悲しみを乗り越えた愛
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パアッン!!
「いい加減にしろ!!」
医務室で治療を受けて新米君に付き添われながら出ると私達の目の前に立ちはだかる赤井捜査官は、いつもと違う憤(いきどお)ろしさに、怯えを感じながらも私は冷淡な言動で"何?"と尋ね、毎度の事に説教される言葉を待ち構えていると赤井の影がかかり俯いていた顔をあげると手加減など感じられない痛みが頬にジンジンと広がっていく
「赤井チーフ!何をするのですか!?莉愛さんは僕を………」
「お前は黙っていろ……」
赤井に叩かれたんだと瞬時に理解し、私は間違った事はしていないのに……と奥歯を噛み締め赤井を睨み付けた
「--ッッ、これで何度目だ!そんなことを繰り返せば、いずれ命を落とすぞ!?」
莉愛は幾度も任務中に新米が起こした失態を助けるたびに、こうして怪我が絶え間なく続いていた
そのたびに赤井に怒鳴られるのだが、今回で赤井も我慢の限界に達して莉愛の頬を叩いてしまう
『新米を守って何が悪いのよ!いいじゃない助かったんだから!!私も大丈夫なんだから!!私は、あの時の……マリアと同じ惨劇を繰り返さないためにしてるんだから!!赤井も思ってるんでしょ、何故彼女を守られなかったって、何故マリアじゃなくて私が助かったんだって!私を憎んでいるんでしょ………だって赤井はマリアのことを愛してたんだから!!』
憤怒した莉愛の口から出た思いがけない言葉に赤井は目を洗われる思いをうけた
憤怒から悲壮な表情に変わった莉愛は怪我を庇わず走り去る
「!!?、…莉愛、何を言っている…」
* * *
2年前、 私と赤井の元に金髪の可愛らしい新米女性マリアが私達の班に入ってきた
彼女はFBIには不釣合いな存在であったけど言われた職務を成就してくれて周りの捜査官達のアイドル的な感じの優しい人柄で
赤井も私もそんな彼女を好いていてよく、3人で飲みに行ったりした後輩ちゃん
いつも赤井を挟んで廊下を歩く時とか話をする時や昼食を取るときの2人の姿を眺めている私は気づく
ああ……お似合いの二人ね、
赤井とマリアの表情から読み取れるお互いに"好き"という気持ち
結して片想いが両想いの心には勝てない
ねぇ、赤井?……私ね?………貴方の事が好きだったのよ?
マリアが現れる前からずっとずっと、ずっーと前からよ……
でも今の関係が心地よくて、まだこのままでいいと……でも本当は、もし赤井にこの気持ちを伝え関係が崩れるのを恐れたのが原因
そんな折りに起きたマリアの惨劇
任務で私とマリアが共に行動していた時にターゲットが雇ったスナイパーが私達目掛けて弾丸を撃って来る前に自分は気が付きマリアを突き放そうと背中を押そうとした
だが私よりも先にマリアがスナイパーの存在に気づいたようで、私を守るように盾になり背中越しから左胸を弾丸が貫き血を吹き出し倒れ込む彼女を受け止める
『マリア!!マリアしっかりして!!マリ……!!?………あ、』
彼女は即死していた
どうして私が盾にならなかった……私なら防弾ジャケットを着ているんだから守れたはずなのに!
『ううっ……あああぁぁああああ!!!』
だから私には赤井に今更、恋心を告げることは出来ないし
これからも新米の盾になる存在でいる
たとえそれで命を落とそうと構わない
『は?……今回の任務に私は参加出来ないってなんでですか!怪我はもう完治してます!!』
「悪いが赤井君からもあって、君の行動は命を落としかねない危険きまわりない所業だ。だから今回と次からの任務も莉愛捜査官を参加させないことにした」
『!!?、そんな……嫌です!!お願いです捜査に加わせて「なら、これからはあんな真似は2度としないと誓えるか莉愛」!………赤井。………わかったわ、もうしないから参加させて。』
「ジェイムズ、すまないが莉愛は俺と行動させるから今回の任務は参加させてくれないか?」
「うむ……赤井君、頼む」
「了解………いくぞ莉愛」
『……………』
捜査場所に着くまで赤井と莉愛はお互い沈黙したまま
到着した場所は昔から放置された研究所
実はこの場所で犯罪者が取引をする際に利用されている可能性があるため視察に来た
中に入ると部屋が複数あり
『手分けして調べた方がよさそうね……私はこっち側を見るからあっちをお願いね。』
「待って!」
赤井に腕を掴まれ止められ莉愛は振り向かずに、何?となんだかいつもと違う声色で聞いてきた
「1人で行動するな。ターゲットがいたらどうする!俺と共に……『---ッッッ、嫌よ!!!!』おい!?」
突然、赤井との距離をとり感情を取り乱した莉愛
赤井はターゲットがいるかも知れないのに大声をあげた莉愛に困惑と驚愕が隠せないでいると彼女が抱えていた想いが爆発した!
