歩章
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次に目を覚ましたのは、病院のベッドの上だった。体が重くて鉛のようだ。
やっとの思いで何とか体を起こし、病室の窓から見える里の景色に安堵する。いつもと変わらない里の景色だ。
自爆まがいのことをした左肩は痛みが酷くてまともに動かない。気を失っているうちに処置は受けたようで巻かれた包帯がより一層痛々しい。
あの時見えた面の男の右目、あれは間違いなく写輪眼だった。ならば、あの男はうちは一族の血を引いているのか。顔を隠したいだけなら面に両目の穴を開ければいいのに、なぜ片目だったのか。失っているのか、それとも見せられない理由でもあるのか。
は、としてナースコールを押す。あのあと任務がどうなったのか知らなければ。おそらく狙いは大名様の命であったはずだ。里の護衛もありながらもし死なせてしまったのなら、政治の面でただでは済まない。
バタバタと病室が開け放たれる。急いだ様子で看護師が二人部屋に転がり込んできた。
体調と気分を聞かれたり、脈拍を図ったり、簡単な検査を受けているとすぐに医者も合流する。
この部屋に時計も何もないので、日付と時間を問うた。声が掠れている。
「あなたがここに運ばれてから二日経ちました。いま時間は朝の四時半です。」
看護師から水差しを受け取って喉を潤した。一通りこの体に確認することが終わったのか医者と看護師は声をかけて退室する。そのすぐ次に姿を表したのは、銀髪の彼、はたけカカシだった。
予想していなかった人物が来たことで動揺したが、あの任務のことを聞きに来たのだろう。私の怪我の理由を知っているのならば、彼は今回の任務についていたはずだ。任務の前に聞いた上忍師からの説明を思い出した。大名一行の外側を守る実力ある小隊、それはきっと暗部のことだろう。
「体はもう良いのか。」
「はい。怪我は、まあ、多少深いようですが時間を掛ければ完治するようです。」
「そう。」
爆風による火傷と裂傷で、痕が残るかもしれないと看護師は言っていた。だが運良く神経までは到達しておらず、塞がりさえすればすぐに復帰もできるだろうとの見解だ。
「任務はどうなりましたか?イタチは?テンマさんは無事ですか?」
「まず、今回の襲撃事件で死んだ奴はいない。」
それだけでホ、と肩から力が抜ける。大名様も、任務に当たっていた忍たちも死ななかった。
「だが襲撃を受けて、大名の里訪問は延期になった。」
「……任務は失敗ということですね。」
「そうなる。だが命は守られた。」
淡々と告げられた任務失敗の報告に頭が重くなる。忍者に求められるのは任務の完遂である。私だけなら良かったが、班員の評価が下がるのは本意ではない。
「あの日のあと、カカシさんは休む時間はありましたか?」
「は、そんなの、お前に関係ないでしょ。」
「知り合いの心配くらい当然します。」
フイ、と視線が反らされた。答える気はないらしい。
「今回の件について、火影様に報告を上げるよう伝言を預かっている。」
「暗部やイタチの班から報告があれば十分なのでは?」
「敵と主に交戦したのはお前だと聞いている。」
そうだったか。でも私も途中で瞳術で幻術にはまってしまったし、交戦したと言えるほど相手の能力の分析もできていない。
物理攻撃がなにも当たらない、底の見えない不気味な敵だった。
わかりました、と答えて彼から視線を外す。あの面の男、たぶん彼が今後のキーマンになる。その風貌、能力、思想、全てにおいて木ノ葉にとって危険対象だ。
「ま、今は怪我の治癒を最優先にしろ。ほら、横になって。」
「こんなに大きな怪我をしたの初めてで、いくら寝ても眠いんですね。変なの。」
丁度朝日が入り込んできて、顔の半分から照らされていく。
我慢している全部を暴こうとしているみたいだ。隠れるように布団に潜り込む。
「死んじゃうのかと思いました。」
「前に……、お前が忍者に向いていないって言ったこと、撤回するよ。」
「気休めになら結構です。実際、今回の事で自分に色々足りていないこと、分かりました。もっと、強くならなきゃ。いまよりも、ずっと。」
「そうじゃない、俺は……、」
「カカシさん、」
たったの短い時間体を起こしていただけなのにすっかり疲れてしまっていた。これでも鍛えているつもりだったのだが。怪我の回復がこんなにも体力を持っていかれることだったなんて、前世では知らないままだったのに。
横になって眠気に飲みこまれていく。
「イタチを助けてくれてありがとう。」
まぶたを閉じてしまって、彼の顔は見れなかった。見れたとしても、表情を読み取れるのが右目だけじゃ、分からなかったかもしれないけど。
