太閤恋する七冠王
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
秀吉と温泉旅行に行くことが決まり、その日が近づくたびに私は楽しみが溢れてきて眠れなかったことを繰り返した
あ……このこと秀吉には内緒ね?
私は遠足が待ち遠しくワクワクしている小学生か!?
なんて、内心で自分で自分を突っ込みを入れた
「?……加奈タン眠たいの?」
『えっ!?そ、そんなことないよ!?』
加奈は新幹線の中で首をカクン…カクン…と揺りカゴのように揺れてしまっていたら隣に座っている秀吉に尋ねられてしまい、その問いの否定と一緒に目を覚まさせるために首を振った
『ねぇ、秀吉?温泉旅行先なんだけど、なんで京都にしたの?』
「え?…えっと………、京都はイヤだったのかい?」
『違うわよ?秀吉が京都にした理由はなんなんだろうと思って?確かに京都はたくさん巡れる観光スポットがあるけど、素敵な温泉旅館が多数ある中でどうして今私達が行く温泉旅館に決めたのって思っただけよ?もしかして秀吉が行きたい場所が京都にあるから?』
「あぁ…、その通りでもあるかな?」
紙カップに入っていた珈琲を飲みながら、彼はお茶を濁すように詳しくは教えてくれなかった
「まぁ、楽しみにしててよ♪」
【14:30~】
その後、特急で京都に着きタクシーで彼が予約している温泉旅館に私達は到着すると私はその旅館の館内に歓声の声をあげた
『私がイメージしてた館内とかけ離れてるよ秀吉さん!?ここはどこぞの豪華客船の中なの!!』
光輝く空間、明るく広いロビーラウンジ、天井は遥か遠くへと伸びている
温泉旅館って私の屋敷みたいな伝統と歴史のある和風旅館であると濃く認知していた
けど、ここは先程言ったようにどこかの豪華客船の中か豪華ホテルのようである
「加奈さん館内は後でゆっくり見て廻ろう?まず受付に行って部屋の予約がちゃんと取れているか確認しないと?たまに手違いで取れていないケースもあるから。」
『ええっ!?』
もしそうならどうするの!と心取り乱しながら受付で確認すれば、大丈夫だった
「羽田様と三浦様のお二方は本館10階の"白夜"223号室になります。」
「どうも…じゃあ行こうか加奈さん!」
『うん!所でどんなお部屋にしたの?』
歩きながら今から向かっている私達が寛ぐ内装について聞くと
「加奈さんは話の展開を先に知りたがるタイプなんだね?内装はこれから見にいくんだから、楽しみにしててよ!それから貸切りにした露天風呂を予約してて、そこならいつでも入れるようにしておいたよ?」
『そんなことまでしてくれたの?嬉しい!ありがとう秀吉////』
加奈は秀吉の腕に絡みついて、背の高い彼を見上げて嬉しさが溢れている彼女の笑顔に秀吉は顔を紅くした後は加奈と同じ満面の微笑みを浮かべていた
その二人の後ろ姿を見詰め嫌悪感で唇を噛み締めていた人物に気付かずに…………
* * * *
『!!?、わあぁっ、ステキな部屋ー!ん?……なにこの寝室!なんでお姫様ベッドがあるの!?』
中に入ると和の風情あふれるスタンダードの一般客室
川を一望できる落ち着いた空間でゆったりとした時間が過ごせそう
微笑み声が漏れている秀吉さんを横ぎり寝室に向かうと洋室空間の部屋に天蓋付きキングサイズベッドがそこにあったの!?
