06.いいなずけ
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常に誰かが見張っていたハルから完全に目を逸らして早3日。皆に指示を出しテントに戻ろうとした、ところで背後から静かに気配が近付く。
「ハオ様…」
「カンナか…どうした?」
振り向かずとも分かるが、敢えてその表情を窺う為に身体ごと向き直った。
「あの、ハル様の事で少し…」
そろそろ、来る頃だとは思っていた。花組か月組か、誰かしら彼女の事を知りたがる奴が現れるだろうと。ただ今回居たのは彼女1人だけだったが。
「単刀直入に窺います。ハル様は、シャーマンなんでしょうか?」
「本人は否定するけどね、僕はそう見ているよ」
S・O・Fの存在を認識し、例え一瞬でも使役した。俄に信じがたい話だが、目の前で体験した以上は無視出来ない案件だ。
「では…今後、仲間になる可能性は?」
「今の段階では未だ無いかな?彼女の能力が分からない以上、何とも言えない」
分かっているのはS・O・Fと会話するのみだ。使役した本人も言うように、それは一瞬の出来事なので、正確にこういう能力だとは断言出来ない。戦闘手段も謎なままだ。
「ハオ様は以前、"強いシャーマンになる為には共に行動すればいい"と…」
「嗚呼、言ったね」
その結果、今のような格差が生まれた。例えば花組。相変わらずシャーマンを否定するハルに近寄ろうとせず、関わろうともしない。それでは何時まで経っても進展どころか溝は深くなるだろう。
これが他の奴らでもそうだ。せめてラキストみたいに、とまではいかなくても少しは互いに歩み寄ってみるのも手だと思う。
別に喧嘩の仲裁役を引き受けようとしている訳じゃない。ただシャーマンとしての能力を開花させ、仲間に入る入らないを気にするなら、先ず何をおいても其処からだ。
「なら、1つ頼まれてくれるかい?」
今回はカンナ相手だが、実際には誰でもいい。シャーマンでは無いが、頑固な身内の能力を確認して来て欲しいのだ。
僕達以外のシャーマンなら誰でもいい。どうしようもなくちっちぇえ奴を突(つつ)いて、ハルに喧嘩を嗾(けしか)けて貰いたい。ただし出来るだけ最終手段は使わないように。
「ハルは殺すなよ、いいね?」
完全に乗り気ではない彼女の背を見送って空を仰ぐ。何時かは実行しようと思っていたが、些か早すぎただろうか。
せめてシャーマン相手に回避出来るようになってからの方が良かったか、なんて僅かな後悔が襲う。
「ハオ様…ハル様が明日、発たれるそうです」
「…ハルの事は放っておけと言ったろ?」
「はい、ですが…」
食材の買い出しに出向いたラキスト曰わく「S・O・Fが近くに居ないにも関わらず、独り言を話していた」というのだ。これはもう、シャーマン確定だ。
「全く…ハルには困ったものだね」
彼女の能力に害は無い。が、矢張り見張りは必要か。
「そう言えば、花組に何か新たな指示を…?」
「花組?」
「先程町中へ向かう3人の姿をザンチンが目撃したようで。珍しい事もあるものだと…」
先の指示、カンナ単独で動けとは言っていない。それにハルに関して言及もした。だが、それに関して逡巡する自分がいるのもまた事実。
花組は出生故、人間を憎んでいる。相手がシャーマンであるなら「弱い奴は相手にするだけ…」という時もある。けれどそれが人間の場合、全く別の表情を覗かせる。
「如何致しましょう?」
万が一を考えた時には、時既に遅しという事もある。
ハルは、これまでに幾度もシャーマンと接点が有った。それなりの数とは出会っている筈だ。X-LAWS然り、ガンダーラ然り。
彼女の顔は広く、元より物怖じしない性格が最大限に生かされた為、人脈も多岐に渡る。
一カ所に留まらず、大小様々な国に必ず1人は知り合いが居る。今まで旅してきた彼女の功績だろう。そしてその大半は、何故かシャーマンときた。
必要な知識はそいつらから貰ったにしても、僕と会話していた時の、僕らしか知らない情報は一体何処から出て来る?
