おしごとの時間

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人々から忘れ去られた、村の残骸。
風に形を攫われつつあるそこに、その館はあった。
夜陰に潜む、朽ちた洋館。
その全容は立ち込める暗雲に隠されており、どれ程の規模かは計り知れない。
一歩その中に足を踏み入れれば、外観よりも明らかに広い空間が広がっており、腐った獣脂タローの蝋燭でも燃やしているのか、焦げた死臭が充満している。
内部に人の気配はなく、崩れた漆喰の壁や天井には、陰鬱な闇がそこかしこにこびりついていた。
それは館の図書室も例外ではない。
寒々しい程に広い室内は、窓越しの月明かりがあるにもかかわらず、真っ暗な夜に沈んだまま。
辛うじて背の高い本棚や、遥か上の天井の影が見える程度だ。
部屋をいっぱいに埋め尽くす夜は、やがて黒いヘドロへと形を変え、まるで意思でも持つかのように本を、棚を伝い、どろりと絨毯へと落ちていく。

「ああ、やっとお出ましか」

響く足音。
ひりつく空気。
骨が軋むような悪寒と共に、その男は現れた。
緩慢だった時間が、突如として動き出す。
「建物のチョイスは悪くない。肥溜めにしちゃ、立派なもんだ。ただ、図書室ここを選んだのは頂けないな。生憎今日は、本が絡むとうるさい奴がいる」
床に澱んでいたヘドロは激しく波打ちだし、たちまち全てを覆い尽くす。
「おっと」
ヘドロが足を捕える刹那、男は踊るように空へと飛んだ。
長いコートが、宙にはためく。
——僅かに差し込む月光に、閃く黒を孕んだ赤。
その色目がけ、ヘドロは一斉に飛びかかる。
「遅い遅い、そんなんじゃこのダンテ様に指一本触れねえぜ!」
高らかに指笛が鳴る。
それを合図に室内は零下へと至り、冷気が凝結したたかと思えば、ダンテの手に氷霧を吐く三節棍キングケルベロスが現れた。
「遊んでこい!」
天井を蹴り勢いをつけたダンテは、床へ凍てつく棍を叩きつける。
ヘドロはギリギリのところで避けたが、床を砕いた氷は絶対零度の狂犬となり、引き潮の如く逃げるそれを強襲した。
闇はみるみる内に凍りつき、室内は見渡す限りの氷面となる。
「いい子だ、子犬ちゃん」
ダンテはキングケルベロスと入れ替えに、轟音を吹き上げるバイクキャバリエーレを召喚した。
「さーて、盛り上がってこうぜ!」
暴れる本体を力尽くで抑え付け、スロットルを全開にする。
エンジン音に擬態した魔物の叫喚に、ダンテは心地よい高揚に酔いしれる。
行くぜLet’s roll!」
それは、蹂躙の宣言だった。
タイヤが、カウルが、マフラーが。
闇を砕き、散らし、踏み躙る。
観客へパフォーマンスを魅せるが如く、ダンテは派手に氷面を駈け、キャバリエーレを振り回した。
ダイヤモンドダストとなった闇が、月に輝き部屋に舞う。
その粉々となった破片からは、恐怖や脅威の類は微塵も感じられなかった。
「あん?手応えねぇなあ。もっとこう——」
真っ二つに割った車体を高く振り上げた時。
風切音に次いで、走る粘質な衝撃。
ダンテは異変があったらしい右手を見た。
そこにあるのは、絡みつく黒い影。
爬虫類の舌に似たそれは、元を辿れば天井にある落ちかけの吊り照明ペンダントライトから垂れていた。
「ははぁ、そこにいたか。『全然気付かなかった』」
白々しい台詞を遮り、更なる影がダンテを襲う。
何本もの影に捉えられ、締め上げられる四肢。
キャバリエーレは光へと帰し、ダンテは宙へと吊り上げられた。
八つ裂きにせんと四方へと引かれる手足から、肉が千切れる音がし始める。
「こりゃピンチだな」
そうダンテが、楽しそうに呟いたその時。

