歩章
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上忍師から告げられた任務に、チームメイトの男子二人は喜色の声を上げた。
「大名様の護衛!」
「こんなに重要な任務が俺達に下されるなんて!」
上忍師は分かりやすく浮かれる二人を落ち着けて、資料の要点を伝える。
今までも、里外に出ての見回りや密偵と思われる行商の監視という、下忍なら一度は想像する "憧れていた忍者らしい任務" は数回こなしてきた。
神経を使うものではあったが、終えてみれば接敵も交戦もない地味な仕事だったと男子二人は肩を落とす。その後ろで、うゆうはヒヤリとする事は数えるほどにあったが、この班の誰もが命を危険に晒さず遂行出来たことを密かに安堵するのだ。
「今回の任務は、俺達の班だけではなく、他の下忍からなるフォーマンセルも一緒に組む。」
「大名様自身が持つ護衛も就きますよね。」
「ああ。さらに外側に実力のある小隊も配置される予定だから、率直に言えば形式上の護衛だな。だが、重要度は過去一番といえるぞ。」
詳細をまとめると、大名の護衛と言ってもその一行が通る道の先を行き、不審者が潜んでいないかや罠が仕掛けられていないかなどを見る先遣隊の立ち位置らしい。つまり大名様を直接そばで守るような任務ではない。
それを知って男子二人はまた肩を落とした。
「やっぱさ、いくら頑張っても、あのうちはイタチが活躍するうちは俺らの功績も表に出ないのかな。」
その発言に、資料を見ていたうゆうの視線が上がる。発言した男子と視線が絡む。
「ねえ、二人は人を殺す覚悟があるの?」
「そりゃ任務で受けたなら敵は殺さなきゃいけないだろ。」
「じゃあその任務で自分の命を捨てる覚悟は?」
「な、何が言いたいんだよ、うゆう。」
ジィ、と見つめたまま逸らさない視線に、殺気ではないが冷ややかなものを感じて二人は肩を竦めた。
自分が死ぬ、それはあまり想像したくない。したくないからこそ考えたことがない。うゆうに見つめられながら男子は背中をふるりと震わせる。
上忍師はそのやりとりを見守ってから仲裁に入った。
「三人とも落ち着け。男子二人共、すべての任務は里を維持するために重要だと言ったはずだ。内容に一喜一憂するもんじゃない。
うゆうも、知り合いの名前を出されてすぐムキになるのはやめろ。」
「……すみませんでした。」
「まあ、チームとしては下忍の中でもよく連携が取れているバランスの良い班だ。これまでの評価があってこそ、今回の護衛任務が振られたことは間違いない。その評価を裏切ることの無いよう気を引き締めて臨むように。」
「はい。」
当日の朝、やっと空が明るみ始めた早朝。里の主要出入り口であるあんの門に下忍二小隊が集合した。
片やうゆうの所属する班、片やイタチが所属する班である。うゆうのチームメイトの男子二人は、あれが噂のうちはイタチか、と不躾な視線を寄越していた。
「イタチ!一緒の任務につけて光栄だよ。」
「ああ。」
久々に顔を見た友人は、前よりもそっけない態度を取った。真面目な彼のことだ、既に任務の頭に切り替わっているのかもしれない。その会話一つで区切り、上忍二人の指示を持って里を出立する。
火の国大名のいる城へ向かう道中、お互いの班員を把握するために簡単に挨拶をした。
「なあ、コイツと知り合いなのか?」
「はい。イタチは私がもっと幼いときから仲良くしてくれているんですよ。」
イタチの班員である男子、テンマ、と名乗った彼に努めてにこやかに返すと、それはもう大げさなほど顔を歪めた。
どうやら向こうの班は少々関係が良くないらしい。その理由は十中八九イタチの有り余る実力に原因があることは予想がついている。それに、任務に対して真面目なイタチが普段から今朝の門の前のやり取りのようにそっけない振る舞いをしているのなら、里内のうちはの風評も相まって関係の改善は難しいだろう。
先導するイタチの背を見て息をついた。無理に馴れ合えとは言わないが、もっと社交スキルを磨いたほうがいいのではないか。余計なお節介が胸中に湧く。
走るスピードを上げて彼に並び、その横顔に視線を投げる。少しして珍しく不機嫌そうに眉を寄せてこちらを向いた。
「なんだ。」
「実力のみで人を判断しないで。」
「……。」
