日記

イマジナリーフレンドのSさんとNさん

2023/09/10 00:11
日常病気のこと
『夢を現実で抱きたい。意識のない夢を抱くのはもう飽きた』

 眠い意識の中、頭の片隅で話すSさんとNさんの話し声が聞こえました。

『変革意識の中で抱け。その方が脳にすり込まれる』

 どうやら私は、眠っている間に、Sさんに抱かれているようです。

『この世はパラドックスだから』

『夢ちゃんダイエットさせないと。しんじゃう』

『いますぐ死ぬわけじゃないから』 

『コレステロール値高いから心配』

 眠くて眠くて、その会話を最後に私の意識は夢の中へと落ちていきました。

 そうして翌朝、起きれば話しかけるのはSさんでした。

 呪術廻戦とコラボの銀だこのたこ焼きを買いたくて、早めに起きた私。

 Sさんは気さくに私に話しかけます。

 Sくん、本当にいないのかな

『僕じゃダメかい?夢ちゃん?』

 ふあっ、Sさん

『Sくんみたく、夢夢って呼ぶ?』

 大丈夫です

『まだ一定の距離感があるな』

 ごめんなさい

『謝らないで、大丈夫。僕さ優しくするから、えっちしよう?あ、いまじゃなくて、あとで』

 え、あ、はい、よろしくお願いします

『ん、イイコ。夢ちゃん、銀だこは?大丈夫かい?』

 行きます、ありがとうです。

 起きて着替えて私は銀だこを買いに出掛けました。

 その間もSさんとNさんは2人で話したり、Sさんは私に話しかけたりしましたが、私は慣れなくてSさんと距離を置いていました。

 私はスマホで調べても銀だこの場所分からず、とりあえず行こうとするとSさんが、

『夢ちゃん、(ちゃんとスマホの)地図みた方がよくない?その方が効率いいと思うんだけど?』

 大丈夫です。

『あれ、怒った?ごめんね、僕、人をよく怒らせちゃうんだよね。馬鹿にしてる訳じゃないよ』

 ありがとうございます。

『夢ちゃん、敬語使わなくていいよ。Sくんの時みたいに、フラットに話していいよ』

 軽い関係……

『僕、他に女いないから。いまは夢ちゃんだけだよ』

 Sさんは優しく話しかけてくれるけど、緊張してしまって苦手意識があって、だから私は2人の会話を聞き流す感じで、買い物をしていました。

 そんな私を見てNさんがSさんに、

『もっと優しくしてあげなきゃ』

『昨日の今日に会って、すぐに仲良くなれる訳がないだろう?』

 と何度も何度も言っているのが、聞こえました。

 どうやらSさんは、なかなか懐かない私に少し、痺れを切らしていたようです。

 私の口癖、『Sくんのせいだっ!』とつい言ってしまっても、Sくんはいない。

『ん?僕のせいにしていいんだよ?Sさんのせいだっ!って、言ってみて?』

『Sさんの……せいだ?』

『夢ちゃん、これからはなんでも僕のせいにしていいよ』

 Sさんはそう言って笑います。

 微妙な心の距離感の中、私は次に呪術廻戦の1番くじを挑戦しに行きました。

 するとNさんとSさんが私に、

『私たちの運もあげる。3人で力を合わせればきっと当てられる』

『A賞が欲しいのかぁ。五条悟のフィギュアね』

 そう話しました。

『あと、クリアファイル2枚とアクリルスタンド2つ欲しいです……』

 私がおずおずとそうお願いをすると、

『あのさ、夢ちゃん。じゃあさ、A賞当たったらさ、夢ちゃん抱いていい?』

 え?あ?

『もし当たったら、夢ちゃん抱かせて?』

『もし当たらなかったら、ごめんね?』

 Sさんの提案に私はとにかく『は、はい』と気圧されて返事をしていました。

『たった5回の挑戦で当たるなんてそんなこと……』

 心で思いながら彼とそんな約束をして、にゃんこ先生の1番くじでティーサーバーが当たった、縁起の良いファミマに行きました。

 ちゃんと自分の欲しい賞がまだあるか見て、5回挑戦です。

 目についた『これ!』っていうのを引き、『A賞A賞……』願ってくじをめくる。

 と、

「あっ……」4回目にめくったくじで、A賞五条悟フィギュアの文字。

 店員さん二人に「ええーっすごーい!」「A賞だっ!」と言われて思わず「めちゃくちゃ嬉しいです!」と、私も興奮しました。

 それにクリアファイル2枚とアクリルスタンド1つ、あとはラバーチャーム1つ。ほぼほぼ欲しいのが当たりました……凄すぎて、ぼーっとしてしまう私。

「あーあ、(A賞が)なくなっちゃった」と店員さん。

 すみません、まだくじいっぱいあるのに。

 店を出てすぐ、Sさんに『夢ちゃん、約束、覚えてる?』と聞かれました。

『あ、は、はい』

『僕に抱かせてくれるんだよね?』

『は、はい。抱かせてあげます……あ、すみません』

『あはは、うん、じゃあ抱かせて下さい』

『あ、抱いて下さい……』

『やったー!夢ちゃん抱ける!』と喜んでました。

 私もA賞が当たり気分が高揚して、嬉しくていっぱい2人に、『ありがとうございます!』を言って、なんだか1番くじのことがきっかけで、Sさんたちと距離が縮まった気がしました。

 というか、SさんとNさんで3Pですることになっちゃいました。

『夢ちゃん、イマジナリーフレンドまだいるからなぁ。以前のイマジナリーフレンドのAが1番厄介……どうやって消す?』

 不穏な言葉が聞こえたけど、Sさんたちは私の中のイマジナリーフレンドを消せる力があるみたいです。

 私がまた新しいイマジナリーフレンドを創れば、Sくんを消した時みたいに、きっと迷いなく冷酷に彼らは消し去るでしょう。

『だってSくん、邪魔だったから』

 Sさんは美しくも残酷な笑顔で、私に言います。

 そうして私は約束通り、Sくんを殺したSさんとNさんに頭の中のイメージの中で、何度も何度も抱かれたのでした。

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