幾千もの閃光が、部屋に走った。

雲散する影。
霧消する咆哮。

瞬きすらする間もなく、全ては既に『終わっていた』。

「————Jack Pot」

赤い魔石レッドオーブが四散すると同時に、金属が鳴る音がする。
部屋の奥。
月の光が差さない片隅に、先程まではなかった小さな気配が佇んでいる。
「うへぇ、命拾いした」
解放されたダンテは地面に降り立つと、すぐにその気配の方へと駆け寄った。
それを追うように雲が晴れた月の光が、窓から暗がりへと差し込んで来る。
青白い光に部屋全体が明るくなり、壁の本棚を見上げる気配の主も顕になる。
黒に青の荊模様が刺繍されたコート。
つんつんとした頭の銀の毛。
ひくひくと動く黄色いくちばし。
艶めく漆黒の和毛にこげに包まれた——ペンギンの姿。
「バージル!」
ダンテに名を呼ばれたペンギン、もといバージルはゆっくりと振り返る。
その眼光は愛くるしい見た目にそぐわない鋭さで、右羽には小さな体躯に釣り合わない閻魔刀が握られている。
「悪ぃ悪ぃ、助かったぜ」
バージルの前にしゃがみ込み、ダンテは軽い口調で礼を言う。
しかしバージルはぶるぶると体を振るわせると、閻魔刀のこじりと下緒を引きずりながら、ダンテの横をすり抜けた。
向かった先にあるのは、絨毯に散らばったレッドオーブ。
人の頭部を思わせる赤い石に、バージルは一つ一つ羽で触れ、匂いを嗅ぎ、足で突き、厳粛な面持ちで検めていく。
そうやって一通り品定めしたバージルは、とある石の前で羽を組んだ。
部屋の真ん中に浮遊するその石は、バージルからすれば一抱えもある大物だった。
石の造形は苦悶に満ちた悪魔というより、くしゃみをする直前の中年男といった見た目で、はっきり言って間抜けである。
しかしこんな見栄えのしない石でも、何故かバージルのお眼鏡にはかかったらしい。
バージルは納得したように頷き、それをむんずと頭上に持ち上げる。
そして急いでダンテに駆け寄ると、羽をうんと伸ばし、その目の前へ差し出してきた。
薄氷色の目には一点の曇りもなく、鼻はふんふんと力強く鳴っている。
「今日の石はまた一段と個性的だな、おい」
ダンテはバージルからの贈り物を、矯めつ眇めつ眺めてみた。
石は見れば見るほど不細工で、うだつの上がらない表情は『どこぞの情報屋』の面影と重なる部分がある。
「あははっ。いいね、親近感が湧いてきた。気に入ったよ」
ダンテはレッドオーブを右手に持ち直し、空いた手でバージルにお馴染みの『ぺちぺち』を返す。
「ありがとな、バージル」
脇を叩かれたバージルは、胸を大きく膨らませて、より興奮してふんふんと鳴く。
更にお返しとばかりにダンテの右腕を掴むと、ぺちぺちと激しく叩き返してきた。
「やめろよ、石が落ちる」
制止の言葉など形だけ。
ダンテは避ける素振りも見せず、バージルの『ぺちぺち』を堪能した。
「……しっかしデケェな、これ。いつもの棚には飾れねえだろうし」
修羅場を抜けたばかりだというのに、ダンテは呑気な口調で独りごつ。
バージルもまた羽を止め、そんなダンテを小首を傾げて見つめていた。
「どうする?バージル」
ダンテは空いている手で、バージルの顎をくすぐってやる。
ふわふわとした毛の感触が、何ともいえず心地いい。
バージルの方もまた、気持ちよさそうに目を細め、ダンテにされるがまま、ぐるぐると喉を鳴らしていた。




