歩章
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下忍として日々任務をこなし、纏まった時間が取れる時は班の連携を高めるための演習を行ったり、担当の上忍師から戦闘技術を学んだりと忙しい日々が続く。
班の構成は、三歳年上の新卒下忍の男の子が二人と監督役の上忍男性が一人。忍者はやはり男性の人口が多いので、女子ばかり集めた班が組まれることは少ない。このフォーマンセルも通例に従った。
最初こそ年下で女子である私は男子二人に軽んじられていたが、演習や訓練を重ねていくうちに少しずつ認めてくれたようで、最近では話しかけて疎まれることも無くなった。やはり年下らしく素直に接したのが良かったのだろう。こういうところで前世の処世術が役に立つ。
それでもやはりぎこちなさはあるので、更に親交を深めるためにも下忍三人でお茶でもしようと里の大通りにある甘栗甘に誘い連れ立つ。忍者のこなす仕事で重要になるのは個々の能力ももちろんだが、チームワークもそれ以上に重要なのだと感じている。
席について私はあんみつを、男子二人はあまり甘味の強くない焼団子をそれぞれ頼む。
世間話からはじめて、任務の振り返りや担当上忍の印象なんかにも話題が転じて広がっていく。その流れでアカデミーの話題になったとき。
「俺たちの代からカリキュラム見直しとかで卒業が見送られたんだ。」
「だから、早く卒業が決まった私を目の敵にしていたんですか。」
「そーいうつもりは……、あるか。」
「その件に関しては悪かったと思ってるよ。今はもうそんな偏見も無くなったから。」
たしかに、それまで五年以下で皆卒業していたのに、自分たちから認められないとなればもどかしくも感じるだろう。そんな中で例外的に早く卒業した私と班を組むことになった彼らの心境を思えば怒ることなんてできない。
「でもま、うゆうがまだやりやすい性格で良かったよな。」
「たしかに。噂になってたあのうちはのヤツよりはずっと良いに決まってる。」
「うちはのヤツ、ってイタチのこと?」
「そんな名前だったか?」
「そうそう。生意気で上手くやれないって噂だぜ。うゆうは、その感じ、面識あるのか?」
「まあ、多少。」
「ふぅん。やっぱり、大人たちが言うようにあの一族はみんな"付き合いが悪くておっかない"のかねー。」
「そんなこと無いよ。話したら分かるけど、優しいし頭も良いし、いい人達ばっかり。機会があったら挨拶してみるといいよ。」
「そんなこと言ってるの、うゆうだけじゃねえの。」
九尾の事件によってついたうちはへの風評というのがあまり良いものではないことは、この里で暮らしていれば嫌というほど分かってしまう。しかもそれは年々強まっているように感じるのだから居心地が悪い。
私からしたらうちは一族のみんなは良い人なのに。
写輪眼と呼ばれるその瞳術は、忍界の中でもかなり強力な血継限界の一つである。かつて初代火影と戦ったうちはマダラという男の名は、国内外問わず聞いただけで実力ある忍者も震え上がってしまうほどの影響力がある。
一族固有の能力を守るためにその詳細は内々に秘められているらしいが、はたして今のうちはに九尾を操るほどの実力者がいるのだろうか。
脳裏にうちは集落の町並みが、静かで暖かな不思議な空気感が、浮かんでいた。
アカデミーを卒業する前、南賀ノ神社で記憶の底を焦がされる体験をした。それはまるで九尾を目の前にしたときに感じたような感覚だった。
それまでは用もなく里の外れにあるうちはの集落にわざわざ足を向ける事はしなかったのだけど、なぜ記憶が蘇ったのかという理由がわからない今、検証をする必要があると感じている。
ある日上忍師の指導のもと班の演習を終え、まだ夜になる前の時間にうちはの集落に向かうことにした。
里の郊外に向かう道はもう慣れた景色だ。すぐ脇に生える木々の形さえもよく見分けられる。
うちはの集落内はかなり静まっていた。多くの家庭の電気が消えている。
その異様な雰囲気に当てられてバクバクとうるさい胸を抑え集落の出入口の門からまっすぐ伸びる主道を早足で行く。その途中でうちは煎餅のおば様に声をかけられた。
「そんなに怖い顔してどうしたの。」
「いえ、人の気配が少なくていつもと雰囲気が違ったので動揺してしまって。」
「ああ……。そうね、あなたはうちはの子じゃないものね。今日は、そう、一族の祭事があるから、どこの家も出払っているのよ。用があるなら明日以降がいいわ。」
「そうなんですか。」