迫りくる夢に、追いつかれた。
やっとの思いで何とか体を起こし、病室の窓から見える里の景色に安堵する。いつもと変わらない里の景色だ。
自爆まがいのことをした左肩は痛みが酷くてまともに動かない。気を失っているうちに処置は受けたようで巻かれた包帯がより一層痛々しい。
あの時見えた面の男の右目、あれは間違いなく写輪眼だった。ならば、あの男はうちは一族の血を引いているのか。顔を隠したいだけなら面に両目の穴を開ければいいのに、なぜ片目だったのか。失っているのか、それとも見せられない理由でもあるのか。
は、としてナースコールを押す。あのあと任務がどうなったのか知らなければ。おそらく狙いは大名様の命であったはずだ。里の護衛もありながらもし死なせてしまったのなら、政治の面でただでは済まない。
バタバタと病室が開け放たれる。急いだ様子で看護師が二人部屋に転がり込んできた。
体調と気分を聞かれたり、脈拍を図ったり、簡単な検査を受けているとすぐに医者も合流する。
この部屋に時計も何もないので、日付と時間を問うた。声が掠れている。
「あなたがここに運ばれてから二日経ちました。いま時間は朝の四時半です。」
看護師から水差しを受け取って喉を潤した。一通りこの体に確認することが終わったのか医者と看護師は声をかけて退室する。そのすぐ次に姿を表したのは、銀髪の彼、はたけカカシだった。
予想していなかった人物が来たことで動揺したが、あの任務のことを聞きに来たのだろう。私の怪我の理由を知っているのならば、彼は今回の任務についていたはずだ。任務の前に聞いた上忍師からの説明を思い出した。大名一行の外側を守る実力ある小隊、それはきっと暗部のことだろう。
「体はもう良いのか。」
「はい。怪我は、まあ、多少深いようですが時間を掛ければ完治するようです。」
「そう。」
爆風による火傷と裂傷で、痕が残るかもしれないと看護師は言っていた。だが運良く神経までは到達しておらず、塞がりさえすればすぐに復帰もできるだろうとの見解だ。
「任務はどうなりましたか?イタチは?テンマさんは無事ですか?」
「まず、今回の襲撃事件で死んだ奴はいない。」
それだけでホ、と肩から力が抜ける。大名様も、任務に当たっていた忍たちも死ななかった。
「だが襲撃を受けて、大名の里訪問は延期になった。」
「……任務は失敗ということですね。」
「そうなる。だが命は守られた。」
淡々と告げられた任務失敗の報告に頭が重くなる。忍者に求められるのは任務の完遂である。私だけなら良かったが、班員の評価が下がるのは本意ではない。
「あの日のあと、カカシさんは休む時間はありましたか?」
「は、そんなの、お前に関係ないでしょ。」
「知り合いの心配くらい当然します。」
フイ、と視線が反らされた。答える気はないらしい。
「今回の件について、火影様に報告を上げるよう伝言を預かっている。」
「暗部やイタチの班から報告があれば十分なのでは?」
「敵と主に交戦したのはお前だと聞いている。」
そうだったか。でも私も途中で瞳術で幻術にはまってしまったし、交戦したと言えるほど相手の能力の分析もできていない。
物理攻撃がなにも当たらない、底の見えない不気味な敵だった。
わかりました、と答えて彼から視線を外す。あの面の男、たぶん彼が今後のキーマンになる。その風貌、能力、思想、全てにおいて木ノ葉にとって危険対象だ。
「ま、今は怪我の治癒を最優先にしろ。ほら、横になって。」
「こんなに大きな怪我をしたの初めてで、いくら寝ても眠いんですね。変なの。」
丁度朝日が入り込んできて、顔の半分から照らされていく。
我慢している全部を暴こうとしているみたいだ。隠れるように布団に潜り込む。
「死んじゃうのかと思いました。」
「前に……、お前が忍者に向いていないって言ったこと、撤回するよ。」
「気休めになら結構です。実際、今回の事で自分に色々足りていないこと、分かりました。もっと、強くならなきゃ。いまよりも、ずっと。」
「そうじゃない、俺は……、」
「カカシさん、」
たったの短い時間体を起こしていただけなのにすっかり疲れてしまっていた。これでも鍛えているつもりだったのだが。怪我の回復がこんなにも体力を持っていかれることだったなんて、前世では知らないままだったのに。
横になって眠気に飲みこまれていく。
「イタチを助けてくれてありがとう。」
まぶたを閉じてしまって、彼の顔は見れなかった。見れたとしても、表情を読み取れるのが右目だけじゃ、分からなかったかもしれないけど。
迫りくる夢に、追いつかれた。
