剥がれた仮面の素顔
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いつからか、彼には2つの仮面をつけることとなった
1つは私立探偵でポアロの店員でこの国に溶け込む安室透としての仮面
もう1つはある犯罪組織にいるためのバーボンという仮面の2つ目の顔
その2つを使い分け被る公安警察の降谷零
そんな彼と私の関係は、同じ公安で彼と同じく組織に潜入中で………そして恋人関係である、が……私は時々、本当の彼が分からなくなりそうなときがある
でも、本質(たましい)は変わらない……安室透もバーボンも降谷零だから、私は彼を愛してる
降谷零を護っているあの仮面が……ふたつとも崩れ組織に彼の正体が明かされそうになる事態に陥りそうになれば、
自分がやることはたった1つ、よ…………
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「小鈴………」
『!………、バーボン。』
不意に町中を歩いていた時、背後から聞き覚えのある声に振り向く
帽子を目深に被った男、見慣れた彼は私と同じある機関の人間だ
けど彼はいくつかの人格を纏い持ち合わせている
そう今、目の前にいる彼は………闇の組織に潜っている時の人格………バーボン。
「------………そういうことなので、今度の任務にはアドニスにも加わって貰いますよ?」
『了解。で…バーボン、これからどうするの?』
「ああ、これからポアロのバイトに行かなくてはならないので、そちらに……」
『ねぇ、私まだお昼たべてないの。確かポアロって喫茶店でしょ?行っていいかしら?』
「構わないが、………俺とは深く関わるようなことはするなよ?なるべく組織の者に俺とアドニスの関係は何もないと分からせる方がいい。今後のためにも……な。」
『!……(あ、……)』
最後の方で僅かにかわった雰囲気を私は見逃さなかった
あれは自分を愛しく見つめる時に表す……降谷零だ
今後とは……この先、バーボンか私のどちらかが組織に正体がバレて仲間の存在を気付かさないための事だろう
『ええ、そうね。(心配ないわよ、零。どちらかの正体がバレるとしたら……私の方だから。)』
零はそんなヘマはしない。
たとえバーボンの秘密が暴かれても貴方を死なせない!!
公安には……この日本には、零が必要なの!
私が、降谷零を護るから!!
「?……どうした、小鈴?」
『んん………なんでもない。じゃあ時間をあけてからポアロに行くわ。初めてポアロに訪れた来客としてね?』
クルリと振り返り背を向けたまま後ろにいるバーボンに向けて手を振りながら、まだ片づけてない書類を思い出し溜め息をついた………
約束通りポアロにやってきた私はニコニコと人の良さそうな店員から、いらっしゃいませ!と迎えられ席に案内された。分かりやすい、この雰囲気は完全に零ではない、安室透という人格だとすぐにわかる
自分の他に客がいて、その客である女性人は明らかに安室目当てで来店していると感じとった
いや、明らかにまる分かりだ
メニュー表からハムサンドを頼むことにした、そしてあまりの美味しさに舌鼓を打ってしまう
なに!これ!おいしぃ~~♪
まるで犬や猫に触り癒され出てしまうあの締まりのない表情をおもわず表してしまい女性店員の人とパチリと目が合いクスリと微笑みられて話し掛けられた
「そのハムサンド、安室さんが考案されて、今評判なんですよ!良かったらまたポアロに来て下さい!」
『(零が!!?)はい、是非……』
自然と応えてしまった返答に、心の中で何やってるんだ!と失態をおかしてしまった自分に頭をかかている小鈴
厨房にいる安室透からも眉間を寄せて不機嫌そうな表情から、"何考えている……"と言われている感じだ
「ありがとうございましたー!」
会計を済ませ、あの女性店員に送り出されポアロから3歩あるくとスマホがブルブルと震えだし、誰だろう?と画面を覗くと……
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あれ、また食べたいなら作ってきてやる。
降谷零
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『!!………(クスッ♪)』
そんな彼からのメールの返信が来ていて小鈴は嬉しい気持ちをメールにのせて降谷に返送するとガラス越しに見える恋人を、本当に愛しそうに少しだけ見つめ足を進めた
しかし、そのあと小鈴はとある人物からのメール内容に背筋を凍りつかし指示された場所へと向かったことは、このあと安室にも送られてくるメールで知ることとなる
カツッ!カツッ!カツッ!!………
--っ…なんだ………これは………
あの時と同じ悪夢を、また見ているのか?
