に遠ざかる地面に別れを告げて、目的地はあたしを平然と抱えるトゥエガのみぞ知る。
嗚呼、今が真冬じゃなくて良かった。
対して奴は複数形。愚弟と愉快な仲間達。個性豊かな人達が居るから、見てて飽きない。
そんな2人の腕に光るのは、パッチ族が誇る技術の結晶―オラクルベル。SF運営に携わるパッチ族、うち十祭司に試されて漸く参加資格が与えられる目印みたいな物。シャーマン巫力を数値化するというハイテク技術を具現化した代物だが、
「昔はそんな物無かったがなぁ…」
と歴代の十祭司はこう申しておりまして…。いや、正確に言えばオラクルベルは在ったんだ。でも液晶画面とか当時は無かったから、大変だったんだよ…っていう副音声も兼ねているのを忘れてはならない。
彼が生きた時代のオラクルベルは今みたいな形状ではなく、どっちかと言えば審判を勤めた十祭司が常に肌身離さず持ち歩いていた気がする。
「それはもう、重いわ面倒だわ…」
伝統技術で編んだ頑丈な鞄を背負って回ったせいで慢性的な肩凝りが…とも申しております。
「時代は変わったんだなぁ…」
俺が生きてたのって、今から凡(およ)そ二千年前の話だし…
そうか、もうそんなになるのか。そりゃあ時代も変わるわ。オラクルベルがあんな持ち運び便利な形に変貌してたって、文句は言えまい。
「でもさ、あれ…十祭司の恰好はあんまり変わらないんだな」
パッチ族の仕立て屋が編んだ衣装。十祭司の胸部にある鉄板みたいな装飾品も含めた全てがオーダーメイド。家事や育児は主に女性が担当するという話だが、あれは基本的に男性の仕事なんだとか。男性は男性、女性は女性(成人未満の子供含む)でそれぞれ衣装を手造りする。昔はそうだったんだ。
…と思い出に浸る時点で、嗚呼コイツもオッサンになったんだなぁと。見た目無駄に美人なもんだから、在る意味こいつもギャップ勢の一員か。
『あ、ハゲが来た』
今日こそ…?!貴様ソノ姿、パッチかッ!
「おう、あんたの代より以前に十祭司をしていたもんだ。トゥエガという、宜しく頼む」
十祭司だト?!ならば下っ端とイウ事だな!其処ヲ退ケ!
「断る」
媒介である武器を向けたウルヴァの前に割って入ったトゥエガが、あたしを隠すように立ちはだかる。嗚呼イケメンに護られるなんて役得…なんて考えてる場合じゃない。っていうか、ウルヴァもシャーマンなんだからオトせるのでは?
「あーうん…気持ちは分かるが此処は俺に任せてくれるか?ほら、俺もシャーマンだからさ」
企んでいた思考を遮断される。曰わく「巻き添えは勘弁」とか「俺まで力を失うのは嫌だ」と目が訴えていたので、仕方ない。止めてあげようじゃないか。今回は、ね。
ところで。ウルヴァの未練は自身の死因にある。今でいう悪霊。死後コミューンにも行かず、人の世をブラブラ徘徊している様は「まるでボケた爺のようだ」と以前キィバが話していた。確かに、と頷いて今後どう対処すべきかを話し合って、行き着いた答えが
「な!?ちょっ、は、んんんっ?!」
何ダこれはッ!?
ウルヴァの足元から黒い帯状の手が伸びたかと思えば、そのまま体に巻き付いて奴を簀巻き状態に。驚きと怒りと恨めしさを断末魔に載せて、そのまま(実際には何の変化もないが)地面に吸い込まれるかのようにして、消えた。
「…あれは、何をしたんだ?」
『この前キィバに教えて貰ってたの、いざって時は遠慮なく使えって!』
「(…今のは、いざって時だったか?)」
『いやぁ、いざって時って実際いつなんだろうねぇ』
「(そうだよな、今はいざって時じゃないよな?俺居るし、戦えたし、負ける気しないし?!)」
『あ、因みに1週間くらいで帰って来るよ?今よりもっと強くなって』
「…まさか」
『あははー』
「(だよな!そうだよな!だと思ったんだよちくしょう!)嗚呼、もう!」
『うおっ!?』
腰に手を回され抱えられる。ただ横抱きでは無い事が残念でならない。片腕の負担は大丈夫か?あたし中卒以来、体重計に乗った事無いんだけど。
背後で風を起こす音がする。徐々に遠ざかる地面に別れを告げて、目的地はあたしを平然と抱えるトゥエガのみぞ知る。
嗚呼、今が真冬じゃなくて良かった。