私がこの部屋をお客様に紹介するために語るとするならば
『女性の憧れ天蓋付きキングサイズベッドでお姫様気分を満喫しよう。優しい彼は、王子様でしょうか?2人だけの小さなお城で、とっておきの時間を過ごそうかな?……なんてね?』
「気に入ってもらえましたか?加奈さんは和室も好きだけど洋室に憧れているとよく言ってましたから、和風と洋風を取り入れたこの部屋にしたのですが…わぁっ!?『ありがとう秀吉♪きっと…うんん、絶対素敵な温泉旅行になるね!』そうですね////」
彼女のことをなにより考えて選んだ部屋に加奈は愛情を深く感じてその気持ちを押さえずにありのまま表し秀吉に抱き付いた
「////…あの加奈さん、この旅館って浴衣を貸してくれていてそれを着て過ごすのがこの旅館の醍醐味なんですよ?」
秀吉はなんとか理性を保ち密着している彼女を引き離してこの旅館の過ごし方を話す
『そうなの?それじゃあ着替えようかな?あっ、あそこに置いてあるよ?どれがいいかな?…!…秀吉さんには鶯色のこの浴衣がいいんじゃないの?』
「!…でしたら加奈タンにはこの淡い桃色の浴衣はどうでしょうか?」
恋人の似合う色を選択して選ぶ行動は二人にとって小さな記憶の思い出となっているでしょう
二人はそれぞれの場所で着替え終えると館内を見て廻ることにした
【15:00~】
数々のレストラン、バー、アロマルーム、エステサロン、お土産屋、最上階に天体ドーム等があるみたいで、一日で全部見て廻ろうとするのは無理みたい
秀吉と加奈は1階に降りてロビーラウンジで抹茶のおもてなしを頂いて眼前に広がる手入れされた庭園と滝を眺めながら良い大人のムードの雰囲気に包まれていた
ふだん家では部屋着になっているジャージ姿と無精髭が無くなった秀吉に加奈は"うん、やっぱりこっちの方が格好いいなぁ~"と今まで思っていたことを内心で呟いていると私達と同じで温泉旅館に着ている周りの女性達が秀吉をチラリと見たりしていることに気がついて嫌そうな顔をする
「どうしたの?抹茶美味しくなかったのかい?」
どうやら嫌そうな顔が苦そうな顔に見えたのか秀吉がそう言ったことに
『(ボソッ)秀吉さんって周りの女性の視線に気付かないんだね?「え?なんて言ったの?……周り?……あれ?栞(しおり)さんじゃないか♪」え?…』
ぐるりと見渡した秀吉がある一点を見詰めていたら女性の名を囁いて手を振った
加奈は首を横に動かして見ると
「秀吉君!こんな所で会うなんてね?これって運命を感じるのよね♪」
「アハハッ、そうかな?栞さん一人?」
「温泉好きだからね!……あら?そちらは?」
「高校時代に話したよね?電車の中で出会って、それからまた出会った時にお付き合いすることになったって言った女性だよ!加奈さんこちら高校で同級生だった和田栞さん。」
『あっ……初めまして秀吉さんとお付き合いしてます三浦加奈と申します』
秀吉さんの同級生と言う女性に自己紹介すると栞さんはとても驚いた顔をした…何故?
「方苦しい挨拶ね?秀吉君、貴方まだこの女性と結婚してなかったの?高校生の時からの付き合いなら、………えっ!?もう10年は経ってるよね??」
「!…ええ、まあ、(ボソッ)加奈さんとはその内……けどまだ僕には」
「ふ~うん…………、そうなんだ♪」
『?……-ッ!?』
その時、栞さんがにんまりと私を見て、秀吉を挟んで蔑む微笑みをしてきた
ゾクリと虫が背中に走ったような感覚を感じた…なんだが不安が募る
それはすぐに舞い降りた
栞さんは秀吉さんに部屋はどこなの?と訪ねてきて、それから知り得た栞さんも私達と同じ本館10階の部屋だった
「ねぇ?二人はこれからどうするの?」
「僕達はこれから京都洛の東、清水寺に行くんだ『もしかして京都にしたのは清水寺に行きたかったからなの?』………ああ、栞さんはどこに観光するんだい?」
「凄い偶然ね?私も清水寺に行く予定だったのよ?そうだ秀吉君、私も一緒に観光巡りに廻ってもよろしいかしら!」
栞さんはどこに行くのか?と訪ねた秀吉に加奈は"馬鹿…なんで聞くのよ"と悪態をついていた
あの彼女の微笑みから感じとった感情
薔薇の棘のような視線を差してきたことから加奈は栞さんは秀吉さんが好きなんだと理解してしまった
この温泉旅行は二人だけの特別なものになるはずだったのに、同級生の偶然の再会と彼女が私に対する嫌悪感を向けていることに私の心は潰されそうだと言うのに秀吉さんは、そんなに同級生のこの女性に会えて余程嬉しいのか?ニコニコとしていている態度に私は彼に誹謗を口走りそうで怖かった
これが嫉妬なんだね……
私の気持ちなど全く知らず秀吉さんは栞さんも一緒でいいかな?と聞いてきたことに、しゃくにさわっているのを隠して、ただただ頷いた
こんな醜い感情……秀吉に知られたくない
【15:45~】
私達3人で銀閣寺、南禅寺、平安神宮、知恩院などがある有名社寺が点在する中で京都随一の観光スポットエリアと言える清水寺にはバスで向かっている車内で秀吉さんと話をしていても彼女に話を遮られ私が知らない高校時代等を語り合い、秀吉さんはそれに乗っかっている
私は二人の話の雰囲気に入れそうになかった…早く目的地に着いてほしい気持ちの中で窓側に座る私はただ景色を眺めているだけだった
たまに耳を傾けて二人の高校時代の話の中で分かったこと
『(1、2生の頃は移動教室とか文化祭のイベントで話し合う仲になり高校3年目で二人は同じクラスになり親しくなったんだ……確か私と秀吉さんが出会ったのも高3だったよね?なら栞さんはずっと秀吉さんに片想いをしてて告白する機会を伺っていたその頃に私が現れたなら……あの視線も私と秀吉の話し合いを邪魔しるのが頷けるわ。けど、私は秀吉さんが好き……だから)』
ギュッ…!