…………いや、違う!!
"また"じゃあない!!
もう1度、あの悪夢が起きているんだ!!
忘れられないあの雑居ビルの鉄骨階段をかけ上がる。この先の屋上にいるであろう彼女と此処で死に絶えたスコッチ(かれ)の事を脳裏で思いながら息苦しい呼吸で結して足を止めず上っていくバーボン
「--ハアッハアッ……(頼む!その引き金だけは引くな!間に合ってくれ!!)」
ドンッ!!
その時、丁度階段を上りきり屋上へと踏み込んだのと同時に
『バーボン!!?』
「小鈴!?…わあっ!?」
突如、小鈴が目一杯抱き付いてきて、それに驚いて短い悲鳴をあげたバーボンだが彼女が無事だったことに安堵した、次の瞬間
--ドンッ!!!
1発の銃声、小鈴から聞こえた激痛な悲鳴、それと同時に自分にも反動したタックルされたような衝撃、
そのままバーボンは小鈴とともに後ろに転倒し階段から転げ落ちる
「ぐっぅ゛…--っ…小鈴?……ッッ!!?小鈴!?おい!目を開けろ!小鈴!!!」
自分の服と掌にベットリと染まった赤黒い小鈴の血に、いつも冷静沈着で動揺を取り乱さないバーボンは彼女のコードネームではなく彼女の本名を叫び続けた
ぐったりとした顔を上へと向かせると彼女の顔には殴られた痣に唇が切れていて血を流している
すると……カツン、カツンと階段を降りてくる足音。男の声が愉快そうに笑い声を溢しながらバーボンの前に姿を見せる
「これはこれは、バーボンくんではありませんか?まさか、本当にこのような大物が釣れるとは思っていませんでしたが………アドニスさん感謝しますよ?この裏切り者達を引き渡せばこれで一気に私も幹部昇進というわけですから!」
バーボンは目をカッと大きく見開き頭に血が上り高らかに笑う男に向かって、己の憤怒の拳が飛び出そうになった、その時
『--っ…そんな、こ…と…させ、ないっ!!』
「(ハッ!)…アドニス!!!」
血だらけの体で呼吸はヒューヒューと苦しそうに吹いているのに、それなのにまるで盾になるように両腕を広げ俺を護ろうとする小鈴に、俺は彼女の腕を掴んで引こうとしたがその位置は譲らないとばかりに頑なに彼女の体は動かなかった
『ヒュッ、ヒューッッ………ごめん、なさいっ………私のせいで、貴方の仮面を外させて………しまった。ハァッハァッ………で…も、大丈夫。その仮面に隠された素顔を知る者は…もう、いないから?』
「な、……なにを、言って……!!?、よせ!!小鈴---!!?」
嬉しそうな、悲しそうな……そんな2つの表情が混じりあっているようでそうではない顔を俺に向けた瞬間!小鈴はあの男に向かって体当たりをし、その衝撃で鉄骨階段に取り付けられていた手摺がバキッ!と折れ、男の悲鳴と共に小鈴は…………
落ちて………………
パシッ!!
「いかせる、…わけ………ないだろう!!」
『(ハッ!!?)あっ、……れ……零!!』
「なに、勝手にっ………そんな男と一緒に………っ、心中自殺なんてさせると思うのか!!いや…、お前を死なせるわけないだろう。」
『!!、……--っ、馬鹿………誰があんな男と死にたいと?……どうせ、死ぬなら………零の腕の中で………』
「……………、馬鹿はお前だろ?」
奈落の底に落ちそうになった私の体は、グイッと引き上げられ……大好きな彼の胸の中に閉じ込められていた
そっと見上げると、自分の唇に柔らかな感触を感じた………鉄の味が広がるキスで、間近で見つめていた今の彼の素顔は
バーボンでも安室透でもない、本来の彼………私の恋人の時である降谷零の顔であった
"剥がれた仮面の素顔"
(怪我が完治するまで大人しくしているんだぞ?)
(………じゃあ、私が寝つくまで、側にいて?)
(!、…フッ、本当に困った恋人だ?……………安心して眠れ、………。)
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