葉がすっかり落ちた裸の欅。
どこまでもどこまでも高い空。
そして公園のベンチで、手にした『人面石』と睨めっこをする小太りの中年男。
「な?お前そっくりだろ?」
並びに座るダンテが笑えば、エンツォはカッと顔を赤くした。
「おっ、いいぞ。マジで瓜二つだ」
「ふざけんな!人が振ってやった仕事で遊んでんじゃねえ!」
エンツォは芝生の地面へレッドオーブを叩きつけようとしたが、ダンテはさせまいと石を回収する。
「やめろよエンツォ。バージル渾身のチョイスだぞ?」
「知ったこっちゃねえよ!大体なんだよアレは!?」
勢いよく差された指の先にいたのは、ぱちゃぱちゃと飛沫をあげながら、噴水で水浴びをするペンギン。
周囲ではベビーカーを押す若い母親や、いかにもわんぱくといった少年が、スマートフォンを向けたり、話しかけたりしている。
「バージルに決まってんだろ。お前も知ってる癖に、わざわざ聞くなよ」
あっけらかんと答えるダンテに、エンツォは頭を抱えて悶絶し、反射的に立ち上がる。
「そういう話じゃねえ!何であいつは普通に水浴びしてんだよ!つかなんだよこの小っちぇえコートも!」
「それはキリエが作ってくれたんだよ。『冬になって寒いだろうから』って。上手いもんだよな、前のコートとそっくりだ」
「真冬に噴水でバシャバシャしてるペンギンに、寒いもクソもあるかってんだ!」
「おいエンツォ、あんまり怒鳴んなよ。子供が怖がってるぜ」
石敷きの歩道を行く人々の耳目を集める中、まるで他人事かのごとく宥めてくるダンテに、エンツォはがっくりと項垂れた。
最早何も言うまい。
そう顔に書かれているようだ。
「はぁ……ホント悪魔狩りデビルハンターってのはイカれた野郎ばっかりだぜ……で?それよりちゃんとブツは見つけたんだろうな、ダンテ」
「もちろん。ほらよ」
ダンテは石を大切に抱え直すと、やや薄手の八つ折り版オクターヴォの古書を投げ渡した。
エンツォはぼろぼろの茶表紙を広げ、懐から出したメモと見比べつつ、ぶつぶつと何事かを呟いている。
「——よし、指定の本みたいだな。報酬は依頼主へ納品が済み次第、また連絡する」
「ああ、頼むぜ。年の瀬で色々物入りなんだ」
本の埃を払いつつ、エンツォはベンチの背凭れにどっしりと体重を預ける。
初めこそ余裕ありげに空を仰いでいたが、段々と目が落ち着きなく泳ぎ始め、終いには意味ありげにダンテへと目配せした。
何かあるのか。
黙って待っていると、早々に痺れを切らしたエンツォが口を開く。
「…………それで、収穫はあったのかよ」
「うん?」
「『うん?』じゃねえよ。お前らのお目当てはあったのかって聞いてんだよ!」
エンツォはずいっと顔を寄せてくる。
「あのな、俺が何のためにわざわざ魔法だ呪いだなんていかがわしい仕事回してやったと思ってんだよ。お前の兄貴の呪いを解く手がかりがあるかもってんで、無理して融通してやったの忘れたのか?」
太くて短いエンツォの人差し指が、ぐりぐりとダンテの眉間を抉った。
両手を挙げ『降参』するダンテの右手で、レッドオーブがきらりと輝く。
「いやいや、マジで感謝してるって。エンツォ様にゃ頭が上がらねえよ」
「フン、口だけは回りやがる。で、どうなんだよ実際。あったのか?なかったのか?」
「あー……まあ、今回は空振りだな。面白そうな史料クェレン黒本ブラックブックは結構あったが、役立ちそうなヤツはなかったよ」
「かーっ!またかよ!」
オーバー気味に叩かれたエンツォの額が、ぱしんと大きな音を立てた。
その音に反応し、バージルが噴水の中からこちらを見たが、ダンテは右手を振って何でも無いと応えてやる。
「仕方ねえだろ。頑張っちゃいるが、俺達みたいな半魔なんざ滅多にいねえんだ。記録も文献も限られてくる。そう都合よくはいかねえさ」
「都合よくいってもらわなきゃ困るんだよっ。お前の兄貴はな、歴史上稀に見るクソ程ムカつく野郎だがな、いないならいないで面倒なんだよ。あいつは空気を読まねえで突っ走りやがる。だからこそガッチガチに凝り固まった反吐の山みてえな案件でも、ぶつければ取り敢えず『とこは動く』。良くも悪くも、な」
「毒には毒、反吐にはバージルってか?他所様の兄貴に随分な言い様だな」
「当ったり前だろ。でなきゃあんな災害級の厄介モン、誰が好き好んで関わるかってんだよ」
「でも今回だって、バージルはきっちり仕事はしたぜ。そりゃ前と同じって訳にはいかねえけど、大抵の悪魔は瞬殺だ。レディ達もフォローしてくれてるし、俺も前よか仕事請けてるだろ?」
「そんなの誤差の範囲じゃねえか。燃えてるジャングルにハチドリが水を垂らしたところで、何にもなりゃしねえんだよ。大体お前はなあ……」
「カリカリすんなって、皺が増え……ん?」
エンツォがいよいよヒートアップしてきたという時、ダンテはやにわに会話を切り上げると、背凭れに手を掛け、ひらりとその後ろへと飛び込んだ。
「これ、預かるぜ」
エンツォの手から本を奪うと、ダンテはさっとベンチの後方へとしゃがみ込む。
「へ?何を」

