太閤恋する七冠王
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『--ッッ………嘘でしょ』
加奈は警察学校から帰って来て制服から着物に着替えようとした時にある事に気づき顔を真っ青にした
バタンと大きな音をたて扉を開きっぱなしに部屋を飛び出し廊下を走る
すると前方に父の姿があるにも関わらず加奈はそのまま父の横を横切った
その姿に父は硬直したが、ハッとして意識を戻すと"待ちなさい!"と娘を引き留めて説教を言おうとするも娘は玄関先でも扉を開けたまま飛び出したことに父は唖然を隠せないでいた
『ハァハァッ……(どこ!?一体どこで私は……--ッッ)』
加奈は今日辿った帰り道をバック(back)してあの時間に戻るように、その道を歩んだ
学校まで着くと門が閉まって入れない学校を見据えていた私がいた
『(きっと、そうよ!…………今は諦めるしかないよね?ごめんね、秀吉さん)』
とぼとぼと重い足取りで家に帰ると、玄関で腕を組んで私の部屋に来なさいと言った父に素直に私は分かりましたと頷く
父の長い説教話には、実は全く話の内容など記憶になかった私は、其ほど罪悪感の中にいたからなの……
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《え!?今日もダメなの加奈タン?……ん、……そうなんだ、なら仕方がないね?》
僕は今、スマホで加奈さんと通話しててこの1ヶ月に何度か加奈さんをデートに誘っているんだけど、僕が彼女の都合の悪い日ばかり電話をかけてしまいお互いの都合が合わないでいた
もう1ヶ月も彼女と会っていない
それに電話越しだけど、何だか日に日に加奈さんの元気な声が聞こえないでいる
今日もデートに誘うも気分が優れないとの理由で出来ない
《ごめんね?……あのね秀吉、当分の間はデート出来ないし暫くは私と会わないで》
《え?……それ、どういう意味?《プツリッ》もしもし?加奈タン?加奈タン!?》
一方的に切られた電話に秀吉は呆然と立ち竦んでいた
自分が知らない内に彼女を傷付けてしまったのか?何も思い当たる原因が全く見付からない秀吉はもう一度三浦加奈に電話を掛けるも彼女は出なかった
「加奈さん……僕のこと嫌いになってしまったのかい?」
まだ加奈さんに伝えてないけど将棋の世界にいる僕は、彼女の誘いを断っていたことを思い出しそれが理由で少なからずとも怒っていてその仕返しかな?と僕は思いたかった
もしかしたら他に好きな人ができていたのならこの1ヶ月誘いを断っているのだと決定付けられる
「--ッッ、言おう!まだ伝えたくなかったけど、加奈さんと別れたくない!(すみません、待たせてばかりで……)」
ギュッと拳を握りしめソファにあった上着を掴むと部屋を飛び出し三浦家へ全力疾走で向かう秀吉
はぁはぁッ……と息を切らし時折、足を止め呼吸をしてまた走り、秀吉は彼女の元へ少しでも早く伝えるために急ぐ
「ハァッ-…、こんなに走ったのいつ以来だろう?兎にも角にも……着いた。」
手を膝について息を切らしながら見上げる屋敷
「あら?秀吉さん、こんにちは!」
「!!…時音さん、こんにちは。あの加奈さんは家に居られますよね?」
秀吉の前に現れた時音さんという女性は加奈のお母さんの名前で、買い物袋を持っていることから買い出しから帰ってきたのでしょう
「ごめんなさい、加奈ちゃんなら家にいないのよ。この1ヶ月、ずっと外出しているから」
「え?……それって」
加奈さんのお母さんのその言葉に、あの最悪な状況が思い浮かんだ僕は茫然自失
体が凍りついたかのように、ピクリとも動けないでいると
「貴方からプレゼントされたネックレスをどこかで落としてしまったようで、ずっと探しているのよ。」
「ネックレス?……それじゃあ加奈さんが僕にデートを誘わなくなったのも僕がデートに誘っても断って暫く会えないって言ったのは、僕がプレゼントしたネックレスを無くしたから!!」
母親から原因が明かされて秀吉はとても安堵する
力が抜けて座り込んで"良かった~…"と言葉を漏らす秀吉だったが
「加奈ちゃん、そのネックレスが原因でろくに寝てないのよ。とても思い詰めているみたいで、このままではいつ倒れても可笑しくないの?今日も探しに出掛けてしまって……秀吉さん、加奈ちゃんを止めて欲しいの。」
「--ッッ……」
それを聞いた秀吉は彼女の元へと駆け出した
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「残念だけど今日も届いてなかったよ。それより顔が悪くなってるよ。もうネックレスは帰って来ないかもと思った方が…『そうですか……あの、また来ますので』あっ、キミ!?」
交番前に加奈はいた
そこでネックレスの落とし物が届いてないか日々訪ねに来ていた加奈だったが結局今日も無くて重い足を引きずるように歩く彼女がそこにいたのです
私は30メートルしかない橋を渡っていると下の川に目が向いて覗き見るように、暫くそこに居座ることにした
キラキラと反射して輝いている川を見ていると、ネックレスのことが思い浮かんで涙が溢れそうになっている
『秀吉さんに会いたいな……--ッ、でもネックレスを見つけないと会えない。いつも肌身離さずつけていたから秀吉さんには目がつく。ネックレスどうしたの?って言われたら……うっ、ヒック……言えないよ、無くしたなんて。』
ひとり呟きながら悪いことをしたと悲しむ加奈がいるけど、落として無くしてしまったのなら仕方がないかもしれないが彼女は秀吉にずっとこのネックレスを着けていると絶対に大切にすると約束したことが足枷になり秀吉に正直に言えなくなっていた
本当は加奈も分かっていた
『きっと秀吉なら気にしないでと、こんな私を心配してくれているよね?……』
「分かっていたのに、探してくれていたんだね?」
!!?……
会いたかった、でも会えなかった人の声が私の耳に届いた
ゆっくりと振り返ると私の目の前に秀吉さんが困ったように眉を下げた顔で見ている
「でも、体調を崩すくらいならあのネックレスのことは忘れて……こんな窶れてしまうまで探すなんて」
骨張った指で私の頬と目の下の隈を撫でて、やはり彼は優しい………
『--ッッ、そんなのできないよ!初めて貰った秀吉さんからプレゼントされたあのネックレスを諦めるなんて、私には出来なかった……どうしても……--うぅっ……』
ポタポタと零れ落ちる雫
加奈さんがこれほどあのネックレスに執着していたなんて
嬉しい反面、自分の性で加奈さんを苦しめていた事実に心の中で"すみません!"と謝り、僕はそんな彼女に断念をつけて貰うために
「加奈さん……顔をあげて下さい?」
『ん……、秀吉…ほんとうに、ごめんなさ…(スッ)え?……これ…』
私は秀吉にネックレスを無くして"ご免なさい"と謝ろうとしていた時、彼の手が私の左側前髪につけていたヘアピンを外されて、すると秀吉は胸ポケットの中から流れ星をデザインしたヘアピンを差し出されて私は秀吉とヘアピンを交互に見る動きをした
「でしたら、今度はこのヘアピンを大切にしてください。でも大切にとは、貴女自身もですよ?」
『!……んぅ、うん!ありがとう秀吉^^』
カチッ
『似合う?』
「ええ、お似合いですよ加奈タン♪」
笑顔を取り戻した加奈さんと手を繋いで彼女を家へと送り届ける帰り道
『秀吉、今度はデートしようね!』
「!!……うん♪」