黒の組織珈琲店へいらっしゃいませ!
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初めてこの店を招待された次の日から立ち寄るようになる俺
必ず1日一回は通うようになりマスターの加奈とたわいない話をしている
最初から彼女の淹れる珈琲の虜になってしまった自分は彼女の珈琲が手放せなくなってしまった
『ライって毎日私のお店に通ってるけど仕事が暇なのかしら?貴方だけよ…毎日来店してくれるの。』
「マスターの淹れる珈琲しか飲めなくなってしまってな。……所為がないだろ?」
『な~に?私のせいですか?』
彼女はクスクスと笑いながらお湯を注ぐ
その隠された目が笑みを見せる場面は一体どのような素顔なのか毎回気になっていた
「……見渡せる瞳は得ているが、己が幕を閉じる…君が隠しているその目の理由を聞いた時言ったこの言葉。…こういった理由を尋ねるのは、失礼な事だが日が経つにつれてききたくなったんだ。」
『…そして今日、口を開いてしまったという訳かしら?………』
カチャン
苦味の飲み物が入ったマグカップをテーブルに出されると数秒間の沈黙のあとに彼女は口を開いた
『むかーしむかし…』
昔々ある日のこと
女の子が生まれました
その女の子の両親は日本人
だが女の子の瞳の色がブルーなために夫婦仲に亀裂が入った
周りからも煙たがられ私の存在を否定
そんなに意味嫌われな私を目に映したくないのなら私だってみたくもない
その日から光を閉ざした
ずっと暗闇の中にいたため、もう自分に光等なくとも、生きていけるようになってしまったからこの包帯を外す手を止めた
「…」
『私に光はもう…必要ないのよ……』
真っ暗闇を受け入れた彼女に光が灯ることは二度とないのだろうか?
そんなの悲し過ぎるじゃないか?
あの隠された笑みの目は宝石が輝きのごとく綺麗に輝いているであろうなのに誰にもさらすことなく 人生が終わりを告げるまで見せないつもりなのだろう
そんなことさせたく無かった
「なら、あんたにその闇を見せる包帯を外す切っ掛けを作ればいいわけだ。」
『え?!』
ライの言葉に加奈は驚きの声をあげた
何故そこまで彼女を気にするようになったのだろう?
…自分もよく分からないが、きっと見てみたいのだろう?彼女の素顔(えがお)を……
新しい幹部として来たライという男性は私の中で光を見せようとしていた者の現れだった
毎日必ず来店してくる彼とのたわいない会話で私の珈琲をいつも美味しいと囁いてくれるあの低い声色
最初の方は何とも思わなかったのにいつの間にか彼の声色が心地よくてだんだんとそれ以上に彼の事が知りたくなって私の手が目元に伸ばされそうになる
しかし、暗示がかかったように外せなかった
だって外してしまったら今まで自分がなしてきたことは、何だったのかと思い悩む
誓ったのだ
誰にもこの瞳を見せることをしないと
なのにライ…
貴方が現れてから
私の決意が揺るぐ
貴方の素顔(えがお)が見たくて…
────────
『え……移転しろですって?…』
「そうだ…新しい店はすでに用意してある。今すぐにだ…」
ジンが突然来店してきたと思ったら急に訳のわからないことを言われた
『ちょっと待って!その理由は!?』
「ライが裏切り者だからだ。奴はFBIだった。加奈…お前は我々の一員だが、そこまで関与していないため、奴らはお前を保護するつもりだろうよ……ライと親しい中になったお前と接触する可能性は高い。言っておくが、赤井秀一と接触しようとするなよ。その時点で加奈…貴様は裏切り者だ。」
『赤井秀一?…それがライの本名なのね。』
「ああ…FBI捜査官赤井秀一。奴らの切り札らしいが、銀の弾一発では我々を潰すことなど出来はしないがな。」
ジンが店を出ていったあと
『…赤井…秀一。それがライの本当の名。』
1つ2つと彼の事を知ることが出来たら私の中で何かが動きだそうとしていた
新しいお店に移転しライともパタリと会うことも無くなってから、私の心にぽっかりと穴があいたような感じで
とうとうある日、その衝動を押さえきれなくて加奈はあのお店に行ってしまった
古びていった家具と埃がつもっているであろうお店に加奈はまずテーブルと椅子の埃をとる
珈琲を作るための道具を洗浄すると、彼が好きだった珈琲豆を碾き臼で粉にしお湯を沸く
その2つをマグカップに注ぐといつも彼の特等席のテーブルに置いた
そして
シュルリ…
私は包帯を外したのだ
ずっと真っ暗闇の目に光はあわなくて瞼を閉じたが少しずつゆっくりと幕をあげた
小さな頃にみた世界を懐かしむように見渡す
『ほんと懐かしい世界。…ここにいつもライが座り私の顔を見ながら飲んでいたのかしら?』
前にいたライの姿
確かにいた彼の気配を思いだそうとするが、ひとかけらも出てこない
一体どんな人だったのだろう?
今、この瞳で見ているのに彼が見えない
もう彼を感じることは出来ない悔しさ悲しみに私の瞳から一滴の雫が落ちた
すると
コツン…コツン…
『!!?』
もう来店する人など来ないこの店に入ってくる足音は前までいつも耳にしていた音だった
そう彼を感じたがっていた物の1つでもある
俯いていた顔をそっとあげると何十年も目にすることなどなかった人の顔
その顔は
「…加奈」
『─っ!!!、ら…ライ…』
涙を流した顔を彼に見せることになるとは思いもしなかった
「まさか君の悲しむ素顔を見ることになるとはな…泣くな加奈。俺は君の笑う笑顔が見たかったんだからな。」
見たかった彼の顔は黒いニット帽をかぶり長い黒髪は綺麗で その眼差しは鋭くも彼が私を見る瞳は優しくて私の心はドキンドキンと胸を高鳴らせた
「加奈…もう知っての通り俺はFBI捜査官赤井秀一と言う。君をずっと探していた……今ここで俺と接触したことで君の命が危うい。だから俺のそばにいて欲しい。加奈お前を守りたい…」
その返事に加奈は
『嫌よ…』
「─っ!?加奈……」
『ただ保護してくれるのは嫌。私をFBIの一員にして欲しいの!』
「!!?」
『私をFBI専用珈琲店のマスターとして入れて欲しいのよ?いつも貴方に珈琲を淹れたいがために…そして、らっ…秀一に笑顔を見せたいから!』
やっと目にしたかった加奈の笑顔がようやく見れた
それから俺は彼女のことが好きだったんだってことに気づかされたのだ
「…加奈お前のことが好きだ。」
『!?──私もです///』
また彼女は笑顔を見せた
瞳は蒼い宝石サファイアが輝く美しさ
──────
カランコロン
あっ、いらっしゃいませ♪
ここは黒の組織専用珈琲店ですが今はFBI専用珈琲店であります!
FBIの方ですか?……でしたら椅子にお掛け下さいませ。
最高の珈琲をお持ちしますね!
end