歩章
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南賀ノ神社に再度訪れても、期待した記憶の蘇りは起こらなかった。デジャヴのような白昼夢のような、あの体験が起きるきっかけは何なのだろう。
鳥居を越えて本殿へゆっくりと歩を進める。
本堂の中には御神体が祀られているのだろうか。それをを見れば何かわかるのだろうか。
背後に気配を感じて振り返る。そこにはシスイが立っていた。
「うゆう、さっきイタチを捕まえたから一緒に修行しないか?」
「ああ……、うん。」
「顔色が優れないな。さっきまでは元気そうにしてたのに、大丈夫か?」
「何でもない……、ちょっと考えすぎただけです。」
そうか。心配そうにはしているが、それ以上深く聞いてこない。表情には出さずに胸を撫でおろす。
「イタチはすぐ来るんですか?」
「任務を終えて報告してから来るって。そう時間はかからないはずだ。」
「シスイには教わりたいことがたくさんあるんです。先に演習場に行こう。」
「やる気だな。」
一般の忍者が使う演習場だが、立地的にうちはの人たちが使うことが多い場所。私達の前に誰かが使ったらしく、一部土が柔らかくなっている。
つま先で地面を蹴り状態を見る。
「で、俺に教わりたいことって?」
「欲を言えば全部教わりたいんだけど、あの、その、」
珍しく言い淀む私にシスイは首を傾げた。
「なんだよ、はっきり言ってくれなきゃ分からないぜ。」
「あの、写輪眼を、使ってほしくて……。」
そう言うと彼はひどく驚いたような表情をした。悪い方に誤解されてしまうのではないかと慌てて言葉を重ねる。
「嫌だったり無理だったら全然いいんです。どれくらいチャクラを使うかとか分からないし。ただ私の興味本位というか、うちはの人と喧嘩するつもりも毛頭ないし、あの。……ごめんなさい。」
「いや。ちょっとだいぶ予想外でさ。」
「頼めるのはシスイしかいないって思って。うちは一族のみんながその眼に誇りを持っていること、知ってたのに興味本位で頼んでた。軽率でした、ごめん。」
「まあ、俺以外には頼まないほうがいいだろうな。特に今は……。いや、そうだな。そんなに見たいってなら、」
これを使わないといけない状況にしてみせろ。右の親指で目元を示す。
たしかにそうだ。一つ頷く。
向き合って対立の印を結んだ。
フィジカルも、戦術も劣っている。どうにかして隙を突かなくてはいけない。
ここまで披露していなかったが、私には一つ奥の手がある。まだ演習や任務で実践できていないため使用を控えていたが、これだけの実力差があれば試させてもらってもいいかもしれない。
左右の手で違う印を組み合わせ、短縮する。さらに練り上げるチャクラを全身に張り巡らせ、その状態から術を発動した。
イタチが演習場に現れるまでに、シスイには六本も取られた。惜しい局面は何度かあったものの決定打に欠け、勝利まで持ち込めなかったのだ。詰めの甘さに歯噛みする。
「白熱してたな。」
「イタチ、お疲れ様。」
「少し遅かったな?」
「ちょっとな。」
任務の報告まで終えてそのまま来たらしく、足には土汚れがついている。
イタチは下忍になって三年近い。年の差で言えば一年だけなのに、とてつもない差が空いてしまったような気がする。これは今日に限った話ではなくて、彼に会うたびに漠然とした焦燥感に駆り立てられる。
シスイと言葉を交わしていたイタチがぐるりと首を回してこちらに振り返った。
「うゆう、さっきの忍術はなんだ?初めて見る印だった。」
「いや、実は……、印とチャクラと術の発動について興味があって、前から試してたんだ。実際に対人で使ったのは初めてだけど。」
「やっぱりそうか!術の発動スピードがやけに早くて驚いた。」
「まだ基本的な忍術にしか対応できていないのと、そもそも私の戦術に穴がありすぎるのが問題でね。初見だったら隙を突けるかと思ったんだけどな。」
肩が落ちる。こんなことで躓いていては先が思いやられる。今のシスイとの対戦が本当の戦闘だったならば何度殺されていただろうか。
「正直、うゆうは下手な中忍よりずっと強い。今はまだ体が出来上がっていないからうまく行っていないだけだろう。」
「ううん。それは言い訳にならない。忍者が負けるってことは死に直結することだから。」
「うゆうは真面目だな。さっきの手合わせでいくつか癖があるのはわかったから、そこを直せばもっと良くなるさ。」
励ますような言葉に胸を刺されるようだった。
自分が生き残るためにも、大切な人を守るためにも、たしかな実力は必要だ。
