転章
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里外周の警邏の任を終え、すっかり静まり返った里を走る。
少々雲はあるものの、満月なので周囲はぼんやりと弱く見渡せている。
木ノ葉の里は日中、周辺地域から行商や観光で多くの人が行き交う。しかし、夜は市場も閉まってしまうのですっかり静かだ。
太陽があれば春らしい空気も、今はシンと冷たく感じられた。
自分の借りているアパートが見えて、走る速度を緩く落としていく。
足音を消して階段を上がる頃、まとまった雲が月を覆っていく。ほんの僅かな間、里は真っ暗な闇に飲まれた。
階段を上がりきり、月がゆっくりと顔を出したとき、うゆうはその場で足を揃えた。
「……どちらさまでしょうか。」
部屋の前に立っていたのは、施設長よりもずっと年上らしい男。
杖をついているが、ここまで近づかなければ悟れなかった気配や、その立ち姿が只者ではないことを証明している。
雲が晴れ、弱く辺りを照らす。
月光に照らされ包帯で顔の右半分を覆った男。彼は静かに名乗った。
志村ダンゾウ。その名を頭の中で反芻する。
たしか、火影様の相談役であったはずだ。たしか中忍試験の三次試験にも参列なさっていたと記憶している。
しかしそれ以上詳しいことは何も知らなかった。
そう、知らないのである。それが目の前の男の優秀さであると、うゆうはすぐに気付く。
「敏い。だが、不十分。闇を知り、忍になれ。でなければこの里を正しく平和へと導くことはできない。」
「ダンゾウ様の考える平和とは、どのような形をしているのでしょう。」
コツと杖が硬い床に当たる。
広くない廊下。すれ違う。なんのにおいもなく、単調な杖の音だけがそこにいることを知らしめる。
まるで闇を自在纏っているのではないのかとさえ感じた。
「……光が当たれば必ず影が落ちる。影があればこそ光が際立つ。」
振り返る。そこには深い闇があるだけだった。
少々雲はあるものの、満月なので周囲はぼんやりと弱く見渡せている。
木ノ葉の里は日中、周辺地域から行商や観光で多くの人が行き交う。しかし、夜は市場も閉まってしまうのですっかり静かだ。
太陽があれば春らしい空気も、今はシンと冷たく感じられた。
自分の借りているアパートが見えて、走る速度を緩く落としていく。
足音を消して階段を上がる頃、まとまった雲が月を覆っていく。ほんの僅かな間、里は真っ暗な闇に飲まれた。
階段を上がりきり、月がゆっくりと顔を出したとき、うゆうはその場で足を揃えた。
「……どちらさまでしょうか。」
部屋の前に立っていたのは、施設長よりもずっと年上らしい男。
杖をついているが、ここまで近づかなければ悟れなかった気配や、その立ち姿が只者ではないことを証明している。
雲が晴れ、弱く辺りを照らす。
月光に照らされ包帯で顔の右半分を覆った男。彼は静かに名乗った。
志村ダンゾウ。その名を頭の中で反芻する。
たしか、火影様の相談役であったはずだ。たしか中忍試験の三次試験にも参列なさっていたと記憶している。
しかしそれ以上詳しいことは何も知らなかった。
そう、知らないのである。それが目の前の男の優秀さであると、うゆうはすぐに気付く。
「敏い。だが、不十分。闇を知り、忍になれ。でなければこの里を正しく平和へと導くことはできない。」
「ダンゾウ様の考える平和とは、どのような形をしているのでしょう。」
コツと杖が硬い床に当たる。
広くない廊下。すれ違う。なんのにおいもなく、単調な杖の音だけがそこにいることを知らしめる。
まるで闇を自在纏っているのではないのかとさえ感じた。
「……光が当たれば必ず影が落ちる。影があればこそ光が際立つ。」
振り返る。そこには深い闇があるだけだった。
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