『秀吉さん、やっぱり観光巡りは私と二人で行ってくれないかな?栞さんには悪いけど私、秀吉と遠出旅行ってこれが初めてだから、責めて観光巡りは私と秀吉で見て廻りたいの?駄目かな?』
「加奈タン……栞さんごめん。僕、彼女の想いに答えたいし大切にしたから、この観光巡りは二人きりにして欲しいのだけど…」
「……そ、そうね?ごめんなさい恋人なら誰だって二人きりで過ごしたいわよね。私のことは気にしないで清水寺以外の所にも行く予定だったから?」
その後、バスは到着して降りれば栞さんはまた旅館で会おうね?と笑顔でブンブンと手を振って駆け出す彼女の背中で、私は先程の嫉妬心は波のように引いていく……彼女は秀吉にきちんとその密かに抱えていた恋心を伝えていない
「加奈タン、どこから行こうか♪」
『(ニコッ)できるならたくさん廻ろう!』
差し出された手を私は躊躇いなく繋いだ
確かに彼女の方が彼との出会いが恋心が一番だったでしょう、もし私が秀吉さんと出会う前に付き合う前に貴女が告白していたのなら秀吉さんはきっと貴女を選んでいたでしょうね?
けど、私の過去と現在に彼がいる今、秀吉さんは私の大切な恋人、手放したくない愛しい人
もちろん未来でも私の側に彼はいるよね?
加奈と秀吉はパンフレットを頼りに清水寺の境内施設を全て見て廻った
ぐるりと一周すれば善光寺堂、馬駐、仁王門、鐘楼、随求堂と26つもある境内施設をなんとか観光できたけど、流石に疲れちゃった
清水の舞台の広い本堂には、数多くの仏像、凝った意匠の建具や、所狭しと懸けられた絵馬に私達も絵馬に文字を書き込み懸けたりした、歴史と信仰の深さが伝わる場所で私達は入口左側にある重さ90キログラム以上の大錫杖と14キログラムの小錫杖、12キログラムの高下駄を力試しとして挑戦できるそれに持ち上げてみたりもした
小錫杖なら女性でも持ち上げられますがとパンフレットに書いてあったが私には全く持ち上げられなかった
秀吉は小錫杖と高下駄はなんなく手に出来たが、大錫杖は無理でした
それから音羽の滝
音羽の滝は延命水、黄金水とも呼ばれる3筋の清水が流れ落ちているのだけどそれぞれの滝が学問の滝、恋愛の滝、長寿の滝とも言われている中で私と秀吉は真ん中の水を水垢離(みずごり)した
秀吉さんは、神仏になんて祈願したのかな?
【17:30~】
廻り終えた清水寺
そろそろ旅館に帰らなければならないが加奈はどうしても行きたい場所があった
清水寺本殿を抜けて左側の石段を登ったところにある地主神社
地主神社には前々から行ってみたかったの!と話すと秀吉は加奈の手を引いてその鳥居に足を踏み入れた
「実は僕が行きたかったのはこの地主神社だったんです。」
『え!?そうだったの』
地主神社は縁結びの神様がいる神社
「今更縁結びを頼みにいくのではないですよ?既に加奈さんがいますし、この縁は切れませんから。」
『?…ならどうして縁結びの神社に?』
「……(今の貴女をみるかぎりそんなことはないでしょうが………加奈さん、ずっとずっと待たせてばかりで申し訳ありません。いつか貴女に愛想つかれてしまうのが、僕にとって恐くて不安でならないんですよ?だからこの不安を少しでも和らげて欲しいと、ここに神頼みをしに来たようなものなんです。)ご利益を貰いに来たんです。」
秀吉さんの跡をついていくと福の詰まった大きな袋を肩にかけ、打ち出の小槌をかざしたふくよかなお姿のお地蔵さまが居る"撫で大国"
願いを込めてそのお身体を撫でると、手が触れた箇所に応じてそれぞれのご利益がいただけると伝えられている大国様の手を秀吉さんは目を瞑り撫でる仕草を私はじっとみる
『?……(手のご利益ってなんだっけ??)「加奈タン、次へ行くよ?」え、うん!』
呼ばれて我に帰り次のご利益場所へ向かう
どんな願い事でも、ひとつだけなら必ずおかげ=ご利益がいただけるという、一願成就の守り神さま。特に女性の守り神として厚い信仰を集めている"おかげ明神"
お賽銭した秀吉は先程の撫で大国よりも神妙にお願い事をしていた
