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act.01-②:懐かし振り
「誰が、何だって?」
『まぁ、お茶もお出し出来ませんと』
海外で別れた愚弟(と書いて変態と読む)が現れた。理由はその格好にある。
次の日、葉が散歩を兼ねた持ち霊探しに出た日の昼。あたしも家にばかり引き籠もるのは良くないと、門を潜ろうとした時に上から降って来た。そう、文字通り降って来たのだ。声が、じゃなくて身体ごと。大事な所なんで二回言ってみる。
『何のお話で?』
「昨夜君が言った内容さ。…で、誰が何て?」
『嗚呼、"アホの子ほど可愛い"ってやつ?』
「…それ、僕を思い浮かべて言ったろ?」
『やーねー、自意識過剰!まぁ、その通りですけども』
「君って案外命知らずだよね」
『あー、そうかもねー』
のほほんとした空気が流れた。でも主に自分の周りだけで、愚弟の周りは冷たい。可笑しい、こいつは炎の精霊さんを持ち霊としている筈だが。
『そう言えば。赤ちゃんの、名前決まった?』
「…、オパチョ」
『可愛いねぇ。君が名付けたんでしょ?その理由は敢えて聞かないけどさ』
「…、何?」
『ううん、何時か会わせてね』
其方が良ければ、と付け足しておく。だって其方さん、あたしの事避けてるんだもん。会いたくないって言う子に会いに行って、わざわざ嫌われたくはないもんだし。
『また、河原でキャンプ?』
「…いや、人里離れた場所に居る」
『ほうほう、で?何かご用だった?』
「…別に」
『ふーん、なら通して。あたしこれから散歩』
目の前で仁王立ちされると、隙間なんて無いから前進出来ない。と目で訴えてみる。此方を一瞥すると、奴が一歩後退したので自分も一歩踏み出した。
―――
何故か奴は付いて来た。あたしが人気の無い場所ばかり巡る事を予め知ってたみたいだ。
「予想の範囲だけどね」
『だろうねぇ』
奴が持っているとされる霊視は効いたり効かなかったりするので、今みたいに返事がある時もある。でも、だからこそ全部じゃない。
それにしても、何故こいつはあたしを構うのか。よっぽどの暇人か、
「違う」
よっぽどの物好きか、もしくは…
コノ先ニハ行クナ、霊ノ溜マリ場ニナッテイル
『む…そんなの言われても見えないんだもん、しゃーないでしょうよ』
「…誰と話してるの?」
『誰って、そりゃあ…って!言い逃げかよ!』
S・O・F、って言いかけた。喉から溢れそうだった所でタイミング良く声が途絶えたので、あたしも押し黙る。
『独り言よ』
そう独り言、彼らが自分を避けたい尤もな理由だ。これであたしにも愛想が尽きてしまえばいい。そうしたら、何処へでも行く事が出来るのに…
そう、憧れの貴船神社だって!
「駄目だよ」
『む!大丈夫だよ、あたし一般人だもん!』
「でも駄目。例え今は見えはしなくとも、君は僕の子孫なんだから」
『…あたしだけがその枠組みに当てはまる訳じゃないのに』
「他の奴らは少なくとも自制が出来る。でも、君は出来ない」
『だから』
「何時か、君の能力が開花するかもしれないだろ?」
『嫌だ、しない。っていうかさせないし、出来ない。あたしはシャーマンじゃないんだから』
そう、シャーマンじゃない。能力の根本は酷似してるけど、あたしの大元の呼び方はシャーマンじゃない他の言い方をする。でもそれは誰も知らないんだ、だってもう…
『期待しないで、君とあたしは違う』
随分前に滅んだ少数民族の生き方を継ぐ、この世で最後の生き残りなんだもの。
「誰が、何だって?」
『まぁ、お茶もお出し出来ませんと』
海外で別れた愚弟(と書いて変態と読む)が現れた。理由はその格好にある。
次の日、葉が散歩を兼ねた持ち霊探しに出た日の昼。あたしも家にばかり引き籠もるのは良くないと、門を潜ろうとした時に上から降って来た。そう、文字通り降って来たのだ。声が、じゃなくて身体ごと。大事な所なんで二回言ってみる。
『何のお話で?』
「昨夜君が言った内容さ。…で、誰が何て?」
『嗚呼、"アホの子ほど可愛い"ってやつ?』
「…それ、僕を思い浮かべて言ったろ?」
『やーねー、自意識過剰!まぁ、その通りですけども』
「君って案外命知らずだよね」
『あー、そうかもねー』
のほほんとした空気が流れた。でも主に自分の周りだけで、愚弟の周りは冷たい。可笑しい、こいつは炎の精霊さんを持ち霊としている筈だが。
『そう言えば。赤ちゃんの、名前決まった?』
「…、オパチョ」
『可愛いねぇ。君が名付けたんでしょ?その理由は敢えて聞かないけどさ』
「…、何?」
『ううん、何時か会わせてね』
其方が良ければ、と付け足しておく。だって其方さん、あたしの事避けてるんだもん。会いたくないって言う子に会いに行って、わざわざ嫌われたくはないもんだし。
『また、河原でキャンプ?』
「…いや、人里離れた場所に居る」
『ほうほう、で?何かご用だった?』
「…別に」
『ふーん、なら通して。あたしこれから散歩』
目の前で仁王立ちされると、隙間なんて無いから前進出来ない。と目で訴えてみる。此方を一瞥すると、奴が一歩後退したので自分も一歩踏み出した。
―――
何故か奴は付いて来た。あたしが人気の無い場所ばかり巡る事を予め知ってたみたいだ。
「予想の範囲だけどね」
『だろうねぇ』
奴が持っているとされる霊視は効いたり効かなかったりするので、今みたいに返事がある時もある。でも、だからこそ全部じゃない。
それにしても、何故こいつはあたしを構うのか。よっぽどの暇人か、
「違う」
よっぽどの物好きか、もしくは…
コノ先ニハ行クナ、霊ノ溜マリ場ニナッテイル
『む…そんなの言われても見えないんだもん、しゃーないでしょうよ』
「…誰と話してるの?」
『誰って、そりゃあ…って!言い逃げかよ!』
S・O・F、って言いかけた。喉から溢れそうだった所でタイミング良く声が途絶えたので、あたしも押し黙る。
『独り言よ』
そう独り言、彼らが自分を避けたい尤もな理由だ。これであたしにも愛想が尽きてしまえばいい。そうしたら、何処へでも行く事が出来るのに…
そう、憧れの貴船神社だって!
「駄目だよ」
『む!大丈夫だよ、あたし一般人だもん!』
「でも駄目。例え今は見えはしなくとも、君は僕の子孫なんだから」
『…あたしだけがその枠組みに当てはまる訳じゃないのに』
「他の奴らは少なくとも自制が出来る。でも、君は出来ない」
『だから』
「何時か、君の能力が開花するかもしれないだろ?」
『嫌だ、しない。っていうかさせないし、出来ない。あたしはシャーマンじゃないんだから』
そう、シャーマンじゃない。能力の根本は酷似してるけど、あたしの大元の呼び方はシャーマンじゃない他の言い方をする。でもそれは誰も知らないんだ、だってもう…
『期待しないで、君とあたしは違う』
随分前に滅んだ少数民族の生き方を継ぐ、この世で最後の生き残りなんだもの。