第4章 切なる祈り

ゾットの塔の中は、怖いくらい静かだ。

歩くだけで、足音が響く。

魔物が出る事もない。

この静けさが、四人には恐怖に感じた。

「どうしてこんなに静かなんですの…?」

「何かありそうだな」

ポロムとパロムが言った。

「そうだね、だいぶ進んだのはいいけれど……。不自然な静かさだよね」

セシルも、階段を上がりながらそれに賛同した。

長い階段を上りきった先には……


「!カイン!」


無表情のカインがいた。

服装も髪もいつものカインだが、どこかおかしい。

「カイン、良かった!無事だったのね!」

「あんちゃん、ねえちゃん、こいつがカインなのか?」

「ええ、そうよ」

「ああ、彼がカインさ。本当に無事で良かったよ、カイン!いっしょに戦ってくれるかい?」

セシルはカインに駆け寄った。

「ああ、無論だ…。
ーーーだがセシル、戦うのはお前とだ!」

眼をぎらつかせ、カインはセシルに向かい槍を構えた。

「!?」

「死ね!!人間!!」

カインはセシルめがけて槍を突く。

セシルはそれをとっさにかわした。

「カイン?!」

セシルは変わってしまったカインに動揺し、己の身に起こっている事が信じられずにいる。

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