彼が願っている内容を知らない私だったけど、私もお賽銭箱に5円玉を賽銭して守り神様にお祈りしたの
秀吉さんのお願いが叶いますようにって……
「………、これで神頼みは終わりです。加奈さんは何をお願いされたのですか?」
『!……なぁ~いっしょ♪今度は私が行きたいパワースポットに行こ?』
境内にある、一対の小さな石。いつからか"恋占いの石"と呼ばれ、幸せな恋を願う人の心のよりどころとなっている
一方の石からもう一方の石へ、目を閉じたまま歩いて無事にたどり着くことができれば恋が叶うと言われている石に加奈は実際に触れて見てみたいと思っていた
『これが、恋占いの石なんだ///』
「そう呼ばれているようですが、正式名は願掛けの石と言うんですよ?実はその石は米国の原子物理学者・ホースト博士によれば、この石は縄文時代の遺物であるとの説を唱えておられていて、だとすれば遥か縄文時代からの地主神社にご縁の深い貴重な石なんでしょう?」
『へぇ~、秀吉さん詳しいね?あのね私が中学生だった頃、周りの友達はね?結構なカップルを作っていてね?私だけ取り残されてる気分がして彼氏ほしいなぁ~って思っていた時期があったんだけど、それでどうしたら出来るかな?と調べていたらこの恋占いの石を見付けたのよ。』
けど、中学から高校生になるのに近づくにつれて、周りの友達が彼氏と別れ始めたのを見て二十歳になるまで恋人と関係を持たない方がいいのかな?って思っちゃったんだ?
「加奈さん、ちょっとその石に座ってください?」
『え?なんで?』
いいから?と秀吉に座らされると秀吉はもうひとつの願掛けの石に向かい私の方に姿勢を向ければ瞳を閉じて"えっ?…"と私は声を漏らしてそのまま歩き出した彼の真意が分かったの
コツン…コツン…
「目をふさぎて……」
コツン…コツン…
臆することなく暗転の視界で
「掘りすへたる……」
コツン……コツン……
一歩一歩、確実に真っ直ぐに
「石より石まで………」
コツン……コツン……
私が座る願掛けの石へと
「歩みよるに………、」
コツンッ……!
ピッタリ立ち止まった秀吉さん私は驚きを隠せないでいた
「"貴女まで……。"」
瞼をあげ私を見下ろしながら微笑んだ秀吉さんに私はそっと立ち上がって"凄い…"と、目を閉じたまま無事にたどり着いたのに歓喜した
『秀吉さん、その言葉は何?』
「この言葉は室町時代になってようやく清水寺参詣曼荼羅に満開の桜の下に恋占いの石らしき一対の石が描かれ、拝むような仕草の男性の姿が1人描かれているのですが、江戸時代に浅井了意が著した出来斎京土産でも"目をふさぎて、掘りすへたる石より石まで歩みよるに"と紹介され、名高い京の占いの言葉です。最後は僕が付け足した言葉ですが////」
加奈に向けて呟いた言葉が照れくさくなったのかほんのり秀吉は頬が紅くなったことのを加奈はクスリッと笑って良い占いの言葉ね?と褒め二人は微笑み合っていたのだった
その二人の姿を恨めしそうに、特に三浦#NAME2##に向けた嫉妬心を影で見詰めていた栞さんに気づかづ………
「何よ!?神頼みをずっと此処でしてたのに、想い人の恋愛御守りも買って恋の願掛け絵馬も書いたりしたのに、二人の仲は深まるばかりじゃない!!---ッッ、…そんなの嫌よ!私はずっと秀吉君の事が好きだったのに名前を呼び合うことだって勇気を出してそう呼んでくれるかな?って伝えたら呼び会える仲になり、親しい友達関係にだってなった。それからは愛の告白が中々出来なかったけど、ようやく気持ちの整理ができて告白するはずだったあの頃に……--ッッ、あの女が秀吉君の彼女になってた!!?たった二回目の出会いで秀吉君を取られるなんて赦せない!!!」
高ぶった感情で買ったばかりの恋愛御守りがギュッと握り潰されている
栞さんはふらふらとある場所へ向かう
そこは秀吉と加奈がお参りした撫で大国の後方にある地主神社のご神木"いのり杉""のろい杉"ともいわれた暗い歴史をもつご神木
