太閤恋する七冠王
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※過去視点…
* * * *
カコンッ!と鹿威しが庭から響く
庭には数匹の鯉が池で泳いでいる
江戸などの時代にはあった立派な屋敷が米花町のある場所に加奈はいた
なぜそんな所に彼女がいるのか?
それは当たり前である
そこが彼女の実家だから
『もう、寝癖がなおらないよぉ~……早くしないと大学に遅れちゃう!』
加奈は座布団に座り鏡の前で懸命に櫛で寝癖がついた髪と苦戦していた
そこへ
「加奈ちゃん、開けるわよ?」
『はぁ~い!どうぞ--ッ…』
着物を着た30代後半の女性が、まるで料亭の女将さん達が客間に入ってくる時の姿勢で入室した
「加奈ちゃん、またそんな返事をして……あの人が耳にされていたら折檻されてしまいますよ?」
『っ……でもお母さん私もう女子大だよ?みんなもそんな感じだし。私だけ優等生ぶってたら浮いちゃうもん!お母さん、お父さんにお願いして?私は今の時代の姿勢で可愛い女の子として過ごしていきたいの!!』
私の家系は少しだけ名高い名家
公家(くげ)の家柄をひいている
公家とは日本において朝廷に仕える貴族・上級官人の総称で天皇に近侍し、または御所に出仕していた主に三位以上の位階を世襲する家なの
そんなに私の家は凄いのか?と疑問に思うこと度々あったが、その家の両親の一人娘として生まれた私は両親からとても大切に優しくも厳しくも育てられた
礼儀作法には厳しい父に、高校から現在女子大学生頃の私はそんな父に嫌々していた
反抗期って言ったらいいの?
「……そうね、貴女もそういう年頃の女性よね?お母さんも学生時代そうだったわ!周りの女の子は流行に乗っているのにお母さんは乗れなかったから羨ましかったわ。」
『そっか……お母さんは我慢してたんだね?私の代から変わったんだね?お父さんは、まぁ…厳しいけど、私に普通に学校生活を送らせて貰えていいんだけど。家ではお淑やかで居なさいって着物姿で過ごすことが、今の私の不満なの、家の中でも可愛い私服を着て過ごしたい!……彼氏が数ヵ月前からできたばかりなのに。』
「あら、そうなの?それはめでたいことではないの!!なんでお母さんとお父さんに話してくれなかったの?」
母は目をパチクリさせて娘に彼氏ができていた発言に、手を口元に添えて驚きながらもおめでとう!と祝福していたが
「……それは真か、加奈?」
「!……貴方。そうみたいですよ?」
『!!?……っ、はい左様ですお父さん』
静かに襖を開けて入って来られた父に加奈は姿勢を正し正座して両手を畳に添えて軽く頭を下げた
「どのような御方なのだ、加奈?」
『…………(どんな人って…)』
(加奈タン!!ごめん遅れて!)
(秀吉!もう、心配したよ!でも良かった事故でもあったのかと……)
(加奈タンっ……僕のこと心配してくれてたんだ!///)
最近だが、秀吉は愛称で私のことを呼んでいる
私も彼を呼び捨てにしていて、お父さんが知れば眉間にシワを寄せて不機嫌になるでしょう
歳上の人を呼び捨てとは怪しからんと
秀吉に至っても娘をそんな呼び方にされて気にくわないだろうから、どう彼をお父さんに紹介しようかと私は頭を悩ませていた
「……その話しはまた帰ってからにしようか。警察学校に遅刻してしまう。将来、警察官になると決めたのだろう、ならマナーを守らないと警官としても社会としても勤まらない。身成を整えてから朝食をとるようにしなさい。」
『はい、重々承知です。』
と、申して私は制服の身成を鏡の前で確認してから家族3人で食卓を囲んで食事をした
* * * *
その日の帰り道…
『秀吉、もうこの辺で大丈夫だよ?』
「いいから家まで送るよ!まだ太陽は出てるとは言え加奈タンに何かあったらいけないし、彼氏として最後まで送らせて加奈タン♪」
学校の帰りにたまたま秀吉と遭遇して、少しファミレスでお茶して、こうして家まで送って貰っているが、彼の気遣いは私の事を想ってくれているんだなと嬉しいが私にとっては不味い状況である
父に見つかったら秀吉を家に招いて色々と質問し問いだし、彼を嫌な気分にさせてしまう!
