日記

15歳の深夜

2023/08/14 00:01
おしゃべり暗い話
 私が学校を不登校になった時、外出すると同級生の視線が痛かったです。

「アイツ、元気なのに学校休んでる。ずる休みしてる」

 そんな風に見られているようで、外出は学校が終わる前までしか出来ませんでした。

 大体、午前中に買い物に行きました。

 人が怖かったので、人が少ない深夜に夜散歩に出掛けていました。

 そんなある時、深夜に私は久しぶりに公園に向かっていました。

 ブランコを思い切り漕ぎたくなったのです。

 まだ肌寒い4月の深夜、紺色のコートを着て公園に辿り着き、ブランコに乗りました。

 ちょうど月が出ていて、外灯に照らされた桜がひらひらと散り、

「みたらし団子を買えばよかったな」

 なんて思いながら、漕ぎはじめました。

 段々と増していくブランコの勢い。

 ぐんっと後ろへと体が引いたあと、思い切り空へと体が投げ出される。

 視界いっぱいに広がる、真っ暗な広い空。

 月だけが私を見ていました。

 ブランコに乗りながらも私は思いました。

『私はずっとこのままなんだろうか』

『夜の世界でしか自由に人目を気にせず出られないのだろうか』

 ふと思い出したのは、従姉のNちゃん。

 当時30代のNちゃんは引きこもりで、自室で閉じ籠もり、長い長い黒髪にパンパンに太った体、実家の畑仕事を手伝うでもなく、ひたすら部屋でひとり息を潜めて生きている。

『私は彼女のようになるのだろうか……』

 地面に足を着き、ブランコの勢いを少しずつなくしていく。

『私は一生、同級生たちを気にせずに出歩くことは出来ないのだろうか……』

 やがてブランコは止まり公園を後にして、私は家路へと歩き出しました。

『一生、家に閉じこもりこのまま働かず生きていくのだろうか……』

 暗い暗い、明かりのない道しか見えなかった10代の春。

 まだまだ将来働くことなど考えられなかった、そんな15歳の夜のことでした。

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