いのり杉は別名、のろい杉ともいわれており、江戸時代には多くの女性たちが"丑の刻参り(うしのときまいり)"を行っていて、藁人形を五寸釘でご神木に打ちつけ、相手を呪うというものがあった
栞さんはそのご神木の前に立ち留まり…
「こんどここに訪れる時は、藁人形と五寸釘を持ってこなくちゃね?フフッ……」
まるで昔の女性達が愛する人に裏切られた者たちの"想い"の現れが栞さんから漂っている霊気を出しているような雰囲気でそこにあった
* * * *
【18:45~】
最後に二人は地主神社で御守りを買って旅館に帰ることにした
タクシーで旅館に戻り私達の部屋に戻った瞬間、ずっと歩き続けた足に疲れがグッと両足に響き渡り加奈は秀吉が予約したこの客室にある足湯に真っ先に浸かる
『秀吉も浸かったら?足の疲れがとれるよ♪』
「加奈さんのその笑顔を見ると、疲れが取れていることが分かりますね!足の疲れと一緒に体も休めて来てはどうですか?今の時間帯は女湯の入浴帯になっていますから行ってきてはいかがでしょう?『!!…今から行ってくるね!』…はい!^^」
着替えやタオルが入った籠を持って部屋を出て行った加奈を穏やかな顔で見送れば秀吉は足湯に浸かりながら目の前に広がる街並みと川のせせらぎを眺め続けた
* * * *
加奈は鼻唄を歌いながら露天風呂や大浴場ではなくはず最初に内風呂から入ることにした
脱衣場には部屋着の浴衣が脱いで籠に入っているのが1つあるのが目について、他の場所に行こうかな?と思ったが最初は薔薇風呂に浸かりたかった欲に負け、入ることに決めた加奈だったが、そこには栞さんが入浴していて加奈を見た途端、嫉妬深い感情を露にして血相を変え彼女の腕を掴み湯の中へ引きずり込んだ
そして彼女から発せられた言葉は…
「今すぐ!秀吉君と別れなさいよ!!彼との出会いは貴女より遥かに私の方が最初で、彼を愛する気持ちも一番長く想い続けていて何よりも彼を見てきたのは私なのに!なのにたった二回目の再会で秀吉君を奪われた私の気持ちなんて貴女には分からないでしょうね!!?」
栞さんが掴んでいる私の腕に彼女の爪が食い込み痛みが駆け巡る
「最初貴女に出会った時と付き合い始めた頃の秀吉君の表情は今でも忘れられない。あんなにも花が綻ぶ愛しい笑顔が………その笑顔が今でも貴女に向けられていることが気に食わない…---ッッ……」
ホロリ…ホロリと溢れている彼女の涙は私でも痛いほど理解できる
私がいる性で、秀吉に貴女の想いを伝えられない苦痛が痛いほど伝わってくる
『---ッッ(ごめん、ごめんね、栞さん。でもだからって私も秀吉さんを離したくないの!………とても苦い恋を私達は今経験している。栞さんのこの恋にどう終止符を打てばいいの?)』
いつの間にか私の瞳にも涙が溢れて静に流す
「なんで………なんで貴女が泣いているのよ?泣きたいのは此方よ!?」
ドンと肩を押され転倒することは免れたが彼女の怒りはおさまらず凄い剣幕で私に迫ってくる
怖い…!?
ゆっくり後退りをするも栞さんに再度腕を掴まれ湯から出されようとした時……
ツルッ……キャア!?バッシャン…ゴッ!?
自然石で囲った温泉の縁に足を滑らせ転倒した栞さん
幸い私は腕を離されて巻き込まれなかったが後に鈍い音が響いた
『栞さん?栞さん!?』
「……」
すぐに加奈は最悪な状況を理解し湯の中に体を沈めてしまった彼女を引き揚げ意識があるか頬を叩いて名前を呼んで確認するが彼女はぐったりしていた
加奈ひとりの力では栞さんを運ぶことができない
『栞さん、人を呼んでくるから少しだけ待ってて!』
壁に彼女を凭れかけさせて脱衣場から浴衣をパッと身に纏い出入口から飛び出せば加奈は誰か来て!と懸命に助けを呼ぶため叫んだ
するとひとりの20代後半の男性が廊下に現れ加奈は直ぐ様かけより事の次第を話すと二人は栞さんがいる浴室へ
「おい!息してないぞ!?」
『!!、そんなさっきは意識があったのに!栞さん返事をして栞さん!?』
「どいて!?」
彼は栞さんを横倒し人工呼吸を始めた!
