歩章
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施設長が用意してくれた写真撮影は三十分ほどで撮り終えた。
写真館の出入り口近くに設置された棚、その中段にはケースに入れてディスプレイされる一眼レフのような形状のカメラがあった。持ち運びはできそうだが、まだ随分大型だ。
写真を撮る機械いえば手のひらに収まるインスタントカメラや携帯電話が思いつくが、この木ノ葉の里では三脚に乗せた大きな箱型のカメラが主流らしい。ネガを作ってから印刷をする、私から言わせれば古めかしい手法だ。ディスプレイにあるような持ち歩きできるカメラもあるらしいがまだ高価なものらしく、日常のなんとなくを写真で記録する文化が来る日はまだまだ遠そうである。
「なんだいお嬢ちゃん、カメラに興味があるのか?」
「ええと、そうですね。フィルムカメラなんてそうそう見かけないものですから。」
「へえ、詳しいんだねえ。」
写真館スタッフのオジサンは名をゲンゾウと言うらしい。胸につけたネームプレートを指差して、父親のカメラ好きが昂じてこんな名前になったのだと苦笑する。
一眼レフのような形状で大人が両手で持つのがやっとという大きなカメラ。彼はそれをケースから取り出して私に向け、一回だけシャッターを切った。
「君らがさっき撮影した大きいカメラでは身構えてしまうだろう?このカメラならより自然な表情を撮ることができる。良いものだよ。」
「私にも扱えますか?」
「難しい操作はないさ。やってみるか?」
ツマミを回してからシャッターを切る。本当はもっと環境や場面にあわせて設定するらしいが、最低限写すだけならこれだけで良いらしい。
カウンターで支払いや受け取り時間の確認をしている施設長と、ソファーで休憩しているイルカを、一枚に収めるよう移動してシャッターを切った。パチリと気味のいい音がする。
「ん?うゆう、何持ってるんだ?」
「カメラだよ。ゲンゾウさんが貸してくれたの。」
「へえ、カメラってそんな形のもあるんだな。」
珍しそうにカメラを眺めるイルカ。ゲンゾウは私達二人に近付いてううん、と一つ唸った。
「たぶん今の一枚はお兄さんかお父さん、どっちかがボケてしまっただろうね。」
その言葉に私達は一瞬戸惑い、施設長を見る。丁度用が終わったらしく、同時に振り返った私達に僅かに目を大きく開いた。
「なんだ、二人して。」
「別にィ?な、うゆう。」
「ね、お兄ちゃん。」
「なんなんだ、気持ち悪いな……。」
ニヤニヤと揃って口元を緩めている私達はきっと兄妹らしく肩を組んでみせた。第三者から見て、家族のように見られていることがとても嬉しく感じたのだ。
「お嬢ちゃん、良かったらこのカメラを貸してあげよう。あと一枚撮ったらフィルムが切れるらしい。キリがいいからね、特別だよ。」
「本当ですか、嬉しい!」
「ああ。貴重なものだからね、丁寧に扱うように約束してくれ。」
「はい、絶対壊しません。」
「撮ったあと俺に返してくれれば現像してあげよう。料金は……、まあ、サービスだ。」
施設長とゲンゾウさんが上の方で「本当にいいんですか、」等とやり取りをしている。それを聞き流しながら、一枚だけ撮ることができるカメラを撫でた。
写真館の出入り口近くに設置された棚、その中段にはケースに入れてディスプレイされる一眼レフのような形状のカメラがあった。持ち運びはできそうだが、まだ随分大型だ。
写真を撮る機械いえば手のひらに収まるインスタントカメラや携帯電話が思いつくが、この木ノ葉の里では三脚に乗せた大きな箱型のカメラが主流らしい。ネガを作ってから印刷をする、私から言わせれば古めかしい手法だ。ディスプレイにあるような持ち歩きできるカメラもあるらしいがまだ高価なものらしく、日常のなんとなくを写真で記録する文化が来る日はまだまだ遠そうである。
「なんだいお嬢ちゃん、カメラに興味があるのか?」
「ええと、そうですね。フィルムカメラなんてそうそう見かけないものですから。」
「へえ、詳しいんだねえ。」
写真館スタッフのオジサンは名をゲンゾウと言うらしい。胸につけたネームプレートを指差して、父親のカメラ好きが昂じてこんな名前になったのだと苦笑する。
一眼レフのような形状で大人が両手で持つのがやっとという大きなカメラ。彼はそれをケースから取り出して私に向け、一回だけシャッターを切った。
「君らがさっき撮影した大きいカメラでは身構えてしまうだろう?このカメラならより自然な表情を撮ることができる。良いものだよ。」
「私にも扱えますか?」
「難しい操作はないさ。やってみるか?」
ツマミを回してからシャッターを切る。本当はもっと環境や場面にあわせて設定するらしいが、最低限写すだけならこれだけで良いらしい。
カウンターで支払いや受け取り時間の確認をしている施設長と、ソファーで休憩しているイルカを、一枚に収めるよう移動してシャッターを切った。パチリと気味のいい音がする。
「ん?うゆう、何持ってるんだ?」
「カメラだよ。ゲンゾウさんが貸してくれたの。」
「へえ、カメラってそんな形のもあるんだな。」
珍しそうにカメラを眺めるイルカ。ゲンゾウは私達二人に近付いてううん、と一つ唸った。
「たぶん今の一枚はお兄さんかお父さん、どっちかがボケてしまっただろうね。」
その言葉に私達は一瞬戸惑い、施設長を見る。丁度用が終わったらしく、同時に振り返った私達に僅かに目を大きく開いた。
「なんだ、二人して。」
「別にィ?な、うゆう。」
「ね、お兄ちゃん。」
「なんなんだ、気持ち悪いな……。」
ニヤニヤと揃って口元を緩めている私達はきっと兄妹らしく肩を組んでみせた。第三者から見て、家族のように見られていることがとても嬉しく感じたのだ。
「お嬢ちゃん、良かったらこのカメラを貸してあげよう。あと一枚撮ったらフィルムが切れるらしい。キリがいいからね、特別だよ。」
「本当ですか、嬉しい!」
「ああ。貴重なものだからね、丁寧に扱うように約束してくれ。」
「はい、絶対壊しません。」
「撮ったあと俺に返してくれれば現像してあげよう。料金は……、まあ、サービスだ。」
施設長とゲンゾウさんが上の方で「本当にいいんですか、」等とやり取りをしている。それを聞き流しながら、一枚だけ撮ることができるカメラを撫でた。
