不幸が好運に導く瞬間
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それから一週間経ったある日、一本の電話がかかってきた。
プルル
プルル
ガチャ
『はい。もしもし、皐月どうしたの?』
仕事友達の皐月から連絡があり電話してきた内容を聞く。
「加奈の家って、全焼して今、仮住まいさせてもらっているんだったわよね?」
『?…うん、そうだけど。』
仮住まいの家に1人の男性と同棲生活をしていることは伏せている。
「とってもいいマンションがあってね♪部屋は結構広くていい感じの空間で家賃も安いし、いい所を見つけたんだけど…良かったらそこで暮らせば?いつまでもその家に仮住まいも出来ないし。いつ家主が帰ってくるかも分からないし…どう?」
友達の心遣いに加奈は嬉しかった。
それと同時に都合がいいかもしれないと思った。
昴さんのことは諦めているのに、あのまま暮らしていればもっと彼を好きになってしまうかもしれないから
『うん。私…そのマンションで暮らすよ!教えてくれてありがとう!皐月。』
お礼の言葉をいい通話を切った。
『…(これで…良かったんだ…)』
今ままで昴さんと過ごしてきた生活を思い出していた。
『─ッ(本当に…夢みたい…また幸せから不幸に転落かぁ~。いや…始めから不幸から不幸の瞬間だったのかもしれないわね。)』
こんな幸せを味合わせたあと不運を運んでくる悪魔が取りついているのかな?
連絡から3日後、今いる部屋は自分の寝室部屋にしている場所で、自分の私物を旅行バックに詰めて出て行く準備をしていた加奈。
新しい住まいが決まって明日でていくことをまだ沖矢に言っていなかった。
『ふぅ~、あとは…出ていくだけか…』
加奈はちょっと疲れて喉が乾いたのでキッチン場に向かった。
───────
──翌日
今日は5時過ぎに起床した。
音をたてないよう出て行く支度をする。
昴さんには何も言わず黙って出て行くことにしていた。
勿論、黙って出ていったら大変だから手紙をリビングのテーブルに置いて昴さんに伝える。
沢山の荷物を手に玄関で立ち止まっていた加奈
玄関から家の中を見渡すとたくさんの思い出が蘇って心が揺らぐ。
ダメダメ
もう決めたじゃない
このまま昴さんと生活していれば思いは募るばかり
昴さんにはきっと綺麗な彼女さんがいるに違いない。
このまま同棲生活を続けていれば昴さんの彼女さんが気づき 2人の関係を壊してしまう。
そんな事が起こればもう昴さんと一生会うことなんて出来ないよ。
『…ありがとう昴さん。とっても楽しかったです。』
小さな声で昴さんに感謝の言葉を告げ家を出ようとしたが
「…どこに、行くんですか?そんな荷物を持ち出して…まるで出て行くようだ。」
『!!!?』
ドアのぶに手をかけた瞬間、昴さんが背後に現れ話しかけられた。
加奈はゆっくりと振り返り、なんでこんな早く起きたのかという表情だった
「昨日、加奈さんの部屋を訪ねた時に見たんですよ。荷物を纏めている貴女の姿を。何も言わず出て行くつもりだと分かったので、今日の朝早く出て行くと推測し私も早く起床したまでですよ。」
やっぱり凄いなぁ~
猫じゃらしで持て遊ばれている猫のような自分を感じた。
『ごめんなさい。友達の紹介でいいマンションが見つかってそこに住むことを決めたんです。』
「何故何も言わず出ていくんですか?貴女に迷惑をかけましたか?」
『そんなことないです!むしろ感謝しています。両親に祖父母も親しい人達も居なくて頼ることも出来ない日々だったのが、昴さんと出会ってガラリと変わりました!あんなにも楽しい生活が過ごせたこと一生忘れられない思い出です。だけどこのまま昴さんと過ごしていれば貴方に迷惑をかけます。』
その言葉に慌てて答える。
「迷惑?私は一度もそんなこと思ったことはありません…」
『…彼女さんに誤解されちゃいますし、関係を壊したくないです。』
「?…彼女?」
彼女さんいるんでしょっと弱々しく聞くと
「…フッ…彼女は居ませんよ。そのことで出て行こうとしたんですか?」
昴さんの顔を見ると呆れたような表情で伝えてきた。
しかし驚いたのは彼女がいないことだ。
女性の皆さ~ん!
何をやっているのですか!?
こんなに優しく世話好きで頭がよくカッコ良くて頼りになるこの人にアプローチしないなんて、どうなっているんですか!?
いや…私も言えたことじゃあないが
『…でも、やっぱり出て行きます。…』
彼女さんが居なくても私と付き合えるわけでもないし、彼に思いが募るばかりで胸が苦しいだけ
早くこの場を去ろうと私は扉に手をかけようとしたのだが
バッ
えっ!?
急に暖かい温もりが 纏い伝わって頭が真っ白になった。
私…昴さんに抱きしめられてる?
『─ッす、昴…さん……ぁ、あの…//』
「出て行かない方法があるのですが?…加奈さん…私の彼女になってくれませんか?」
『…ぇッ!?』
「好きなんです。いつも無邪気な貴女を見ていると、加奈さんを愛おしく感じていたんです。いつの間にか貴女との生活が当たり前のように思ってこのままずっと居られるような。だけどいつかこの生活も終わりを遂げてしまう。」
加奈は黙って抱きしめられたまま耳を傾ける
「そこで考えたんです。なら…加奈さんを私の恋人にすればいいのだとね!」
『!!?』
体を回され昴さんと向き合う体制になる
「加奈さん好きです。私の彼女になってはくれませんか?それからずっと私の傍で暮らして下さい…」
『─ッわ…わたしも好き…昴さんと片時も離れたくないです。///』
少し涙が流れた雫を昴さんの長い指がすくった後、しばらく加奈さんを愛おしそうに見つめて私の唇に口付けをした。
真っ赤になった加奈を見てふっと笑い手に持っていた荷物を奪いもう片方の手は加奈の手を握り締めた。
それは恋人繋ぎだった
お互い不幸な出来事が起こり鉢合わせた場所だけど…あの男の子に逢わなければ
出会えなかったのも
事実。
天使に見えた眼鏡の男の子は赤い糸を結ぶ恋のキューピット
不幸から幸運へ
幸運から好運へ
素敵な男性との巡り合わせ。
不幸から好運へ
恋心と恋人をつかんだ瞬間だった