私はただただ息を吹き返してと強く願う
するとゴホゴホッと飲み込んでいた湯を吐いて虚ろな目で覚ます
「よかった、もう大丈夫だよ君?」
『----ッッ、栞さん良かったよー!?』
「えっ?と……貴方は?……☆@\&Ω^*!!?--ッッきゃあああぁー!?////」
目の前にいる男性に今の自分の裸姿に気づき羞恥で悲鳴をあげた彼女に加奈は脱衣場から服を取りに向かった
「君、自分の身に起きたこと覚えているかい?」
「えっと、足を滑らせたことは覚えてま……痛いっ!?」
「どうやら頭も打ったみたいだ、このハンカチで押さえて?」
「あっ、ありがとうございます////……?……あの頭もって?」
「ああ……君、息してなくて人工呼吸したんだ。ホントに良かったよ。頭痛むかい?」
「ええっ!?/////」
栞さんは人工呼吸をされたと聞かされ頬を紅くし片方の手で唇を押さえ彼を見据えた
すると加奈は栞さんの着替えを持ってくると男性がテキパキと着替えさせて彼女をお姫様抱っこして
「体、起こせないだろ?私が連れて行こう?部屋はどこだい?」
「--ッッ////…10階の……あの!貴方のお名前は?私は和田栞っていいます。」
「私は田原淳吾、28歳で彼女はまだ居ないんだよね?もうすぐ三十路になってしまうというのに、お恥ずかしい////」
「私と同じなんですか!?田原さんは---………」
加奈は二人に着いていこうと思ったが栞さんと田原さんのなんだか良い雰囲気に歩みを止めて、二人の後ろ姿が見えなくなるまで見送っていた
* * * *
【19:00~】
「え!?栞さんが!彼女は大丈夫なの加奈タン!?」
『あっ!秀吉、待って今は!?』
温泉で転倒して今は自分の部屋で安静にしてると事の次第を話すと秀吉は青ざめ彼女が心配になり慌てて部屋を飛び出した彼に私も飛び出し止めに入ろうとするも、時既に遅し…栞さんの客室に入室すると二人の明るい話し声を耳にした
「「そうだよね!あははっ…」あれ?秀吉君?私のこと心配して来てくれたんだよね?ありがとうね?でも私は大丈夫!淳吾さんと加奈さんの助けで私助かったのよ?……加奈さんありがとうね、それからごめんなさい……」
ベッドに横たわっていた体を田原さんに支えてもらいながら上半身をお越し頭を下げた栞さんに加奈はブンブンと首を振って、そんなことない貴女の気持ちを分かってあげられなくてごめんね?の意味も含め首を振った
「栞さん、頭は大丈夫かい?」
「平気よ秀吉君?たぶん軽い脳震盪なんだけど念のため病院にいくわ。淳吾さんが付き添ってくれるから大丈夫よ。実は今さっきほどだけど、私達付き合いことにしたのよ?秀吉君、加奈さん?」
「『え?…………、ええぇっ!!?』」
栞さんのカミングアウトに秀吉と加奈は同じタイミングで驚愕
「あっははは!二人とも息ピッタリね?……………秀吉君、いつまで加奈さんを待たせるつもりよ!早く彼女をものにしないと他の誰かに獲られちゃうわよ?」
「!?……、ええ…肝に銘じます。栞さん、淳吾さんと幸せになってください。」
「貴方に言われなくても私は栞さんを必ず幸せに、ずっと愛するよ?」
栞さんは田原さんの名前を呼ぶと"私もです!"と告白の返事を返したのです
【19:15~】
秀吉と私は二人を見送り部屋に戻れば豪華な色鮮やかな夕食が運ばれてきた料理の数々に感銘を受ける
この料理名は月詠……献立一例を説明すると、
前肴が茅の輪くぐり、大寧寺風胡麻豆腐、東廬山豆腐、鱧南蛮漬、焼田屋茄子浸し とまと葛よせ、海老と小鯛の葛水仙。
生ものは仙崎烏賊そーめん、ほおずき釜生うに、焼太刀魚。
焼物にはあわび踊り焼。
温物は冬瓜饅頭。
小鍋なら和牛しゃぶしゃぶ。
留肴は萩まふく叩きサラダ。
食事は一口寿し。(茗荷、野沢菜、新蓮根、奈良漬湯葉巻、おくら)
汁には小野茶麺。
香の物……野沢菜、諸味茄子漬、新胡瓜粕漬
最後に水菓子は夏柑ゼリーと西瓜
『わぁっ///綺麗な盛り付けね!んぅ~…、どれから食べようかな?秀吉は最初どれを食べるの?』
「そうだな?まず、汁物の小野茶麺にしようかな?」
それじゃあ私も!と加奈も秀吉と同じ料理を味わい話を交わしながら食卓を楽しんだ
『あっ、見て満月!ここ10階だから近くでよく見えるね?』
「ですね?ウサギが餅つきしているのが見えます。」
『ホントだぁ~♪』
バルコニーに出れば建物や木々等に邪魔されず視界には夜空に浮かぶ月光が秀吉と加奈を照している
数えようとすれば、一体どれほど星がこの夜空にあり、この地球全体にはどれほどの数が輝いているのか?
指先を星から星にへと……線を引くように動かす
この星座はなんだったかな?
何座か分からず首を捻ったりしていると秀吉がポツリとその星座を教えてくれた
少し冷える体を腕で包む
すると、フワッと薫った安心するこの匂いは…
……彼の匂いね?
