序章
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あのあとイタチに持ってきた菓子折りを渡し、もうしばらくはうちはの集落にも出入りすることもない。と息をついたところでシスイに引き止められ、三人共に先ほどとは違う場所、立地的にはうちはの人がよく利用するであろう演習場へ案内された。
「たぶんだけど二人は今日仲良くならなきゃ、友好が深まることもないだろうからな。ついでに修行もつけてやる。」
隣にいるイタチと一瞬視線が合って、すぐに逸した。
噂に聞いただけだが、うちは一族は身内の繋がりが強い傾向にあると知っている。私にはそれが本当なのかどうか判断するだけの付き合いはない。
ただ、見ず知らずの子供を家に上げてくれたり、面倒を見てくれたフガクさんには隔たりをあまり感じていなかった。それに今日声をかけてくれたシスイも、噂に聞くうちは一族の印象とは全く違ったものだ。
「うゆうはまだアカデミーに入る前だろ?オレとイタチとで組手を披露するから、そこで見学しているといい。」
パシ、パシ、と腕や脚がぶつかり合う。二人とは距離があるが、すぐにその一挙一動に釘付けになった。
流れるように繰り出される打撃は十分な体重が乗せられている。そして一撃で終わらずその次、更に先まで考えられていて、防がれても反撃があってもうまく次の手につなげている。四肢すべてを自在に操る技術に、声も出せずに見入っていた。
組手自体はそう時間もたたずシスイに軍配が上がった。座って見ていただけだというのに、手のひらにはじんわり汗が滲んでいる。
「すごい、すごい!二人ともかっこいいですね…!」
立ち上がって駆け寄ると、二人はお互いの人差し指と中指で握手のように組み合った。
「見ていてどうだった?」
「感動しました!シスイさんの安定感と、イタチさんの次の手までの流れが、離れて見ていても分かって。すごいです!」
は、と我にかえって、咳払いで興奮を収める。
「イタチさんなんて私と一歳しか変わらないのに、あんなに隙もなく戦えるなんて。」
「組手には基本の型があるから、それを応用しながら組み立てるんだ。」
「基本の型、ですね。本で読みました!たしか中段の構えから…。」
組手の基本のキ、をイタチから手解きを受ける。本を読むだけでは再現しきれない感覚も、言葉にして教えてくれるのでとても分かりやすい。このまま教科書に載せてほしいくらいだ。
イタチのお手本を真似る。シスイは少し離れて二人を見守ってくれていた。
どれくらい時間が経っただろうか。指南を受けている間はとても充実していたのであっという間に過ぎてしまった。
「ん…、呼ばれたみたいだ……。二人とも。」
「もう行くのか。」
「任務ですか?」
「さあ、それは話を聞かないとわからないが。二人も時間的にもそろそろ戻ったほうがいい。」
体が慣れてきた頃だったので駄々をこねたくもなるが、これ以上続ければ夕方の刻に差し掛かる。となりに立つイタチも聞き分けよく頷いた。その姿を不思議に眺めてしまう。
「なんだ?」
私の不躾な視線にも動じず、イタチは静かに首を傾げる。
「イタチ、って呼んでもいい?」
「構わないが。」
「お前たち、行くぞ。」
一瞬、この人も私と同じように生まれ変わりでもしているのかという考えが過ぎった。彼の精神的な年齢の高さが、そういう経験によるものではない事は分かっている。どの世界でも戦争や死が日常の近くに感じられるのは子供を早熟に大人にしてしまうものなのだろう。
友人になれたら、少しでも早熟な彼らを子供のまま繋ぎ止めていられるかもしれない。そんな理想を浮かべた。
「たぶんだけど二人は今日仲良くならなきゃ、友好が深まることもないだろうからな。ついでに修行もつけてやる。」
隣にいるイタチと一瞬視線が合って、すぐに逸した。
噂に聞いただけだが、うちは一族は身内の繋がりが強い傾向にあると知っている。私にはそれが本当なのかどうか判断するだけの付き合いはない。
ただ、見ず知らずの子供を家に上げてくれたり、面倒を見てくれたフガクさんには隔たりをあまり感じていなかった。それに今日声をかけてくれたシスイも、噂に聞くうちは一族の印象とは全く違ったものだ。
「うゆうはまだアカデミーに入る前だろ?オレとイタチとで組手を披露するから、そこで見学しているといい。」
パシ、パシ、と腕や脚がぶつかり合う。二人とは距離があるが、すぐにその一挙一動に釘付けになった。
流れるように繰り出される打撃は十分な体重が乗せられている。そして一撃で終わらずその次、更に先まで考えられていて、防がれても反撃があってもうまく次の手につなげている。四肢すべてを自在に操る技術に、声も出せずに見入っていた。
組手自体はそう時間もたたずシスイに軍配が上がった。座って見ていただけだというのに、手のひらにはじんわり汗が滲んでいる。
「すごい、すごい!二人ともかっこいいですね…!」
立ち上がって駆け寄ると、二人はお互いの人差し指と中指で握手のように組み合った。
「見ていてどうだった?」
「感動しました!シスイさんの安定感と、イタチさんの次の手までの流れが、離れて見ていても分かって。すごいです!」
は、と我にかえって、咳払いで興奮を収める。
「イタチさんなんて私と一歳しか変わらないのに、あんなに隙もなく戦えるなんて。」
「組手には基本の型があるから、それを応用しながら組み立てるんだ。」
「基本の型、ですね。本で読みました!たしか中段の構えから…。」
組手の基本のキ、をイタチから手解きを受ける。本を読むだけでは再現しきれない感覚も、言葉にして教えてくれるのでとても分かりやすい。このまま教科書に載せてほしいくらいだ。
イタチのお手本を真似る。シスイは少し離れて二人を見守ってくれていた。
どれくらい時間が経っただろうか。指南を受けている間はとても充実していたのであっという間に過ぎてしまった。
「ん…、呼ばれたみたいだ……。二人とも。」
「もう行くのか。」
「任務ですか?」
「さあ、それは話を聞かないとわからないが。二人も時間的にもそろそろ戻ったほうがいい。」
体が慣れてきた頃だったので駄々をこねたくもなるが、これ以上続ければ夕方の刻に差し掛かる。となりに立つイタチも聞き分けよく頷いた。その姿を不思議に眺めてしまう。
「なんだ?」
私の不躾な視線にも動じず、イタチは静かに首を傾げる。
「イタチ、って呼んでもいい?」
「構わないが。」
「お前たち、行くぞ。」
一瞬、この人も私と同じように生まれ変わりでもしているのかという考えが過ぎった。彼の精神的な年齢の高さが、そういう経験によるものではない事は分かっている。どの世界でも戦争や死が日常の近くに感じられるのは子供を早熟に大人にしてしまうものなのだろう。
友人になれたら、少しでも早熟な彼らを子供のまま繋ぎ止めていられるかもしれない。そんな理想を浮かべた。
