第3章 試練の山のミストドラゴン

試練の山についた一行が一番最初にぶつかった試練は、山の入り口を塞ぐ炎の壁だった。

ごうごうと燃え盛る炎の壁を前に、セシルは唖然とした。

「ま…、まさかそんな…。突っ込んでいくわけにはいくまいし……」

「チッチッチッ、あんちゃん。オイラが黒魔道士っつーのを忘れたかい?」

パロムはニヤリと口端を上げてみせると、トコトコと炎の壁の前に立ち、両腕を広げて唱えた。

「ブリザドおッ!!」

パロムが唱えると、冷気の嵐が起こり炎の壁が消えた。

パロムは得意気に笑うと、ピースを作った。

「へへっ!どんなもんだい!」

「ありがとう、パロム……パロムがいなきゃ、僕達ここから先に進めなかったよ」

セシルはパロムに感謝した。

「さあ、行こうか」



山をだいぶ進んで出口も近くなってきた頃、一行の耳に何者かの声が聞こえてきた。

『引き返しなさい……』

「誰だ?!」

セシルが叫んだ。

「私達は、この先のゾットの塔に行かなくてはならないの!」

ローザが言った。

『引き返す気はないと言うのですね……』

すると、一行の目の前に真っ白なドラゴンが現れた。

『ならば、あなた達を試させてもらいます』

「試練の山を守る幻獣……、ミストドラゴンですの!これまで、何人もの人々がこの番人に敗れましたの!」

ポロムが息を飲んだ。

「へんっ!オイラの魔法で楽勝さ!」

パロムが威勢良く言った。
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