『好きだった彼女を殺した私なんかと一緒に居たくないでしょ!』
「彼女を殺したのは莉愛じゃないだろう!!」
『いいえ、マリアを死なせたのは私よ!憎いでしょ!!愛していた彼女が死に、想いを伝えられなくて後悔しているんでしょ!!』
「俺がいつお前を憎んだ!それに俺の気持ちもマリアの気持ちも勝手に決めつけるな!!」
赤井もいつの間にか声を荒げ莉愛の思い込みに怒りが込み上げて
『分かるわよ!!ずっと2人を見てきたんだから!!私が盾になるべきだったのに、そうしたらマリアは助かった!私がマリアが抱いていた思いを奪ったの!!そんな私が赤井の側に居てはいけない!あの想いを告げてはダメ!!あの悲劇を繰り返したくない!!もうっ……限界なのよぅ』
「!!?………莉愛、お前……」
吐き出された言葉から赤井は莉愛の心情を知る
泣き崩れそうになる彼女に近づこうとした赤井だったが突然、莉愛が俺の名前を叫び俺の方へ目掛けて走り寄ってきたことに目を見開き、そして気が付く
『秀一!!!』
「莉愛!?……、ッ!!?」
俺の背後から感じた気配
振り向くと犯罪リストに載っていた男が俺に向かってパイプを振り上げて落とそうと迫っていた
そのパイプの先には赤く灯火を帯びていて、熱を持っていることに咄嗟に理解したが、俺は慌てることなく拳銃を盾にして奴からの攻撃を受け止めた後、蹴りを食らわせようとした!
だが、莉愛に阻まれてしまう
膝裏を蹴られ論理的必然に前に膝をついた後に聞こえた鼓膜を突き刺すような悲鳴とジューッと肉が焼ける音と焦げ臭いにおいに身を切るようなものが心身を駆け巡った
『イヤああアぁああ-------!!!』
「ッッッ--、莉愛--ッ!!!」
倒れ込む彼女を受け止め、気を失った莉愛の腕には酷い火傷を負っていて早く処置をしなくてはならない!
あの男は既に逃げ出したが今は奴のことより、莉愛を病院へ連れていかなくては!!
彼女を抱え車に乗せて莉愛が飲んでいたミネラルウォーターを腕の火傷にかけて急いで病院へ急ぐ
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『………っ………んんっ……、………??…ここは、』
窓から差し掛かる太陽が眩しくて腕を目元に持っていった時に自分の腕に巻かれた包帯に気が付き、全てを思い出す
莉愛はシュルシュルと包帯を外していくと大きな火傷が残った腕を見詰める
『っ……良かった……』
「………何が良かったんだ?」
!!?…………
病室に入室してきた赤井がベッドに寝ている私に向かって凍てつくような声色で言い放つ
『………だって、マリアの愛する人を守れたんだから………それに、……こんな傷を負った女性なら、誰からも私を貰ってくれる人なんか居なくなるでしょ?だから良かったの。もっと…もっと、もっと……--ッッ、私なんか傷付けば、ンンッ!!?…ハッァ…あ、赤井!…!?んんっ--!!?』
突然!両腕をベッドに押し付けられ抵抗する私に深く角度を変えながら激しく咥内を赤井に犯され驚きのあまり抵抗が停止して、漸く離れた口付け
お互いの視線が間近で交じり合い赤井が口を開く
「よく聞け莉愛。マリアは俺のことを兄として好きだと言ってたんだ?」
『……えっ?……あ…に…?』
「そうだ、お前は勘違いしている。それに俺はマリアを好いていたが、昔から愛しているのは………莉愛、お前だ。」
『!?!……うそ、』
赤井の言っていることが信じられなくて、困惑を見せる莉愛
「嘘じゃない。お前は言ったな?傷を負った自分などを誰も貰い受けて貰えないと?それは違う。愛してる女がどんな傷跡を残そうと俺はお前を貰い受ける。もう自分を責めるな、己を許せ、マリアの方が気づいていたぞ?俺が莉愛を好きなこと莉愛が俺を好きであることを………」
『!!?……っ、マリア………ううっ、うわあああぁぁ--!!』
呪縛から解き放たれ泣き崩れた莉愛を赤井は泣き止むまで抱き締め泣きつかれて眠った彼女の額にキスを落としてこの病院を去り、翌日に勤務した莉愛から告白され俺達の片想いが両想いへと傾いたのだった
"悲しみを乗り越えた愛"
(秀一…、これっ!?)
(フッ……ずっと前から買ってた婚約指輪だが?マリアとお前に似合うのを選んだものだ)
(!?………、マリア…ありがと。)