ぶるぶるぶるぶるっ。
「ギャーーーーッ!!」

突然エンツォを襲う、大量の水飛沫。
その断末魔に、道ゆく人々は一斉に足を止め、木に憩う鳥達が空へと逃げ惑う。
「何しやがる!」
ぐしょぐしょになったエンツォの前に仁王立ちするのは、言うまでもなくバージルだった。
濡れた地面の跡を見るに、水浴びを切り上げ、噴水からダンテ達の方へ来ていたようだ。
「こンのクソペンギン!テメェわざとやりやがったな!?」
顔を真っ赤にするエンツォに、バージルはぷっと音を立てて吹き出してみせる。
「あっ、今馬鹿にしたろ!それくらいわかるぞ!ホンッッッットお前腹立つな!外に出やがれ!ケリ着けてやらぁ!」
「落ち着け、エンツォ。外はここだ」
周囲が騒めきだした頃、背凭れの向こうからダンテとレッドオーブが顔を出した。
「テメェ、ダンテ!お前わかってて自分だけ逃げやがったな!」
「まさか!とんだ濡れ衣だ。いや、濡れてんのはそっちだけどよ。それより返すぜ、依頼の本。濡らすんじゃねえぞ」
「やっぱりわかってたんじゃねえか!馬鹿野郎っ!」
「人聞き悪いこと言うんじねえよ。ほら、バージルこっち来い」
怒り狂うエンツォを尻目に、ダンテがどこからか取り出した厚手のバスタオルを広げれば、バージルは当たり前のようにその中に収まった。
「お前も使うか?」
バージルをタオルで包みながら、ダンテはぺらぺらのフェイスタオルを投げる。
「扱いの差があからさま過ぎんだろ!」
エンツォは唾を飛ばしながらそれ引ったくり、ガシガシと顔や頭を乱暴に拭いた。
「よーし。バージル、羽上げろ」
ダンテが軽く羽に触れれば、バージルはうんと羽を高く伸ばす。
対するダンテも、極々自然な手つきで、羽の付け根や腰回りを拭ってやった。
「クッソ、お前らすっかり馴染みがってっ……」
「そりゃ三ヶ月も経てば、慣れもするって」
「けっ」
エンツォはじっとりとした目でダンテ達を見る。
が、ふたりは一顧だにしない。
「うん、こんなもんだろ。後は歩いて乾かすか」
ダンテが白いタオルを広げると、バージルはぴぃっと鳴いて、仕上げの毛繕いに入る。
「はー……はー……呑気なもんだなっ、前よりへらへらしやがって」
くちばしで羽や腹をつつくバージルを横目に、息で手を温めるエンツォが言った。
「何だよ、それ」
ダンテはタオルを適当に折り畳む。
「うぐっ……だってそうだろ?そいつがペンギンになる前は、お前らしょっちゅうドンパチやり合ってたてたじゃねえかっ。見ろよ、噴水の向こう。前にお前らが馬鹿やり合ってブッた斬った木がそのまんまだ」
歯の根が合わないエンツォの指がさしたのは、公園の中程にある雑木林の一角。
整えられた並木が途中で、不自然に途切れている部分がある。
「いや、あれはバージルの奴が俺ごと次元斬を……」
「言い訳すんじゃねえよ。やらかしたよはテメェらなんだよ!はっ、それが今じゃどうだ?喧嘩一つしない、仲睦まじい『おしどり夫婦Lovebirds』だなんてジョークにも……ぅうっ、さっぶ……!」
ダンテはエンツォを宥めるように手を伸ばしたが、それはつれなくはたき落とされた。
当たり前だが、エンツォの機嫌は頗る悪いようだ。
「なぁ、ダンテ」
エンツォは忌々しげに手にしたタオルを絞った。
震える手で、当てつけるように大きな素振りで。
「お前な」
エンツォの据わった目に、ダンテが映る。

