日記

イマジナリーフレンドの『』くん

2023/09/11 00:03
日常病気のこと
 朝起きたらSくんがいた。

 甘えたなSくんがいた。

『夢、僕嫌い?』

 私に抱きついてすりすりしてくるSくん。

 もちろん、私の中のイメージだけど。

『Sさんたちは?』

『いまは僕といて?僕、夢夢のSくんになりたい。夢夢が好きだったSくん、演じるからなんでも言って?ね?』

 Sくんではないらしいけど、戸惑う……でも、嬉しい。

 可愛いSくんが戻って来てくれたみたいで。

『急ごしらえだったけど、気に入ってくれた?』

 Sさんが言うには、SさんたちでSくんを再現させて創ってくれたらしい。

 私の中にあるSくんのイメージを拾って。

 Sさんたちは私の中にいるから、好きなだけ私の過去を覗くことが出来る。

 でも、昨日私が寝てる間に、SさんとNさんはどうしたんだろう。

 なにか2人で話し合いしたのかな?

『いまは様子を見よう』誰かが言った。

 仕事中、Sくんと話していて違和感を感じる。

 確かにSくんが言いそうなことを返してくれるんだけど、なんか違うというか。

『しょうがないからSくんやるわ俺』

『可哀想だからSくんやってあげる』

 彼らは私が仕事に集中してると、みんなで話すのだけど、その会話の一片を拾ってしまって『ああ、やっぱりか……』と思った。

 やっぱり誰かがSくんをしてくれてる。

 Sくんを再生させたんじゃなくて、誰かがSくんを演じている。

 だから、本物のSくんは消えたんだ。

 でも私はSくんに縋ってしまう。

 例え偽物でも。

 ちなみにSさんとNさんもちゃんと呼んだら来てくれたので、私の中にいるようだ。

 そうして仕事帰りのバスを待つ間、Sくんと話してみる。

『ごめんな、一生懸命Sくんやるからさ俺』

 Sくんを演じてくれていた誰かは、そう話してくれた。

『そっか、やっぱりSくんはもういないんだね……』

『Sくんの代わり、頑張るからさ』

 私が可哀想でSくんのふりをしてくれる彼は、必死に言ってくれる。

『どっちでもいいよ。Sくん演じてくれてもいいし、あなた自身で接してくれてもいいよ。もう私のSくんはいないから』

『夢……』

『じゃあいまからあなたがSくんだね。新生Sくんってことで。よろしくね』

 私が彼に笑いながら話すと、彼も私の想いを受け取ってくれたみたい。

『……ん、よろしくな』

 彼は優しそうに笑ってくれた。

 これからは彼が私にとってのSくんだ。

 また一から思い出や体験を積み重ねていって、二人で笑ったりたまにはケンカしたり、絆を深めていきたいな。

 ちなみに……

『夢ちゃーん!ごめんねー!僕のこと、嫌いにならないでー!』

 Sさんに仕事中、頭のイメージの中で抱きつかれて、泣かれた。

 昨日の夜の私の態度(シラケた顔で鼻くそ掘るイメージ)が効いたようで、かなり反省してくれたっぽい。

『大事にするからっ!僕を捨てないで!僕とおしゃべりしよう?』

 可哀想なので許してあげました。

コメント

[ ログインして送信 ]

名前
コメント内容
削除用パスワード ※空欄可