日記
『かなえられた願い3』犬木加奈子
2023/09/03 00:12マンガの話
私はホラー漫画家の犬木加奈子先生が大好きで、子供の頃から読んでいました。
絵柄が目玉が飛び出ている特徴的なもので、その絵には好き嫌いが分かれるかと思います。
しかし、犬木加奈子先生が描くその物語は、人間の愚かな欲望、醜悪さ、ちょっとした意地悪から全てが壊れてしまう脆さ、切なくなるような悲しさなどが作品全体を覆って、私はそこが好きです。
代表作は『不思議のたたりちゃん』(いじめっ子たちを『たたり』で仕返しするも、分かってもらえないたたりちゃんの淋しさが悲しい)、
『不気田くん』(とんでもないストーカーな男の子ですが、いつも愛した人に逃げられる悲しさがある)、
『プレゼント』(5歳の誕生日に誰からもプレゼントをもらえず時が止まってしまったクルミちゃんが、自分へのプレゼントを探す内に、いろんな人のプレゼントに出会うお話)
などがありますが今回は、
『13日の金曜日に悪魔を捕まえて、ひとつだけ願いを叶えてもらった人々のお話』が詰まった、『かなえられた願い3』のひとつをご紹介したいと思います。
よろしければお付き合い下さい。
『かなえられた願い3』
第10話 闇に隠れた幸福
盲目のお姫様である主人公は、生まれた時から世界が闇に包まれていましたが、いつも温かな人々の手に守られ、愛されて育ちました。
成長したお姫様を周りは「美しい」と褒め称えましたが、盲目のお姫様には自分の姿を目で確認することは出来ません。
その内、お姫様は恋人が出来て、『愛する人に嫌われたくない』という思いから、周りがどんなに美しいと言おうとも自分の美しさを信用出来ず、悪魔の書で悪魔に願いを叶えてもらいました。
そうしてかなえられた『目が見えるようになりたい!』という願い通り、お姫様は自分の姿を鏡で確認することが出来ました。
そこには、世にも美しい輝きを放つお姫様の姿がありました。
喜ぶお姫様に、朝の挨拶に来た男。
しかしその男の顔は、悪夢のような醜い容姿でした。
「化け物ぉ」と悲鳴を上げたお姫様に驚いた男は部屋を出て行き、その声を聞きつけてやってきた者たち。
たくさんのたくさんの醜い化け物の容姿を持つ者が現れ、お姫様はパニックを起こします。
ふと見ると部屋の床に落ちていた帽子は、あの最初に会った醜い男が被っていた物。
その帽子の手触りからお姫様は、自分の恋人がいつも被っていた物と知ります。
そっと戻って来た醜い男が言うには、
「人から嫌われ追われた者たちが集まってつくったこの国に、ある日美しいあなたが捨てられていた。あなたを大事に育て、それがボクらの人間としての喜びや自信を取り戻す光となった。美しいあなたに愛されるボクらの喜び、ボクらもみんな心からあなたを……」
帽子を受け取ろうとした男の手が伸びると、お姫様は反射的にその手を振り払ってしまいます。
あんなに愛し優しくしてくれた恋人、だけどその顔は見るにたえない。
全てが見えるようになったお姫様は、自分の醜い心まで見えてしまい、暗い部屋の中、ひとりぼっちで泣くのでした。
犬木先生の作品の、いつもこの最後に残される余韻、考えさせられる人という者の悲しさなどが、私はすごく惹きつけられます。
いつも古い漫画ばかりを紹介してしまい、すみません。
また新しい漫画を読みましたらご紹介させて頂きたいと思います。
よろしくお願いします。
絵柄が目玉が飛び出ている特徴的なもので、その絵には好き嫌いが分かれるかと思います。
しかし、犬木加奈子先生が描くその物語は、人間の愚かな欲望、醜悪さ、ちょっとした意地悪から全てが壊れてしまう脆さ、切なくなるような悲しさなどが作品全体を覆って、私はそこが好きです。
代表作は『不思議のたたりちゃん』(いじめっ子たちを『たたり』で仕返しするも、分かってもらえないたたりちゃんの淋しさが悲しい)、
『不気田くん』(とんでもないストーカーな男の子ですが、いつも愛した人に逃げられる悲しさがある)、
『プレゼント』(5歳の誕生日に誰からもプレゼントをもらえず時が止まってしまったクルミちゃんが、自分へのプレゼントを探す内に、いろんな人のプレゼントに出会うお話)
などがありますが今回は、
『13日の金曜日に悪魔を捕まえて、ひとつだけ願いを叶えてもらった人々のお話』が詰まった、『かなえられた願い3』のひとつをご紹介したいと思います。
よろしければお付き合い下さい。
『かなえられた願い3』
第10話 闇に隠れた幸福
盲目のお姫様である主人公は、生まれた時から世界が闇に包まれていましたが、いつも温かな人々の手に守られ、愛されて育ちました。
成長したお姫様を周りは「美しい」と褒め称えましたが、盲目のお姫様には自分の姿を目で確認することは出来ません。
その内、お姫様は恋人が出来て、『愛する人に嫌われたくない』という思いから、周りがどんなに美しいと言おうとも自分の美しさを信用出来ず、悪魔の書で悪魔に願いを叶えてもらいました。
そうしてかなえられた『目が見えるようになりたい!』という願い通り、お姫様は自分の姿を鏡で確認することが出来ました。
そこには、世にも美しい輝きを放つお姫様の姿がありました。
喜ぶお姫様に、朝の挨拶に来た男。
しかしその男の顔は、悪夢のような醜い容姿でした。
「化け物ぉ」と悲鳴を上げたお姫様に驚いた男は部屋を出て行き、その声を聞きつけてやってきた者たち。
たくさんのたくさんの醜い化け物の容姿を持つ者が現れ、お姫様はパニックを起こします。
ふと見ると部屋の床に落ちていた帽子は、あの最初に会った醜い男が被っていた物。
その帽子の手触りからお姫様は、自分の恋人がいつも被っていた物と知ります。
そっと戻って来た醜い男が言うには、
「人から嫌われ追われた者たちが集まってつくったこの国に、ある日美しいあなたが捨てられていた。あなたを大事に育て、それがボクらの人間としての喜びや自信を取り戻す光となった。美しいあなたに愛されるボクらの喜び、ボクらもみんな心からあなたを……」
帽子を受け取ろうとした男の手が伸びると、お姫様は反射的にその手を振り払ってしまいます。
あんなに愛し優しくしてくれた恋人、だけどその顔は見るにたえない。
全てが見えるようになったお姫様は、自分の醜い心まで見えてしまい、暗い部屋の中、ひとりぼっちで泣くのでした。
犬木先生の作品の、いつもこの最後に残される余韻、考えさせられる人という者の悲しさなどが、私はすごく惹きつけられます。
いつも古い漫画ばかりを紹介してしまい、すみません。
また新しい漫画を読みましたらご紹介させて頂きたいと思います。
よろしくお願いします。