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青い男の左の手には 枯れた枝が根付いていた

青い男はいつしか老いを 忘れてずっと生きていた

青い男は悪魔であって 青い男は人だった

青い男の隣には 赤い男が立っていた

青い男が生まれた朝に 赤い男は生まれ落ち

赤い男が死んだ夜 青い男は死ななかった

赤い男は人として 老いて夜に死んだのだ

赤い男は静かな夜に 青い男に笑っていった

俺が死んだら指をやる 左の枯れた薬指

お前が慣れるいつかの日まで 俺の代わりに持っていけ

青い男がこたえる前に 赤い男は静かに死んだ

青い男は墓を作って 赤い男は眠りについた

青い男の右手には 赤い男の指がある

枯れた粗末な枝に似た 愛しい愛しい指だった

青い男は自分の指を 落として枝を接ぎ木した

接がれた枝は褪せた朝 青い男に寄り添って

接がれた枝は孤独な夜に 青い男を慰めた

幾千幾万幾億の 朝と夜とを繰り返し

青い男は愛しい枝と 凪の世界に佇んだ

ある日男は目覚めた朝に 空の青さに気がついた

男は愛しい小さな指と 緑が茂る道をゆき

淡い黄色の花が咲く 古い墓へと辿り着く

男は黒い土を掘り 小さな指を葬った

赤い男はそうやって 人の命を終えたのだ

男は青い空の下 ひとりでそっと見送った


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