無感情ではあるが、僅かに頬をヒクつかせた後また前に向き直る。その友の姿にうゆうもまた静かに前に向いた。これ以上は言う必要もないだろう。
「大名様の護衛!」
「こんなに重要な任務が俺達に下されるなんて!」
上忍師は分かりやすく浮かれる二人を落ち着けて、資料の要点を伝える。
今までも、里外に出ての見回りや密偵と思われる行商の監視という、下忍なら一度は想像する "憧れていた忍者らしい任務" は数回こなしてきた。
神経を使うものではあったが、終えてみれば接敵も交戦もない地味な仕事だったと男子二人は肩を落とす。その後ろで、うゆうはヒヤリとする事は数えるほどにあったが、この班の誰もが命を危険に晒さず遂行出来たことを密かに安堵するのだ。
「今回の任務は、俺達の班だけではなく、他の下忍からなるフォーマンセルも一緒に組む。」
「大名様自身が持つ護衛も就きますよね。」
「ああ。さらに外側に実力のある小隊も配置される予定だから、率直に言えば形式上の護衛だな。だが、重要度は過去一番といえるぞ。」
詳細をまとめると、大名の護衛と言ってもその一行が通る道の先を行き、不審者が潜んでいないかや罠が仕掛けられていないかなどを見る先遣隊の立ち位置らしい。つまり大名様を直接そばで守るような任務ではない。
それを知って男子二人はまた肩を落とした。
「やっぱさ、いくら頑張っても、あのうちはイタチが活躍するうちは俺らの功績も表に出ないのかな。」
その発言に、資料を見ていたうゆうの視線が上がる。発言した男子と視線が絡む。
「ねえ、二人は人を殺す覚悟があるの?」
「そりゃ任務で受けたなら敵は殺さなきゃいけないだろ。」
「じゃあその任務で自分の命を捨てる覚悟は?」
「な、何が言いたいんだよ、うゆう。」
ジィ、と見つめたまま逸らさない視線に、殺気ではないが冷ややかなものを感じて二人は肩を竦めた。
自分が死ぬ、それはあまり想像したくない。したくないからこそ考えたことがない。うゆうに見つめられながら男子は背中をふるりと震わせる。
上忍師はそのやりとりを見守ってから仲裁に入った。
「三人とも落ち着け。男子二人共、すべての任務は里を維持するために重要だと言ったはずだ。内容に一喜一憂するもんじゃない。
うゆうも、知り合いの名前を出されてすぐムキになるのはやめろ。」
「……すみませんでした。」
「まあ、チームとしては下忍の中でもよく連携が取れているバランスの良い班だ。これまでの評価があってこそ、今回の護衛任務が振られたことは間違いない。その評価を裏切ることの無いよう気を引き締めて臨むように。」
「はい。」
当日の朝、やっと空が明るみ始めた早朝。里の主要出入り口であるあんの門に下忍二小隊が集合した。
片やうゆうの所属する班、片やイタチが所属する班である。うゆうのチームメイトの男子二人は、あれが噂のうちはイタチか、と不躾な視線を寄越していた。
「イタチ!一緒の任務につけて光栄だよ。」
「ああ。」
久々に顔を見た友人は、前よりもそっけない態度を取った。真面目な彼のことだ、既に任務の頭に切り替わっているのかもしれない。その会話一つで区切り、上忍二人の指示を持って里を出立する。
火の国大名のいる城へ向かう道中、お互いの班員を把握するために簡単に挨拶をした。
「なあ、コイツと知り合いなのか?」
「はい。イタチは私がもっと幼いときから仲良くしてくれているんですよ。」
イタチの班員である男子、テンマ、と名乗った彼に努めてにこやかに返すと、それはもう大げさなほど顔を歪めた。
どうやら向こうの班は少々関係が良くないらしい。その理由は十中八九イタチの有り余る実力に原因があることは予想がついている。それに、任務に対して真面目なイタチが普段から今朝の門の前のやり取りのようにそっけない振る舞いをしているのなら、里内のうちはの風評も相まって関係の改善は難しいだろう。
先導するイタチの背を見て息をついた。無理に馴れ合えとは言わないが、もっと社交スキルを磨いたほうがいいのではないか。余計なお節介が胸中に湧く。
走るスピードを上げて彼に並び、その横顔に視線を投げる。少しして珍しく不機嫌そうに眉を寄せてこちらを向いた。
「なんだ。」
「実力のみで人を判断しないで。」
「……。」
無感情ではあるが、僅かに頬をヒクつかせた後また前に向き直る。その友の姿にうゆうもまた静かに前に向いた。これ以上は言う必要もないだろう。
