02.行ってきます
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『おや、豆腐がない』
葉に聞いたリクエスト、肝心の豆腐が無いではないか。そう言えば買い置きは今朝の味噌汁に消えてしまったから、仕方ないと言えばそうだけど。
昼食は手軽にカップ麺。一人だと余計にパンとか適当に空腹を満たして終わる事が増えた。洗い物も少ない方が家計にも助かる訳だし。
午後の天気をチェックして、必要最低限だけをエコバック兼リュックに入れて外へ飛び出した。うん、今日はあの変態ロン毛男の姿は見られないようだし、さっさと買い物を済ませてしまおう。そう思ってスーパーへ急いだ。
『わぁーお…』
途中で嫌な敵に出くわした。少なくともあの後ろ姿はアホな愚弟ではない。
『ラキスト』
「ハル様!」
こんな町中で彼と会うのは大変珍しい事だった。何せ彼と言えば、愚弟の臣下でチームメイトじゃないか。あいつと行動を共にしているのは良く見かけるが、単独行動はイメージ出来なかった。
「ハル様、お迎えに上がりました」
聞けば、奴は本日野暮用があって此処まで来れないという。わざわざ来なくても良いのに、と思う。最早口癖と化しているが、自分はシャーマンではないのだから気にするだけ時間の無駄だろうに。
「貴女様には我々には無い未知なる能力が眠っている気がします」
『買いかぶり過ぎでは?』
「いえ、少なくとも私を含め、ハオ様もそう思っていますよ」
面倒臭い、非常に面倒臭い展開だ。姿を見かけた手前、無視する事に後ろめたさを感じたので声をかけたのだが。
『…わかった。その代わり、付き合って』
「は?」
『晩御飯の買い物よ、お豆腐が無くってさ』
少し呆気にとられた後、彼から渋々といった具合に了承を得た。面倒臭いとかダルいとか、仕方ないから愚弟に愚痴ってやろうと考えて。
『あ、そう言えばさ』
今彼に聞くべきはカレーの感想?否。嫌われないように、オパチョの好きなものを聞いておく?否。今最も聞くべき事とは
『ズバリ、天使の撒き方とは?』
「…はい?」
ラキストの持ち霊に良く似た波動を持つ天使軍団。果たしてアレが本物ならば、その手の知り合いに聞くんだけども。
『ラキストの知り合いだよね。眼光鋭くって、特にメガネさんが』
ストーカーとか、そんなもので表現出来ないけど。何て言うか…愚弟と話してるのを見られてたみたいで、その事に関しての追及というか、無言の圧力というか、何とも言えない視線が突き刺さるのだ。まぁ、だからって害が有るかと聞かれれば、自信を持って全く無いと無い胸を張るんだろうけど。
『律儀だよねぇ』
ああいうのを忠誠心と言うのだろう、きっと。ラキストも然り。まぁ、あたしには無縁の話だけれど。
『一般人で良かった』
清々しいと心底有り難く思っての感想を述べれば、彼は何とも微妙な顔をしていた。