最悪、別れ話にも繋がる
加奈はサァー…と血の気をひいて彼の前に立ちはだかり……
『しゅ、秀吉!やっぱり…「加奈、帰ってきたのか、お帰り。」(!!?…お、おおお父さん!!嘘でしょ!)た、ただいま……』
私の背後から父が現れた……そして
「加奈、その方は……ん?君は羽田君では御座いませんか!」
「あ、三浦さん久方ぶりですね!」
『え?…え?…』
加奈は二人の顔を交互にみながら現状が理解できなかった
二人は親しいそうに話をしている
『お父さん、秀吉っ…さんとお知り合いなの?』
「ああ…彼とは将棋会館で何度か対局しているんだ。」
『(確かに父は将棋をしているけど、まさか秀吉も将棋をしていて、それで偶然にも父と親しい関係を貰っていたなんて、驚きよ!)』
秀吉、趣味で将棋してるのかな?
「ええぇっ!!?(三浦さんが加奈タンのお父さん!!あ…苗字が同じだ)「羽田君、急に声をあげてどうしたんだね?」あの!…僕、加奈さんとお付き合いさせてもらっている羽田秀吉と言います!」
深く頭をさげてお父さんに恋人関係であることを告白しているのを見て、父はどう返事を返すのか?とお父さんの顔を窺うと
そこにはあまり見ることはない父の笑顔がありました!
「!?…そうかそうか、うちの娘と君が…私は君を歓迎するよ。どうだい、こんな所で立ち話もなんだから家に来なさい。将棋でもせんか?」
「あ、はい!お邪魔します!!」
『ええぇ!!?…』
今度は私が声をあげる番だった
父は母に秀吉さんを紹介して、それで私の恋人だと知ると母も彼を大歓迎して部屋へと招く
「加奈、着替えてから部屋に来なさい。私達はその間、将棋でもしようか羽田君?」
指示に従い自分の部屋で桃色の着物を来て髪を整え、かんざしを差し着飾った
父の部屋の襖の前で膝をつき"失礼します"と一言伝えると"入りなさい"と返事が返り、両手を襖に添えて静かに部屋の中へと入ると……
「加奈タン!!?どうして着物を!!」
『!!?(やっちゃったよ……)』
普段着が着物で過ごす学生はまず、殆どいないに等しいでしょ……
秀吉がそれに驚き思わず加奈タンと発言したことに私は心の中で"あちゃー…!"と秀吉の失態に肩を落とす
父は秀吉を何故か気に入っていたけど、さすがのアレには表情を変えただろう…………と、思っていた私だったのだが
「ハハハッ!……中々可愛らしい呼び名ではないか羽田君。」
「そうですよね!愛着があっていいですよね!」
予想外の展開に私は唖然
「では娘は羽田君のことなんて呼んでいるんだい?」
「僕のことは下の名前を呼び捨てで、何も変わりはありませんよ?」
秀吉が同意を求めて私の方へ振り向いた時、父の目付きが細められ睨まれた…(なんで!?)
そこは、秀吉が加奈タンと呼ぶ事が許されたのなら、私も別にさん付けをしなくてもいいとなるでしょ!
相変わらず娘には厳しい父に溜め息がつく
あの後、私は母と一緒に夕食を作って、秀吉は父と将棋をしていて、彼を私達の夕飯に誘い食べた
彼との食事は普段の父が食事中はなるべく会話を控えているのに、よほど秀吉を好いているからなのだろう、笑顔溢れる食事となっていた
それには私も笑顔が浮かんで楽しくも嬉しかったことに、忘れられない思い出となるでしょうね?
もう遅いからと父はタクシーを家に呼んで秀吉を帰らせる
「ご飯とても美味しかったです!それにまた三浦さんと将棋が打てて楽しかったですよ!」
「羽田君また家に来なさい!遠慮はいらないからね?それからあの時の約束を私は心待ちにしているからの……」
「!!?……はい!必ず貰いうけます。」
父と秀吉はどんな約束をしたの?と気になった
タクシーで帰っていった秀吉を見送ったあと一応、父に秀吉さんとなんの約束を取り付けたの?と問いだしてみるけど
「……私の娘に関する約束だ」
と言って家に入っていく父の背中を見ながら
『(私?……何?何かしたの私は!?)』
自分が関することの約束の内容がなんなのか分からないことで加奈は一人、門の前で頭を抱えて悩ませていたのでした。
「僕はまだ加奈さんに相応しくありません。だからそれが得られるまで彼女と一緒にいられません……ですが必ず加奈さんを貰いに訪れます。その時はどうか僕を見極めてから返事をください!」
「……待っているよ、羽田君」
母と加奈が夕飯を作っている間、秀吉は加奈の父に娘さんを嫁に貰いにいつか伺うがまだ自分は未熟者なため、成長した自分を見てから返事をくださいとお願いしていたのだ
彼が加奈に茶色の封筒を渡すのはまだ先の話し
封筒の中には加奈の父親と約束した意味も含まれていた