序章
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アカデミーも休みの今日、この施設で生活する子供は食堂に集められていた。まだ午前も早い時間である。眠たげに目を閉じているものもいた。
うゆうは、手では隠しきれない大きな欠伸をするイルカの隣で静かに座っていた。
「ふわーあ。こんな早くに何だろうな。」
「全員が集まるなんて余程重要なことなんだろうね。」
「……うゆう、眠いだろ。昨日夜まで本読んでたし。」
「ここにきて初めての全体ミーティングで眠くもならないよ。」
そんな会話をコソコソとして、部屋の外にいるらしい大人たちがいつ入ってくるのかと待つ。隣でまたイルカが欠伸をした。
「待たせたな。」
部屋の外で少し揉めた様子があったが、入室してきた施設長は怒りもなくただ静かに子供の顔を見渡す。顔はどこも隠れていないのに、その表情を読むことはできない。珍しく空気が緊張感を持つ。
「この施設は解体され、他の施設と合併されることとなった。」
室内は一変して騒然とした。扉の付近に立つ職員もパッとしない表情で肩を落としているため、すでに決定したことなのだと理解する。それもそうか、この施設にいる子供の数は減った。ならば合併して一か所で運営をしたほうがあらゆる面で合理的だ。
子供たちはその一言では納得できないようで、せっかく仲良くなったのにとか、離れるのは嫌だなとか、あげくに泣きだしてしまう子もいた。その様子に施設長は手を打ち、収集がつかなくなる前に視線を集める。
「まず、アカデミーを卒業し忍者になる目処があるものは施設から出て里運営の寮に入ってもらう。そこでもちゃんとフォローアップ体制が整っているから心配はない。
次に、アカデミー入学予定のないものと在学中のものは合併先の施設の建物が改築され次第そちらに移る。ま、皆で引っ越しだ。
なにか質問があればこのあと施設長室で待ってるぞ。以上、解散。」
何というか、忍らしいというか。この施設にいる子供は私が最年少で、他は皆アカデミーに通っている。あの説明に必要以上の配慮をする必要がないといった印象を受けた。
「うゆうは、あの説明で納得できたのか?」
「うん。決定事項なら受け入れるつもり。」
「オレは……。」
ぐ、と口を引き結んで俯いたイルカの様子に心配になって顔を覗き込む。酷く辛そうだ。明るい表情が多い彼にしては珍しい。
「イルカお兄ちゃんならどこでもやっていけるでしょ。そんな今生の別れみたいな顔しないでよ。」
「うゆうは、あんまり友達を作るのがうまくないから、心配で。」
「大丈夫だよ、もうすぐアカデミーに通い始めるから。きっと友達もできると思うし、寂しがりなお兄ちゃんにも会いに行くから。心配ないよ。」
そう諭してみると兄は表情一転、少し苛立ったように腕を組んだ。生意気すぎてやっぱり心配だ、と安心したようにため息をついた。
うゆうは、手では隠しきれない大きな欠伸をするイルカの隣で静かに座っていた。
「ふわーあ。こんな早くに何だろうな。」
「全員が集まるなんて余程重要なことなんだろうね。」
「……うゆう、眠いだろ。昨日夜まで本読んでたし。」
「ここにきて初めての全体ミーティングで眠くもならないよ。」
そんな会話をコソコソとして、部屋の外にいるらしい大人たちがいつ入ってくるのかと待つ。隣でまたイルカが欠伸をした。
「待たせたな。」
部屋の外で少し揉めた様子があったが、入室してきた施設長は怒りもなくただ静かに子供の顔を見渡す。顔はどこも隠れていないのに、その表情を読むことはできない。珍しく空気が緊張感を持つ。
「この施設は解体され、他の施設と合併されることとなった。」
室内は一変して騒然とした。扉の付近に立つ職員もパッとしない表情で肩を落としているため、すでに決定したことなのだと理解する。それもそうか、この施設にいる子供の数は減った。ならば合併して一か所で運営をしたほうがあらゆる面で合理的だ。
子供たちはその一言では納得できないようで、せっかく仲良くなったのにとか、離れるのは嫌だなとか、あげくに泣きだしてしまう子もいた。その様子に施設長は手を打ち、収集がつかなくなる前に視線を集める。
「まず、アカデミーを卒業し忍者になる目処があるものは施設から出て里運営の寮に入ってもらう。そこでもちゃんとフォローアップ体制が整っているから心配はない。
次に、アカデミー入学予定のないものと在学中のものは合併先の施設の建物が改築され次第そちらに移る。ま、皆で引っ越しだ。
なにか質問があればこのあと施設長室で待ってるぞ。以上、解散。」
何というか、忍らしいというか。この施設にいる子供は私が最年少で、他は皆アカデミーに通っている。あの説明に必要以上の配慮をする必要がないといった印象を受けた。
「うゆうは、あの説明で納得できたのか?」
「うん。決定事項なら受け入れるつもり。」
「オレは……。」
ぐ、と口を引き結んで俯いたイルカの様子に心配になって顔を覗き込む。酷く辛そうだ。明るい表情が多い彼にしては珍しい。
「イルカお兄ちゃんならどこでもやっていけるでしょ。そんな今生の別れみたいな顔しないでよ。」
「うゆうは、あんまり友達を作るのがうまくないから、心配で。」
「大丈夫だよ、もうすぐアカデミーに通い始めるから。きっと友達もできると思うし、寂しがりなお兄ちゃんにも会いに行くから。心配ないよ。」
そう諭してみると兄は表情一転、少し苛立ったように腕を組んだ。生意気すぎてやっぱり心配だ、と安心したようにため息をついた。
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