可能性が無い訳ではないが、もしそうだと仮定したら、今まで見てきた僕のハルという記憶自体に問題が生じる。
有り得ない、彼女がまさか…
「ハオさま、だれかきた」
テントから出てきたオパチョから、来訪者の存在を受け取る。招かれざる客ではないが、些かタイミングが悪い気がする。
「ラキスト、ハルの元へ」
「はっ!」
「オパチョはこっちにおいで」
「うん」
以前、此処に人が踏み込んだ事を示す切り株へ腰掛けると、振り返る事なく口を開く。背後で静かに、口角が上がる気配がした。
「ハオ様…」
「カンナか…どうした?」
振り向かずとも分かるが、敢えてその表情を窺う為に身体ごと向き直った。
「あの、ハル様の事で少し…」
そろそろ、来る頃だとは思っていた。花組か月組か、誰かしら彼女の事を知りたがる奴が現れるだろうと。ただ今回居たのは彼女1人だけだったが。
「単刀直入に窺います。ハル様は、シャーマンなんでしょうか?」
「本人は否定するけどね、僕はそう見ているよ」
S・O・Fの存在を認識し、例え一瞬でも使役した。俄に信じがたい話だが、目の前で体験した以上は無視出来ない案件だ。
「では…今後、仲間になる可能性は?」
「今の段階では未だ無いかな?彼女の能力が分からない以上、何とも言えない」
分かっているのはS・O・Fと会話するのみだ。使役した本人も言うように、それは一瞬の出来事なので、正確にこういう能力だとは断言出来ない。戦闘手段も謎なままだ。
「ハオ様は以前、"強いシャーマンになる為には共に行動すればいい"と…」
「嗚呼、言ったね」
その結果、今のような格差が生まれた。例えば花組。相変わらずシャーマンを否定するハルに近寄ろうとせず、関わろうともしない。それでは何時まで経っても進展どころか溝は深くなるだろう。
これが他の奴らでもそうだ。せめてラキストみたいに、とまではいかなくても少しは互いに歩み寄ってみるのも手だと思う。
別に喧嘩の仲裁役を引き受けようとしている訳じゃない。ただシャーマンとしての能力を開花させ、仲間に入る入らないを気にするなら、先ず何をおいても其処からだ。
「なら、1つ頼まれてくれるかい?」
今回はカンナ相手だが、実際には誰でもいい。シャーマンでは無いが、頑固な身内の能力を確認して来て欲しいのだ。
僕達以外のシャーマンなら誰でもいい。どうしようもなくちっちぇえ奴を突(つつ)いて、ハルに喧嘩を嗾(けしか)けて貰いたい。ただし出来るだけ最終手段は使わないように。
「ハルは殺すなよ、いいね?」
完全に乗り気ではない彼女の背を見送って空を仰ぐ。何時かは実行しようと思っていたが、些か早すぎただろうか。
せめてシャーマン相手に回避出来るようになってからの方が良かったか、なんて僅かな後悔が襲う。
「ハオ様…ハル様が明日、発たれるそうです」
「…ハルの事は放っておけと言ったろ?」
「はい、ですが…」
食材の買い出しに出向いたラキスト曰わく「S・O・Fが近くに居ないにも関わらず、独り言を話していた」というのだ。これはもう、シャーマン確定だ。
「全く…ハルには困ったものだね」
彼女の能力に害は無い。が、矢張り見張りは必要か。
「そう言えば、花組に何か新たな指示を…?」
「花組?」
「先程町中へ向かう3人の姿をザンチンが目撃したようで。珍しい事もあるものだと…」
先の指示、カンナ単独で動けとは言っていない。それにハルに関して言及もした。だが、それに関して逡巡する自分がいるのもまた事実。
花組は出生故、人間を憎んでいる。相手がシャーマンであるなら「弱い奴は相手にするだけ…」という時もある。けれどそれが人間の場合、全く別の表情を覗かせる。
「如何致しましょう?」
万が一を考えた時には、時既に遅しという事もある。
ハルは、これまでに幾度もシャーマンと接点が有った。それなりの数とは出会っている筈だ。X-LAWS然り、ガンダーラ然り。
彼女の顔は広く、元より物怖じしない性格が最大限に生かされた為、人脈も多岐に渡る。
一カ所に留まらず、大小様々な国に必ず1人は知り合いが居る。今まで旅してきた彼女の功績だろう。そしてその大半は、何故かシャーマンときた。
必要な知識はそいつらから貰ったにしても、僕と会話していた時の、僕らしか知らない情報は一体何処から出て来る?
可能性が無い訳ではないが、もしそうだと仮定したら、今まで見てきた僕のハルという記憶自体に問題が生じる。
有り得ない、彼女がまさか…
「ハオさま、だれかきた」
テントから出てきたオパチョから、来訪者の存在を受け取る。招かれざる客ではないが、些かタイミングが悪い気がする。
「ラキスト、ハルの元へ」
「はっ!」
「オパチョはこっちにおいで」
「うん」
以前、此処に人が踏み込んだ事を示す切り株へ腰掛けると、振り返る事なく口を開く。背後で静かに、口角が上がる気配がした。