【20:00~】
「加奈タン?そろそろ男湯の時間帯になるから、僕これから入ってくるね?」
『あ、うん。行ってらしゃい!』
手を振ると秀吉も振り返して温泉に向かって出ていった後、私はベッドにゴロンと寝転がりお姫様ベッドで寛ぐけれども、まだお目めがパッチリな自分はムクリと起き上がる
『そーいえば、栞さんとのハプニングが起きたから私、温泉に全然浸かってない!』
温泉旅行に来て温泉を満喫できないこととは何事か!と自分で自分に向けての発言
御風呂と違い、温泉は泉質と効能を堪能できる素晴らしい入浴タイム
毎日入れるのなら私の体は癒されてる日々が送れているけれど、今の私にはこの一時しか味わない!
『?……確か秀吉、自分達がゆっくりとれるように貸切りにした入浴場があるって言ってたわよね?』
そうと分ければと加奈は素早くむ行動をみせ、部屋を飛び出す
………が?
「!?、…え?加奈タン!?」
『え?…しゅ、秀吉!!?☆@&※*$/////』
加奈はてっきり秀吉は大浴場に入っているものだと思い込んだ
自分達が予約した貸切り湯場なら男湯の時間帯でも入浴できるからその温泉風呂に足を踏み入れると、そこには下半身をタオルで巻いて湯船に浸かる秀吉を目撃した加奈は、まだ入浴もしていないのに茹でタコのように真っ赤かになりタオルで胸と下半身を隠しているとはいえど今の自分の露にしている肌に羞恥に陥った
『わ、私てっきり大浴場にいるかと思って!?ご、ごめんなさい!す、すぐに出ていきまっ…きゃあ!!?「!!?あ、危ない!?」』
なんと慌てて出入口に向かおうとして足を滑らして、ついさっき栞さんのように転倒を起こした私
だが秀吉さんが咄嗟に私の体を支えてくれたお陰で床とお友達にならずにすんだ
『えっと、栞さんの件で温泉に全く入れなかったから秀吉が取ってくれたこの御風呂ならいつでも入浴できるから入っちゃったの。』
「それでですか!びっくりしましたよ、加奈タンが入ってきたから////」
未だに私の体を支え秀吉の腕の中にいる自分を秀吉は見下ろしながら頬をほんのりとピンク色に染めているのと同時に、意外と肉体美な秀吉の体に熱い視線が行く
肌と肌が触れ合い、生まれたままの格好を直視するのはお互い初な出来事
見惚れてしまった恋人の素肌を二人とも暫く見詰めていたが、ハッと我に帰り秀吉と加奈は視線を反らした
すると、宜しければ一緒に入りませんか?と少し躊躇いがちがありながら混浴の誘いがポツリと秀吉の口から漏れて加奈は困惑する
彼と付き合って、もう10年という恋人関係でありながら、そういう男女の寄り添い合う関係を築くことなどしたことがない
うつ向き困惑している私を秀吉はそっと私を抱き締めた行動にドクンドクンと心臓が騒ぎ彼に愛しさが溢れ、私は心赴くままに従った
湯船の中で彼の肩にコテン…と頭を預け体も預ける
自然と秀吉と私は目と目が交じり見詰め合えば磁石みたいに唇は引き合わせキスが交わされた
リップ音を鳴らして離れた彼の唇は再度、角度を変えてキスを何度も何度もしてくる
このキスに溺れそうで、意識が眠りに落ちそうになると、"続きは部屋で宜しいですか……"と少し乱れた吐息と一緒に囁かれたことに、私は彼を浴している欲望の瞳を揺らしながら躊躇う気持ちは少なからずあるが頷いた
【20:30:~】
欲を孕んでいたのは彼も同じ
トン……、
と軽く肩を押され私をベッドに組み敷く秀吉
「怖いですか……」
『怖いと言うより、緊張する…かな?////』
鼓動が激しく動き胸を締め付けられるように苦しい……はずなのにそれが心地よく感じているのは何故?
秀吉は緊張すると言った私に、たくさんの口付けを雨のように降らした………緊張感を解そうとしているのが分かる
『んっ!………』
「はぁっ………大丈夫、僕もとても心が張りつめて、手が震えてます。すみません、こんな僕では加奈さんに不安を与えてしまいますね……」
彼が囁いた言葉通り私の肌に触れている彼の手は微かに震えを起こしている
そんな秀吉に、私は首に腕を回し彼が私にしたようにキスを送れば手の震えは止まり
『そんなことないよ?それに私は嬉しい。お互い歩幅は違うけど、二人は同じ速度で、歩みで、進んで、行こうとしている。』
本当は凄く不安だった
私達は普通の恋人達と反して長い年月も恋人関係というモノに居座っていた
デートしたり、お互いの家に遊びに行ったり、寄り添ったり、時折キスをしたりと自分にとって貴方はもうかけがえない存在になっている
けど、その先が中々踏み込めない道に私達は居たのよね?
