序章

 彼がいたのは、通っている中学校の屋上だった。
 星空の下「何か」が彼に語りかけてくる。
「…君と、話をしてみたかった。」
「何か」の姿はよく解らなかった。ただひどく穏やかに、寂しげに声が響いてくる。
「何か」は続けて言った。
「…戦えないのに、この場所で戦うことを選んだ君と。」
 それを聞き、彼は一瞬だけ目を閉じる。
 とある中学校の校舎。…夜明けは遠かった。
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