歩章
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アカデミーの卒業試験に合格した後、正式に忍者になってからしばらくは忙しい日が数日続いた。
忍者登録、施設の対処手続き、新しい部屋の契約、家具の買い出し、新しい班員との顔合わせに、実際の忍者による新編された班の実力査定、不慣れな任務。短い期間にたくさんのことを並行して行ったので、忘れた手続きがないか何度も確認をする必要があった。
そして一つ、重要なことを忘れていたのである。
「うゆう!」
「イルカお兄ちゃん……。」
下忍として任務を終えて解散した。大型犬五匹の散歩だったが、案外どの個体もよく言うことを聞いてくれたし、忍の足で存分に走らせてやれば指定の長距離コースを終えるのもそう時間がかからなかった。
とはいえ昼食の時間はすっかり過ぎてしまっている。太陽はまだ高いがそれもすぐ角度をつける。
このあとは図書館に寄ってから夕飯の買い出し、それと部屋の掃除に筋力づくりに崖登りでもするか。なんてやることを頭に浮かべて並べていると、屋根の上から現れた彼に捕まった。
私の額に光る鉢金を見て、ムッとした表情に変わる。お互いにタイミングが合わずに、今日まで忍者になったと報告をすることができていなかったのである。
「あー、いや。本当は私から会いに行こうと思ってたよ。」
「……、分かってる。」
「納得してない表情してる。」
おめでとう。そう言いながらやっぱり不機嫌そうなので、多少力を込めて背中を叩いてやった。
こうして並んでみるとまた身長差が開いてしまったようだ。イルカは確か今十五歳だったか。成長期に入ったのか久しぶりに会うたびにまた身長伸びた?と聞いている気がする。
「お兄ちゃんはこれから任務?」
「いや、朝から班員と訓練して終わったところ。うゆうは?」
「任務が終わって解散した。これから図書館に行くの。」
「相変わらず本の虫なんだな。変わってなくて安心するよ。」
彼は呆れたように笑った。
「お兄ちゃん、彼女できた?」
「は?!なんだよ、彼女なんていないよ。イヤミか?」
「いやそんなつもりは……。あ、付き合ってないけど好きな子がいる、みたいな?」
「いい加減にしろ。」
ゲンコツを頭に受ける。照れているのか頬を染めながらそっぽを向いてしまった。
他人の見た目の美醜には疎い自覚はあるが、イルカは贔屓目無しにかっこいいと思う。頭も悪くないし、性格は明るいし、裏表もなくて良い子だ。ここにきて身長もぐっと伸びたし体格も忍者をやっているだけある。
今はこう言っているものの、これは良い人が出来るのも時間の問題だな、とニンマリ口角を上げた。
「そういえば、お昼ご飯食べた?」
「ああ。もう済んでる。」
それなら図書館に行ったあと、買い物ついでに惣菜も買って軽く済ませてしまえばいい。
「まだ食べてないのか?」
「まあね。適当に食べるよ。」
「俺にはしっかり食べろとか言うくせに、自分は適当にするなよ。」
料理の腕も上がったから、今日は食べに来い。なんて言われたら断れない。この兄の面倒みの良さにはつい甘えたくなってしまうのだ。
忍者登録、施設の対処手続き、新しい部屋の契約、家具の買い出し、新しい班員との顔合わせに、実際の忍者による新編された班の実力査定、不慣れな任務。短い期間にたくさんのことを並行して行ったので、忘れた手続きがないか何度も確認をする必要があった。
そして一つ、重要なことを忘れていたのである。
「うゆう!」
「イルカお兄ちゃん……。」
下忍として任務を終えて解散した。大型犬五匹の散歩だったが、案外どの個体もよく言うことを聞いてくれたし、忍の足で存分に走らせてやれば指定の長距離コースを終えるのもそう時間がかからなかった。
とはいえ昼食の時間はすっかり過ぎてしまっている。太陽はまだ高いがそれもすぐ角度をつける。
このあとは図書館に寄ってから夕飯の買い出し、それと部屋の掃除に筋力づくりに崖登りでもするか。なんてやることを頭に浮かべて並べていると、屋根の上から現れた彼に捕まった。
私の額に光る鉢金を見て、ムッとした表情に変わる。お互いにタイミングが合わずに、今日まで忍者になったと報告をすることができていなかったのである。
「あー、いや。本当は私から会いに行こうと思ってたよ。」
「……、分かってる。」
「納得してない表情してる。」
おめでとう。そう言いながらやっぱり不機嫌そうなので、多少力を込めて背中を叩いてやった。
こうして並んでみるとまた身長差が開いてしまったようだ。イルカは確か今十五歳だったか。成長期に入ったのか久しぶりに会うたびにまた身長伸びた?と聞いている気がする。
「お兄ちゃんはこれから任務?」
「いや、朝から班員と訓練して終わったところ。うゆうは?」
「任務が終わって解散した。これから図書館に行くの。」
「相変わらず本の虫なんだな。変わってなくて安心するよ。」
彼は呆れたように笑った。
「お兄ちゃん、彼女できた?」
「は?!なんだよ、彼女なんていないよ。イヤミか?」
「いやそんなつもりは……。あ、付き合ってないけど好きな子がいる、みたいな?」
「いい加減にしろ。」
ゲンコツを頭に受ける。照れているのか頬を染めながらそっぽを向いてしまった。
他人の見た目の美醜には疎い自覚はあるが、イルカは贔屓目無しにかっこいいと思う。頭も悪くないし、性格は明るいし、裏表もなくて良い子だ。ここにきて身長もぐっと伸びたし体格も忍者をやっているだけある。
今はこう言っているものの、これは良い人が出来るのも時間の問題だな、とニンマリ口角を上げた。
「そういえば、お昼ご飯食べた?」
「ああ。もう済んでる。」
それなら図書館に行ったあと、買い物ついでに惣菜も買って軽く済ませてしまえばいい。
「まだ食べてないのか?」
「まあね。適当に食べるよ。」
「俺にはしっかり食べろとか言うくせに、自分は適当にするなよ。」
料理の腕も上がったから、今日は食べに来い。なんて言われたら断れない。この兄の面倒みの良さにはつい甘えたくなってしまうのだ。
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