始まりのホットミルク
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まだ、肌寒い季節の日本で
ずっと伸ばしてきた長髪をバッサリ切ったせいか、首後ろが冷たく寒い
事務的作業を終えて休息の時間に近くにある自販機で買うホットコーヒーを購入するために外に出掛けた
チャリン…
小銭を入れて真ん中の列にあるホット缶珈琲のボタンを押そうとした人差し指は
トンッ…!……ガコンッ
私の後ろを横切った通行人の腕が当たり、押そうとした指は隣のホットミルクを取り出し入り口から出した
「………」
パッケージ柄から伝わるとても甘そうな飲み物のホットミルクにため息を吹く
自分は飲まない、だからと言って捨てるのもあれなので同僚のジョディにやることにしてもう一度お金を支払い缶珈琲を購入することにした時、横から手が伸びた
『あの……、良かったらそのホットミルク私にくれませんか?私が代わりに貴方が買おうとした飲み物を支払いますから』
「……ああ、いいのか?」
『はい!私はそのホットミルクを買おうとしてたので。』
どうやら間違えて買ってしまった自分の光景をみていたみたいだ。
思いもよらない救いの手に親切な彼女の心遣いに甘え缶珈琲を買ってもらった
ピッ……ガコン…
『はい!缶珈琲。ブラックが好きなんですね?』
「甘いのは苦手でな。」
『あはは、男の人ってなんで甘い物が苦手になってくるんでしょうか?不思議です!あっ、私そろそろいかなきゃ!?』
律儀に頭を下げて急いで去っていく彼女の名前ぐらい知りたくなり声をかけたが彼女は人込みの中へと姿を消した
「また、この時間に来れば会えるか……」
そのとき名前を聞けばいいかと決めて仕事場に帰る
この日の缶珈琲が美味しく感じた
渡された時に見せた彼女の何気ない微笑みが、何故だか忘れられない……
*
*
*
「ジョディ……」
「ん?なに、シュウ?………………、また間違えたって言うの?」
「………ああ、間違えた」
ここ1週間、自分は無意識なんだろうか?ホットミルクを買ってしまう
それに彼女ともあの一回だけの出会い
買ってしまったホットミルクはジョディにあげている始末
(なにやってるんだ、俺は…)
こんなことを毎日やってしまえば自販機に補給されている飲み物は売り切れはする
その次の日には補充されているだろうと今日は珈琲だけ買い戻った
だが、そこには違う商品に取り替えられていた
「……(ハッ)」
まるで、ピリオドが打たれたかのようだ
彼女にとって俺は、ただすれ違う通行人のような人間で記憶に残らない存在なんだと深く思った
だが、俺にとって彼女は、心の底に根付く存在である……忘れなくてもいいんじゃないか?
(また、何処かで出会うだろう。その時は必ず名前の他に君のことを知りたいもんだ。)
これは恋ではない、ただ…もう一度会いたい
そんな気持ちなだけなんだ
そう、それだけの…………
『あれ?あの時のニット帽のお兄さんではありませんか!お久しぶりです!………ん?また間違えたんですか?仕方がないですね…それ私に下さいませんか?私が代わりに貴方が買おうとした飲み物を支払いますから ^^』
嗚呼、やっぱり私は彼女に恋心が向いていたようだ………
(始まりはホットミルクからの出来事) end…