ありがとう、と言って別れたあとも、後ろから見送るような視線を感じて集落を出ざるを得ない。
神社には明日以降に行けばいい。そう、焦ってはいけない。
班の構成は、三歳年上の新卒下忍の男の子が二人と監督役の上忍男性が一人。忍者はやはり男性の人口が多いので、女子ばかり集めた班が組まれることは少ない。このフォーマンセルも通例に従った。
最初こそ年下で女子である私は男子二人に軽んじられていたが、演習や訓練を重ねていくうちに少しずつ認めてくれたようで、最近では話しかけて疎まれることも無くなった。やはり年下らしく素直に接したのが良かったのだろう。こういうところで前世の処世術が役に立つ。
それでもやはりぎこちなさはあるので、更に親交を深めるためにも下忍三人でお茶でもしようと里の大通りにある甘栗甘に誘い連れ立つ。忍者のこなす仕事で重要になるのは個々の能力ももちろんだが、チームワークもそれ以上に重要なのだと感じている。
席について私はあんみつを、男子二人はあまり甘味の強くない焼団子をそれぞれ頼む。
世間話からはじめて、任務の振り返りや担当上忍の印象なんかにも話題が転じて広がっていく。その流れでアカデミーの話題になったとき。
「俺たちの代からカリキュラム見直しとかで卒業が見送られたんだ。」
「だから、早く卒業が決まった私を目の敵にしていたんですか。」
「そーいうつもりは……、あるか。」
「その件に関しては悪かったと思ってるよ。今はもうそんな偏見も無くなったから。」
たしかに、それまで五年以下で皆卒業していたのに、自分たちから認められないとなればもどかしくも感じるだろう。そんな中で例外的に早く卒業した私と班を組むことになった彼らの心境を思えば怒ることなんてできない。
「でもま、うゆうがまだやりやすい性格で良かったよな。」
「たしかに。噂になってたあのうちはのヤツよりはずっと良いに決まってる。」
「うちはのヤツ、ってイタチのこと?」
「そんな名前だったか?」
「そうそう。生意気で上手くやれないって噂だぜ。うゆうは、その感じ、面識あるのか?」
「まあ、多少。」
「ふぅん。やっぱり、大人たちが言うようにあの一族はみんな"付き合いが悪くておっかない"のかねー。」
「そんなこと無いよ。話したら分かるけど、優しいし頭も良いし、いい人達ばっかり。機会があったら挨拶してみるといいよ。」
「そんなこと言ってるの、うゆうだけじゃねえの。」
九尾の事件によってついたうちはへの風評というのがあまり良いものではないことは、この里で暮らしていれば嫌というほど分かってしまう。しかもそれは年々強まっているように感じるのだから居心地が悪い。
私からしたらうちは一族のみんなは良い人なのに。
写輪眼と呼ばれるその瞳術は、忍界の中でもかなり強力な血継限界の一つである。かつて初代火影と戦ったうちはマダラという男の名は、国内外問わず聞いただけで実力ある忍者も震え上がってしまうほどの影響力がある。
一族固有の能力を守るためにその詳細は内々に秘められているらしいが、はたして今のうちはに九尾を操るほどの実力者がいるのだろうか。
脳裏にうちは集落の町並みが、静かで暖かな不思議な空気感が、浮かんでいた。
アカデミーを卒業する前、南賀ノ神社で記憶の底を焦がされる体験をした。それはまるで九尾を目の前にしたときに感じたような感覚だった。
それまでは用もなく里の外れにあるうちはの集落にわざわざ足を向ける事はしなかったのだけど、なぜ記憶が蘇ったのかという理由がわからない今、検証をする必要があると感じている。
ある日上忍師の指導のもと班の演習を終え、まだ夜になる前の時間にうちはの集落に向かうことにした。
里の郊外に向かう道はもう慣れた景色だ。すぐ脇に生える木々の形さえもよく見分けられる。
うちはの集落内はかなり静まっていた。多くの家庭の電気が消えている。
その異様な雰囲気に当てられてバクバクとうるさい胸を抑え集落の出入口の門からまっすぐ伸びる主道を早足で行く。その途中でうちは煎餅のおば様に声をかけられた。
「そんなに怖い顔してどうしたの。」
「いえ、人の気配が少なくていつもと雰囲気が違ったので動揺してしまって。」
「ああ……。そうね、あなたはうちはの子じゃないものね。今日は、そう、一族の祭事があるから、どこの家も出払っているのよ。用があるなら明日以降がいいわ。」
「そうなんですか。」
ありがとう、と言って別れたあとも、後ろから見送るような視線を感じて集落を出ざるを得ない。
神社には明日以降に行けばいい。そう、焦ってはいけない。