私にはうちはのような優れた血継限界はないし、戦闘能力も忍全体で見ればさほど目立つものではない。今はまだ幼いから、多少注目を集めているだけなのだ。
鳥居を越えて本殿へゆっくりと歩を進める。
本堂の中には御神体が祀られているのだろうか。それをを見れば何かわかるのだろうか。
背後に気配を感じて振り返る。そこにはシスイが立っていた。
「うゆう、さっきイタチを捕まえたから一緒に修行しないか?」
「ああ……、うん。」
「顔色が優れないな。さっきまでは元気そうにしてたのに、大丈夫か?」
「何でもない……、ちょっと考えすぎただけです。」
そうか。心配そうにはしているが、それ以上深く聞いてこない。表情には出さずに胸を撫でおろす。
「イタチはすぐ来るんですか?」
「任務を終えて報告してから来るって。そう時間はかからないはずだ。」
「シスイには教わりたいことがたくさんあるんです。先に演習場に行こう。」
「やる気だな。」
一般の忍者が使う演習場だが、立地的にうちはの人たちが使うことが多い場所。私達の前に誰かが使ったらしく、一部土が柔らかくなっている。
つま先で地面を蹴り状態を見る。
「で、俺に教わりたいことって?」
「欲を言えば全部教わりたいんだけど、あの、その、」
珍しく言い淀む私にシスイは首を傾げた。
「なんだよ、はっきり言ってくれなきゃ分からないぜ。」
「あの、写輪眼を、使ってほしくて……。」
そう言うと彼はひどく驚いたような表情をした。悪い方に誤解されてしまうのではないかと慌てて言葉を重ねる。
「嫌だったり無理だったら全然いいんです。どれくらいチャクラを使うかとか分からないし。ただ私の興味本位というか、うちはの人と喧嘩するつもりも毛頭ないし、あの。……ごめんなさい。」
「いや。ちょっとだいぶ予想外でさ。」
「頼めるのはシスイしかいないって思って。うちは一族のみんながその眼に誇りを持っていること、知ってたのに興味本位で頼んでた。軽率でした、ごめん。」
「まあ、俺以外には頼まないほうがいいだろうな。特に今は……。いや、そうだな。そんなに見たいってなら、」
これを使わないといけない状況にしてみせろ。右の親指で目元を示す。
たしかにそうだ。一つ頷く。
向き合って対立の印を結んだ。
フィジカルも、戦術も劣っている。どうにかして隙を突かなくてはいけない。
ここまで披露していなかったが、私には一つ奥の手がある。まだ演習や任務で実践できていないため使用を控えていたが、これだけの実力差があれば試させてもらってもいいかもしれない。
左右の手で違う印を組み合わせ、短縮する。さらに練り上げるチャクラを全身に張り巡らせ、その状態から術を発動した。
イタチが演習場に現れるまでに、シスイには六本も取られた。惜しい局面は何度かあったものの決定打に欠け、勝利まで持ち込めなかったのだ。詰めの甘さに歯噛みする。
「白熱してたな。」
「イタチ、お疲れ様。」
「少し遅かったな?」
「ちょっとな。」
任務の報告まで終えてそのまま来たらしく、足には土汚れがついている。
イタチは下忍になって三年近い。年の差で言えば一年だけなのに、とてつもない差が空いてしまったような気がする。これは今日に限った話ではなくて、彼に会うたびに漠然とした焦燥感に駆り立てられる。
シスイと言葉を交わしていたイタチがぐるりと首を回してこちらに振り返った。
「うゆう、さっきの忍術はなんだ?初めて見る印だった。」
「いや、実は……、印とチャクラと術の発動について興味があって、前から試してたんだ。実際に対人で使ったのは初めてだけど。」
「やっぱりそうか!術の発動スピードがやけに早くて驚いた。」
「まだ基本的な忍術にしか対応できていないのと、そもそも私の戦術に穴がありすぎるのが問題でね。初見だったら隙を突けるかと思ったんだけどな。」
肩が落ちる。こんなことで躓いていては先が思いやられる。今のシスイとの対戦が本当の戦闘だったならば何度殺されていただろうか。
「正直、うゆうは下手な中忍よりずっと強い。今はまだ体が出来上がっていないからうまく行っていないだけだろう。」
「ううん。それは言い訳にならない。忍者が負けるってことは死に直結することだから。」
「うゆうは真面目だな。さっきの手合わせでいくつか癖があるのはわかったから、そこを直せばもっと良くなるさ。」
励ますような言葉に胸を刺されるようだった。
自分が生き残るためにも、大切な人を守るためにも、たしかな実力は必要だ。
私にはうちはのような優れた血継限界はないし、戦闘能力も忍全体で見ればさほど目立つものではない。今はまだ幼いから、多少注目を集めているだけなのだ。