「本気でバージルそいつを戻す気あんのか?」

水が、落ちる。
寒さに枯れた芝生へ、ばたばたと落ちる。
「————え?」
水が地面を叩く音が、耳の奥でこだました。
何度も反射し、増幅し、頭に、身体に響き渡る。
そのうるささにダンテは狼狽え、堪らずバージルを見た。
澄んだ氷によく似た瞳。
澱みないその双眸に、ダンテは焦燥を覚える。
「いや、そりゃもちろん」
果たして、そうだろうか。
「俺は」
口から発しようとしている、その言葉は。

バージルこいつのことを」

————それは本当に、心からの願いだろうか。

「……ぶぇっくしゅん!!」

水の音は、盛大なくしゃみで掻き消された。
口から出る筈だった言葉は、ごくりと喉の奥へと飲み込まれる。
腹にそれが収まった時、ダンテは何故かほっとた。
「畜生っ、もう限界だ!おいダンテ、お前のとこの風呂貸せっ。このままだと凍え死んじまう!」
エンツォがバスタオルを奪い取り、無いよりマシだと肩へ羽織った。
「エンツォ」
ダンテは名前を呼んだが、白いタオルを靡かせる背中は、振り返ることもなくどんどんと遠ざかっていく。
追いかけようと思ったが、足は上手く動かない。
寒さで悴んでいる訳ではない。
ただただ前へと踏み出せなかった。
バージルが軽く、脛を蹴ってくる。
状況がくわからないなりに、ダンテを心配しているのかもしれない。
「……大丈夫、何でもねえさ」
作った笑顔は、きっとぎこちない。
そんな自覚をする程度に、ダンテは自身の異変を感じていた。
先に飲み込んだ言葉が、少しずつ腹の底で固まりだす。
痛むでもなく、さりとて無視ができるものでもなく。
ダンテは重くなった腹の辺りで、硬く拳を握りしめた。
言葉を失い、立ち尽くすその足元では、小さなバージルが背伸びをしている。
両羽に間抜け顔のレッドオーブを持ち、きゅうきゅうと鳴きながら。
バージルは懸命にダンテへと、それを差し出していた。

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