それが私にとっても秀吉にとっても、ふあんで…不安で…凄く不安な心境だったのよね……
『もしどちらかが早かったり遅かったりしたら、そのときは止まらなくていい……速度を落として二人の足並みを揃えてまた、歩いていこうね、秀吉。そしたら不安は取り除かれ支えていけると思うの?』
「!……うん。一緒に歩んでいこう、今もこれからも…僕はそれをずっと望んでいるから………」
秀吉は私の手を取り手の甲に、ちゅっ…と口付けを落とすと、今まで見たことの無い幸福の表情がそこにあった
シュルリ…と、紐解かれ部屋着の前身を左右に開かれると露になった、自分から見たら小ぶりな胸を彼の大きく少し冷たい手の平が包んだ
撫でられる刺激で"あっ……"と小さな熱い悲鳴が漏れた
右の手の甲で口元を塞ぐと"もっと加奈さんの声が聞きたいです…"と耳元で囁かれるいつもより低いその低音ボイスにゾクリと酔しられると秀吉の舌が私の耳の中に這うように浸入してきたことによりさっきより甲高い矯声が出てしまう
それは首筋、鎖骨、胸、御腹のラインにも這わされた時と一緒で
するとチクリと首辺りに痛みが走った
「本当はこうやって貴女は僕の恋人だと言う印をずっと前から付けていたかったんですよね?それが漸く出来ました////」
首筋に付けられたキスマーク
それを喜んでいる秀吉に、嬉しいけど見えない所にして欲しいとお願い申し上げれば"それでは意味がありません!"と返された
周りの人達に見られ羞恥に見舞われることが納得いかなくて私も秀吉の首筋、自分より上の方に花を咲かせた
それには秀吉の目が唖然をしたが直ぐに微笑んで、今まで味わったことのない噛みつかれる?いいえ、これは喰われているような接吻に襲われた
舌を絡め続ける秀吉に自分も呑み込まれ求めるようになり長い時間行えば唐突に彼の手が私の下着に浸入して指が秘所の割れ目に触れてきたことに吃驚して否定の声をあげようにも、今しているキスにより出来ない
クチュッ…チャップン……!
上と下から酔狂な水音が奏でている
その音が二人の脳髄を痺れさせ、二人はその先の快楽という波に溺れていく
加奈にとって初めての性行為は凄い痛みを伴ったが、秀吉がとっても気遣って少しでも痛みを和らげてくれたことで加奈はあそこに彼を受け入れることができた
「ハァッ、…加奈、さんっ…クッ-!?………----ッッ!!?」
『しゅう、きち、……やぁっ--!?んああぁあっ!!!』
ザザザァッ--……と大波に呑まれた加奈と秀吉は、そのまま幸福の眠りにつく
* * * *
翌朝7時過ぎに私達は目を覚まして、目覚めの朝風呂に昨日と同じで一緒に寄り添って混浴を浴びた
朝食は明るい日射しが差し込むレストランで多彩なメニューが人気のバイキング料理を二人は態々同じメニューを取り皿に盛り付け、他人から見ればラブラブな雰囲気が漂っている食事をしている
そのあと当館で特産品をはじめとし郷土の文化・芸術品・ブティックなど幅広くアイテムを取り揃えているお土産を見て周り職場の皆さん方や親友の美和子や由美や後輩の苗子ちゃんに両親へのお土産を購入し満足に浸ると部屋に戻り荷物をまとめれば秀吉と過ごした思い出の部屋にグッと別れ惜しみチェックアウトをして、この温泉旅館にさよならをした
帰り道を走る新幹線の中で加奈さんは僕の肩を借りて寝顔を表している
眠り転けている加奈さんの頬を軽く撫でて僕はひとり囁く……
「諸願成就の撫で大国の手を撫でると勝運のご利益があるんです。あの日、貴女に渡した7つ揃うまで開けないでくださいと言った封筒の中身と関係あるんですが、それがあと少し、一ヶ月後に果たせそうなんですよ。………でもまた貴女を待たせることだけは決してしたくない思いからあの神社で願いに行った。」
おかげ明神の社で願った内容も同じ願いです
最後の名人位を獲り戻したら必ずお迎えします……待っていてください!
そういえば、加奈さんはおかげ明神で何を願ったんですか?
秀吉が私の肩に掛けてくれた羽織からするものだった
そっと肩を抱かれ、体が冷えますから部屋の中へ戻りましょう?と言う彼の言葉に私は頷いて暖房が効いた部屋に入った